イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

中世の彫刻

2016年08月15日 21時23分51秒 | 

8月15日、日本人の私には「終戦記念日」という方がピンと来ますが、
こちらはAssunzione della Beata Vergine Maria、聖母マリア被昇天の祝日の祝日です。
つまり聖母マリアが 天に召された日、ということですが。
まぁどちらかというとこの日は宗教的な意味よりも「みんなヴァカンスへレッツゴー!!」という日「街が空っぽになる日」という感じです。
ここフィレンツェに居る人は、9割以上が観光客、残りはその観光客のために働いている人+私みたいにどこにも行けない人という感じでしょうか?
私がどこにも行かないのは、この時期にどこか行っても混んでるし、美味しいレストランはイタリアに関していえば、いやヨーロッパ全体的に同じでしょうが、全て閉まっている、もしくは臨時のスタッフが働いていることが多く、普段とは違うから。
フィレンツェなんか、この時期開けてるレストランは観光客向けのお店と思った方がいいですね。
昨日久々にフィレンツェで一番おいしいGelateriaに行ったら案の定今日までお休みでした。
稼ぎ時のGelateriaでもこうですからねぇ。
市場も今日は閉まってますからねぇ。

さてさて、先週の金曜日、ちょっと気になる本をネットで注文していたら、宣伝に「この本気になりませんか?」とおせっかいなほど勧めてくる本の中に、2冊ほど本当に気になる本が有りました。
撤退することを考えると、重い本は本当は手を出したくないのですが、
日本に帰ってしまうと、そうそう手には入らない…ジレンマですが、こればかりは我慢できません。
幸い2冊とも大学の図書館に有ったので、全てコピーしました。
本当は本1冊丸ごとコピーは違法ですが、その辺は緩いですねぇ。
美術書に関しては本当に金額が張るし、一生読まない可能性も有るので(おいおい)この方法でほとんどは済ませています。
古い良い本で実際もう手に入らないものとかも多いですからね。
幸い大学の図書館は卒業した今でも貸し出ししてくれます。

そのうちの一冊が

Bestiario medievaleという「中世の動物装飾」の本です。
ここに柱頭などに彫刻された、動物だけでなく色々な装飾の意味などが書かれています。
この本自体は、読み物というより辞書みたいな感じなので、少しずつ読み進めて行きたいと思うのですが、早速先日OsimoのDuomoで見て気になっていた「蛇」の項目だけ読んでみることに。
う~ん最近真面目にイタリア語読んでなかったので、読む速度、理解力が落ちたなぁ…まずっ。

最初にはやはり蛇がイブをそそのかし、原罪を負うことになったことから
”il serpente è il diavolo”(蛇は悪魔)と考えられていたとありました。 
ただこれってキリスト教というより、ユダヤ教の解釈のようです。
キリスト教以外の宗教では、例えば蛇は冥界の使者であると同時に豊穣のシンボルと考えられていたり、
ウロボロス(己の尾を噛んで環となったヘビもしくは竜を図案化したもの)のような象徴もある。
”ヘビは、脱皮して大きく成長するさまや、長期の飢餓状態にも耐える強い生命力などから、「死と再生」「不老不死」などの象徴とされる。
そのヘビがみずからの尾を食べることで、始まりも終わりも無い完全なものとしての象徴的意味が備わった。 ”(Wikipediaより)
また蛇の毒は力の象徴であり、敵を遠ざける能力を持つ武器にもなる。
とまぁこのように蛇の象徴性は古代においては統一されておらず、どんな象徴に依拠しているかということによって左右される。

ということで、とどのつまりなぜあそこに蛇がいたのかははっきりしない。
ただあの蛇

噛みついてはいないけど、くっついているんだよね。
これってやっぱり「完全なもの」とか「永遠」を表しているのかな?

そうそう最近日本から有る記事が送られた来たんです、と言っても父からですけどね。
これもロマネスク彫刻に関するものなのですが、日本経済新聞に週一(水曜の夕刊)で掲載されている金沢百枝先生のコラムなのですが、これが面白い。
「イタリア古寺巡礼」シリーズを読んで彼女の事は知っていたし、今回帰国した時にこの本も買ってきた。
荷物になるからイタリアには持ち帰りたくなかったんだけど、これは必要になるかなぁ…と思ってね。

しばらく読まなくてもいいかなぁ、と思っていたけどこの記事を読んで早速読み始めたけど、ここにも同じことが書いてあった。
それは蛇の事ではなくて、聖堂装飾をキリスト教の教義のみで解釈することはできないということ。
だからこの時代は面白い。

しっかし彼女も言っていたけど、中世の教会はゴシックのそれと違って、畑の真ん中とか、とにかく行きずらいところにある。
この前のMarcheもそうだったし、今日見ていたところも、「バス有るかなぁ?」というところでした。
車が有ればいいんですけどねぇ・・・
それでもやはり行きたくなるのはなぜなんだろう???
前回の記事に「ロマネスク美術と学徒ならば、一度は必ず訪れるべき場所」であるサン・ブノワ・シュル・ロワール、という表記があり、早速ムズムズしちゃいましたよ。
ここもバスは数本らしいけど、日本人は結構行ってる人が多いので、私に行けないことはないでしょう…って既に調べてるし。
 
この本1400円で「ちょっと高い!」と思ったけど、待てよ~
もう1冊中世彫刻に関する本が手元に有るんだけど

こっちは1900円でもっと高いか。
でもイタリアの本に比べたら安いなぁ。
何度も言っていますが、この国の本は紙質も悪く、本が重いうえ高い!!
日本人より読書しないし、本は廃れていく一方だよねぇ…と悲しく思います。
ちなみにこれもまだ読み終わってないんですねぇ。何してるんだろ私。
夜遅くまでのネットは目にも悪いし、早々に切り上げて読書でもしますか…ってそうするとすぐ睡魔がやって来るのよね。

こうして日本語で読める専門的な本が少しずつ増えてくれるのは良いのですが、興味の対象が増えるのは困りもの。
あ~イタリア滞在中にどれだけの宿題がこなせるか、毎日家でダラダラしている場合じゃない!
と思う今日この頃です。 



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