メインのルドンになかなか取り掛かれませんが、今日はポーラ美術館の続きで、ルドン展と同時開催中の「歿後50年特別展示 フジタからの贈りもの―新収蔵作品を中心に」です。
藤田の特別展までやっているって知らなかったので、かなり儲けた気分になりました。
丁度、数日前に父の本棚から拝借した
この本を読み終え、藤田の人生を一通り勉強したところでした。
世界に認められた才能が、一番認めて欲しかった日本人には認めてもらえなかった…ちょっと悲しくなりました。
ゴッホもそうですが、死後にその才能がどれだけもてはやされても、やはり存命中に認めて欲しかったはずです。
実は今回はルドン、藤田、増田セバスチャンの他に、「ガラス工芸名作選-花の様式」とポーラ美術館の収蔵品の展示が有ったんです。帰りのバスの関係で持ち時間が2時間くらいしかなかったので、結局いつも通り(笑)最後の方はチラ見でした。残念、残念。
いやいや、ホントにポーラ美術館のコレクションは素晴らしいですわ。
ちなみに、所蔵品のコレクションでは今回初めて2枚のアンリ・ルソーを拝むことが出来ました。
(このエリアの展示は写真可の作品もある)
「エデンの園のエヴァ」
「エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望」
ポーラ美術館はルソーを8枚も持っているのに、まだ全て見られていない気がする…
ということでこのサプライズはかなり嬉しかったです。
今回、藤田の作品が26点新たにコレクションに加わったので、没後50年にかこつけて(失礼!)特別展を開催。他にも新しくシャガールが2枚も加わったりと、たかが化粧品会社ではないですよね、お金持ち!
でも私好みの作品が国内、それもこんな近くで見られることは非常に嬉しいですけど。
この新しいシャガールも展示されていました。
こちらは写真撮影不可のためサイトから引用させていただきました。
日本最大級の印象派コレクションを含む約10000点のコレクションを持つ、日本有数の美術館。
藤田の作品はニューコレクションの26点を加えると200点を越えで、こちらも日本最大級。
でもかつてここを訪れた数回に、作品が展示されていたことはなかったので、中々お目見えしないようで残念です。
箱根の山奥に有ってちょっと行きにくいのが難点だけど、幸い我が家からはそんなに遠くないし、ついでに温泉行っちゃうので興味がある展覧会を開催してくれるのはとてもうれしい。
こちらは新コレクションの一部で(写真はポーラ美術館オフィシャルサイトより)
左から:《モーリス・ユトリロ風に 通りの女たち》 1926年 油彩、グワッシュ/紙 16.0 x 23.8 cm
©Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 E3058
《キース・ヴァン・ドンゲン風に 真珠のネックレスをつけた女の顔》1926年 水彩/紙 24.2 x 16.2 cm
©Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 E3058
《アンリ・マティス風に 肘掛け椅子に坐る裸婦》1926年 グワッシュ/紙 18.0 x 13.1 cm
©Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 E3058
《ジャン・コクトー風に 横顔、子どもと瓶》 1926年 水彩、インク/紙 19.7 x 11.4 cm
©Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 E3058
どれもそれほど大きな作品ではないのですが、非常に面白い。なぜならこれ他の画家の特徴を捉えて、真似した作品だから。
《・・・風に》という作品群で、これは藤田が 1924 年より同居し始めた恋人リュシー・バドゥー(愛称ユキ)のために描いたものです。
”1926 年、フジタは著名な画家たちに倣ってこの作品群を描き、ユキを喜ばせるためにこれらの絵画や素描を紙挟みに入れて贈りました。この作品群で、フジタが画風を模倣した作家は次の 22 作家です。レジェ、ゴーガン、ユトリロ、ブラック、シニャック、ピサロ、マルケ、デュフィ、シスレー、ヴラマンク、ヨンキント、パスキン、ヴァン・ドンゲン、ドラン、フォラン、レンブラント、ロダン、コクトー、ザッキン、マティス、ローランサン、ルノワール。これらの画家たちは、フジタが実際に親しく交友したエコール・ド・パリの画家たちと、制作当時すでに物故者となっていた巨匠たちに大別されます。油彩、グワッシュ、水彩、インク、色鉛筆等の技法で、それぞれの作風の特徴が、忠実に、あるいは誇張されて戯画的に捉えられています。
本作品は、エコール・ド・パリにおけるフジタの交友関係を示す貴重な作品です。多様な表現を吸収し、応用することができる卓越した画力とともに、フジタらしいユーモアの感覚を良く伝えています。”(ポーラ美術館サイトより引用)
それからNewコレクション意外にも、<小さな職人>シリーズ38点を含む41点のタイル画のコレクションが圧巻でした。
ガラス職人
床屋さん
”1958年秋から翌年の春にかけて、フジタはおもにパリを舞台にさまざまな仕事に従事する子どもたちの姿を数多く描きました。連作〈小さな職人たち〉に登場する子どもたちは、それぞれの仕事に真剣に取り組んでいるものの、そのしぐさにはどことなくユーモアが感じられます。
連作〈小さな職人たち〉における重要なモティーフのひとつは、仕立て屋やガラス職人、椅子職人のような手先の技術によって物を製作する職人たちです。そのほかには古くからパリの路上でみられた辻音楽師や焼き栗売り、監視員や煙突掃除夫などさまざまな職種がみられます。各作品はタイルのような正方形の世界に表され、そこにフジタ自身の空想が重ねあわされており、彼の子どもを描いた作品の中でも、ひときわ異彩を放っています。
〈小さな職人たち〉は、当初はアトリエのアンティークの木製扉を装飾するために描かれましたが、次第に点数は増え、フジタが「私の巴里のアトリエの壁面には二百何枚かのこの小品を張り付けた。恰もタイル張りの如くにした(中略)皆釘付けであった」と述べているように、彼は他のタイル状の小品と共にモンパルナス、カンパーニュ=プルミエール通りのアトリエの壁一面に飾り、それらに囲まれていることを喜びとしていました。 何よりも技術そのものを重んじ、作家はアルティスト(芸術家)であるよりも前に、腕利きのアルティザン(職人)でなければならないと語ったフジタ。本連作には、彼の職人仕事に対する敬意、そしてパリという街への特別な思いが凝縮されています。”(ポーラ美術館サイトより引用)
そして子どものなかった藤田は晩年数多くの子供の絵を描きます。子どもたちの顔は誰にも似ておらず、時にはちょっと怖い表情。これは藤田がモデルを使わず、彼の子供のイメージを描き出したからに他なりません。
藤田にとって絵こそが彼の子供だったのです。
そんな子供の絵の中でも、ひときわ大事にして、部屋に飾っていた作品がこれ。
藤田の死後も夫人が手放そうとしなかった思い入れのある作品「朝の買い物」
朝の買い物がフランスパンってなんともフランスらしい…
「誕生日」
”子どもたちがおめかしをして集まったバースデー・パーティー。彼らが囲む大きな丸いテーブルの中央には、5本のローソクが立てられた大きなケーキが置かれています。頭に花飾りをつけた今日の主役の女の子が、無表情のまま祈るようなポーズをとり、前方をじっと見つめているのに対し、コーヒーをこぼしたり、両手を広げる大げさなポーズをとるなど、いささか落ち着かない様子の子どもたちもいます。また、この部屋の窓には、パーティーに参加できず、室内をのぞく子どもたちが6人、小さな頭を並べています。思い思いの動きや表情を見せる子どもたちに、画家は等しく愛情を注いでいるように思われます。”(ポーラ美術館サイト)
なんとなくこの絵を見た時「最後の晩餐?」と思ってしまいました。
室内にいるのは12人…どうでしょう、考え過ぎかな?
などなどとにかくこちらも超充実した展示内容になっていました。
残念なのは図録がなかったこと…グッズは結構有りましたけどね。
こちらも12月2日までポーラ美術館で開催(チケットは1枚で全ての展覧会を見ることが出来ます。)
フランス人が書いた日本の美術館の本を基にした、美術館を巡る番組がBSイレブンで10月5日に放送があり、ポーラ美術館を紹介していました。ポーラ美術館には何度か行ったことがあります。日本の美術館で一番おしゃれの美術館だと思っています。
↓番組のホームページ
https://www.bs11.jp/education/japanese-museums/
はじめまして、コメントありがとうございます。
番組を昨日見ることができなかったので、録画しました。前にNHKの「日曜美術館」に出ていたソフィー・リチャードさんの本がベースなんですね。この本も読みたいと思っていたのですが、まだ読めていません。
ポーラ美術館には散策路も有るようですね、いつも時間がなくてそちらには行けていないので、近いうちにまた時間をかけて訪れたいと思います。