イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

イタリアで人生初のデモ参加

2014年02月19日 22時07分44秒 | イタリア・生活

ここ数日暖かく、雨も降っていなかったのに、今日丁度出かけるタイミングで雨が降りだし、途中雹になった。
なんなんだこの天気は・・・

先週無事試験が終わった後、久しく連絡を取っていなかったある人にメールを出した。
すると1時間後くらいに電話。
いきなり「火曜日Romaに行かない?」と
電話の相手は唯一同じ学科に通っていて色々情報交換(いや私が情報をいただいていることの方が多いですが)している日本人で、友人というのはおこがましい。
彼女は私より1年後に大学に入ったのに、既に2年前に卒業、今は上のコースに通っていて、尊敬して止まないすばらしい女性です。
そして個人的にFirenzeの日本人ガイドの中で最もすばらしいと思っている方です。
彼女にガイドしてもらえるお客さん、羨ましい~!!
私なんか足元にも及びません。
もしこれを読んで、是非ガイドをお願いしたいという方は、私のお墨付きでご紹介しますよ~
彼女からの直々のお願いなら何で聞きますよ。
ということでOkしたのですが、なんとRoma行きの理由はデモ参加!!

実は昨日中小零細企業、職人などいわゆる自由業の人を中心にした、すごく大きなデモがRomaで行われたんです。
そこへ全国のガイドさんたちも集結。
日本も今多いですが、こちらの観光ガイドさんたちはいわゆるフリーランスの人がほとんど。
ガイドという仕事はこのイタリアでは特に伝統があり、元々大変教養のある人が(教養があるということはお金もあるわけですが)やっていた仕事で、とても文化的な仕事だったのです。
そして観光業で何とか生きているこの国では、この仕事は昔から手厚く保護されてきた・・・はずだったのに。

イタリアでは今まで特定の地域の資格を持ったガイドさんがその地区しかガイドが出来ないことになっていた。
それが数年前から範囲を全国区に広げようという圧力がかかっている。
EUの経済連からの圧力と一般的には言われているらしいけど、その実はひとえにエージェントの利益のためらしい。
だって、一人のガイドさんが北から南まで一人でガイドが出来ればその方が安上がりでしょう?
でもそうなるとどうなると思います?
この国の複雑な歴史とか伝統とか、全国のことを細かく網羅できるガイドさんなんてまず無理なので、どこも中途半端な説明しか聞けなくなるということなんですよ。

こういうことで全国のガイドさんがこのデモに終結したというわけ。
もちろん参加している人はホンの一部ですけどね。
今回は彼女が所属しているConfesercentiという中小企業を守るための団体が全てオーガナイズしていて、電車も無料ということで、全く関係ない私もついて行くことにしたんです。
経済とか政治のことにとんと疎い私なので、これも労働組合なのかと思いきや、これはそうではないみたいですが、彼女はかつて給料未払いのエージェンシーと戦うのにこの団体に弁護士を用意してもらったそうです。
ということでやはり労働組合に近いですよね。
彼女は周りのガイド仲間に連絡をしたそうなのですが、誰からも返事すら来なかったそうで・・・
さすがに東洋人一人で行くのはきついので、私が誘われたというわけ。
普段お世話になっているし、なかなかできる経験ではないので快く参加することにしたわけなんです。
昨日は天気もよかったし、ローマは暑かった。

朝9時。Firenze駅に行ってみると、旗や垂れ幕を持った人が既に大勢。
切符を渡されるわけでも点呼を取られるわけでもなく、ただプログラムが渡されただけ。
いいのかなぁ・・・

指定された電車の指定された車両に乗る人たち。
そして一般のお客さんもいるのに、車内はあっという間にデモに向かう人でいっぱいに。

Romaの駅に着くと、各地から集まってきた人たちがわんさか。
皆さんが首に巻いているマフラーを私たちも巻き、なぜか旗までもらってしまいいざ出陣。
電車が遅れたこともあって、集会会場のPopolo広場へ大急ぎ。
着いたときには既に広場から人があふれていましたよ。

夜のニュースの発表ではなんと6万人が集まったとか。
私もそのうちの一人だったんですけど・・・とにかくすごい人。

途中何度も「何で中国人が?」とぶつぶつ言われちゃいましたよ。
中国人じゃないぞ~

この日は丁度新しい首相が就任した日。
政府が変われば少しは望みもあるのかなぁ・・・

ようやく全国のガイドさんたちが集まっているエリアに到着。

いやもうすごい熱気です。
他にも

Pompeiの遺跡を守ろうという看板を掲げた人たちや

フランスの薬剤を買うな、というアピールでギロチンにかかっている人。

動いてしまってうまく取れなかったんだけど、3色旗に塗られたギロチンにはさまれている人
などなど色々な人がいました。

最後にガイドの代表の人が占めの挨拶で言っていましたが、
政府が新しくなったので、また陳情なども最初からやり直しになるそうです。
ただ今日ここで何も出来なかったとしても、重要なのはここに来てみんなで声を揃えて主張することなんだ、と。
私一人の力じゃどうにもならないから何もしない、ではなくて、やはり声を上げることは大切なんだなぁと思ってみたりしました。

祭りの後はいただけませんね。
自分のごみは自分で持ち帰れ~!!

自由時間が結構あってRomaで遊んで行けるかと思いきや、お昼を食べる時間しかかなったのですが、そこはちゃんと押さえました。

これamatriciana in bianco
白いアマトリチャーナ。
せっかくRomaに来たのでローマのものが食べたいと思ってアマトリチャーナを頼んだら、
ものすご~くなまってるおじちゃんに
「アマトリチャーナはローマの食べ物じゃない。アマトリチャーナはアブルッツォなんだ」と言われ
更に「トマトが入ってないのが伝統的だ」と言われ、これを頼んだんです。
実は隣のテーブルのサラリーマン3人組も同じものを頼んでいました。

しかし、アマトリチャーナと言えばローマでしょう?と思っていたので、家に帰って確認してみました。
おじさんを信じてないわけじゃないのよ。
すると面白い事実が。
アマトリチャーナは元々Amatriceという街の農夫たちが好んで食べていたそうです。
このAmatrice,実は1927年まではAbruzzo(アブルッツォ州)に属していたのが、それ以降はローマがあるLazio(ラッツィオ州)になっています。
そしてトマトソースが考案されるのは18世紀後半、ということでそれまではトマトなしが主流でした。
ということでおじさんが言っていたことは正しかった・・・疑ってごめんなさい。

「カルボナーラとどう違うんだ?」と言うと「卵が入ってないんじゃない」ということでした。
cacio e pepeだったらGuanciale(グアンチャーレ・豚のほほ肉)が入ってるか否か、だね。
いやいや、まだまだ知らないことって多いねぇ。

そして駅に向かう途中

Santa Maria della VittoriaでBerniniを鑑賞。
いやいや、短時間の滞在でしたが、貴重で楽しい体験が出来ました。
変わるか、変わらないかではなく、変えていかないといけないんですよね。
首相がヨーロッパで一番若くなったイタリア。(39歳ですよ!!)
今後の活躍に期待してるぞ~!!



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2 コメント

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変わる? (fontana)
2014-02-20 16:17:51
たま吉さん
お久しぶりです、お元気ですか?

私はただただくっついて行っただけなんですけどねぇ。私たちもこれ自腹だったら?という話をしていました。だってRomaまでの旅費が出せるような人は本当に困ってないということですからねぇ。そこらへんが労働組合の強さを物語っています。以前はいくらストやデモをやっても変わらないよ、と思っていましたが、やはり変わらなくても主張することに意義があるわけだし、これしか手段がないなら仕方がないなとちょっと考え方が変わりました。
新しい首相はフィレンツェの市長だった人なので、ここ数年間近で見てきました。イタリア人(特にフィレンツェの人)は彼のことを「ベルルスコーニと同じ」という人もいますが、今のこの国には(日本にもですが)若い柔軟な考えが必要です。私は何かやってくれると思います。ここのところ1年と首相が続かないので、全然結果が出ないので、まずは長い目で、そして抜本的な改革に向かって欲しいと思います。いやいやそれにしてもさっきベルルスコーニが「自分の半分(の年齢)」とニュースで言っていました。(笑)
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Unknown (たま吉)
2014-02-20 08:18:42
fontanaさん、お久しぶりです。

イタリア人に混じりデモに初参加凄いですね!首相もかな~り若返り、期待半分プラスお手並み拝見という状態でしょうか?
日本でもデモ?集会?はあっても六万人は集まらないですよ。自腹でも集まるのかしら?もちろんそれだけ皆必死なんですものね。
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