12月に入りました。
一年本当に早かった…
この一年一体私を何をしていたのだろうか…
それにしても今年は暖かいですねぇ。今日もぽかぽかと良い天気で、ついつい出かけたくなってしまいますが、ネタはたまりにたまっているので、こうしてPCに向かうことに。
さて、先週ですが、既に閉展してしまったのですが葉山にある神奈川県立近代美術館のアルヴァ・アアルトの無料券をもらっていたので、最終日、駆け込みで行ってきました。
チケットを見た時「アルヴァ・アアルトって誰よ?」と正直思ってしまいました。
皆様はご存知ですか?
アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)はフィンランドを代表する建築家で、モダニズムに自然の要素を取り入れ、人々の暮らしをより良くする建築や家具デザインなどを追求した人なんだそうです。
今回は生誕120周年を記念した日本では約20年ぶりとなる回顧展でした。
北欧独特のシンプルで機能的なデザインに加え、新婚旅行で行ったイタリアで地中海文化に触れたことが彼の作品に大きな影響を与えていたりもする。
彼の出世作となったのはパイミオのサナトリウム
これが1928年に行われたコンペで1等賞に選ばれたのきっかけに、彼は国際的な舞台へと活躍の場を広げて行きます。
会場にはこのサナトリウムの一室が、当時の家具等を使って再現されていました。
1939年に作られたNY万国博覧会のフィンランド館
全然知らなかったのですが、Venezia Biennale(ビエンナーレ)のフィンランド館も「アルヴァ・アアルト パビリオン」と呼ばれている通り彼の作品の1つでした。
建築だけでなくガラスや家具を手掛けていました。
《サヴォイ・ベース》1936年
1937年のパリ博覧会に出品してガラス器、アールト・ベースは世界的にも有名です。
アアルトと元建築家だった妻アイノがデザインしたガラスは「現代的な北欧デザイン」による食器などインテリアデザインを専門とするフィンランドのデザイン会社イッタラ(Littala)社が製作しています。
(ここまでの写真は神奈川県立近代美術館展覧会公式ページ、Wikipediaなどから拝借しました)
また今回は「アアルト ルーム / Aalto Room」という特設コーナーが設けられていて、アアルトの代表的な家具等が並べられ、アルヴァ・アアルトのデザインを体感できるようになっていました。
この窓から遠くに富士山が見えました。
和風にも近いデザインが日本人受けするのでしょうか?
建築やデザインというテーマだからか、普段の美術展には珍しく若い男性同士のグループが結構多かったです。
個人的にここら辺のテーマは、絵画に比べたらそれほど興味がないのですが、このアルヴァ・アアルト展に関連して開催されていたコレクション展「描かれた『建物』」の方に興味深い作品が有ったんです。
ピーテル・ブリューゲルの「七つの大罪」貪食(1558年)
今丁度中野孝次の「ブリューゲルへの旅」を読んでいて、まさにこの「七つの大罪」のことが書いてあって、タイムリー過ぎて驚いてしまいました。
他にも
ピラネージ(Giovanni Battista Piranesi)
ピラネージは11月は国立西洋美術館でも見たのですが、違う作品が見られてよかったです。
他にもヘンリー・ムーアの版画や松本竣介
松本竣介 《建物》 1935年
佐伯祐三など生涯建物のある風景しか描かなかった画家の作品や
浜田知明 《悩ましい夜》 2000年(鋳造2004年)
こういうちょっとかわいい作品まで展示されていました。
(写真は神奈川県立近代美術館公式サイトより拝借)
重ね重ねありがとうございます!
とんぼの本(URL)が、日本語の現在の本では一番いいんじゃないかな、と思ってます。 版画については、ブリジストンでの特別展などの図録があるみたいですね。
コメントありがとうございます。
そうなんですね。1つでもブリューゲル自身が彫ったものあるということが結構驚きでした。版画って奥が深いですね。
実は「ブリューゲルへの旅」に関して、私も同感で、「騙された…」と思いながら読み進めています。(読みにくくて、なかなか進まない)
1つ共感したのは、ドイツ人に地下の部屋を与えられた…というくだりでした。当時とは多少事情は変わっていますが、日の当たらない部屋に住んでいるのは、今でも外国人ばかりです。
「ブリューゲルへの旅」ですか? 中野氏の私小説だと思います。ブリューゲルの絵画をダシにして、自らを語る私小説のように感じました。著者の小説が好きな人には良い本なのでしょう。私は騙されたように感じました。著者は絵画の質や美術館における鑑賞体験には無関心のようで、絵画の主題、つまり「何が描いてあるか?」ということに関心をむけているだけだからです。例えば、アントワープの個性的な美術館、マイヤー=ファンデアベルヒ美術館にある「狂女グリート」は、深い感動を与える傑作ですし、質的にはプラドの「死の勝利」より上です、また美術館の内部も実に興味深いものですが、著者は「わからんな」とコメントするだけです。