先週、昨日終了した「プラド美術館展」と「プーシキン美術館展」をはしごしました。
上野に到着した時は、まだ午後のパンダ観覧整理券も残っていたので、「パンダも見る?」という誘惑に一瞬かられたけど、止めました。だってさすがに独りパンダ…寂し過ぎるでしょう。
最初に「プーシキン」を見たのですが、そちらはじっくり解説(?)したいので、まずこちらから。
なんか最近西洋美術館の展覧会とは合わないみたい。感動が薄~い。
閉展間近ということと、遠足の学生さんのせいで会場は結構混んでいました。
それは分かっていたことなので、仕方がないんだけど、なんとなく、満足いかないのよね。
「ベラスケスが7点日本へ!」なんて大々的に広告しているけど、なんだろう?あまり面白くない…
プラド美術館、行ったことあるせいかな?
でも実際現地では見てない(普段は収蔵されている作品)も結構有って、初見のものも有ったはずなんだよね。
何が、とは言えないんだけど、
だから図録も買わなかった。
私大抵後学(?)のために図録は買っておくんです。家で全く開かない時も有りますけど…
でも今回は食指が全く動かなかった。
そんな私の気持ちとは裏腹に、驚いたことに出展作品だけを収めたミニ図録と解説も付いた元来の図録の2種類が有ったんです。
常々思っていたんだけど、日本の展覧会の図録って専門的な解説が少なすぎる!
イタリアで図録を買うと新しい研究とか論文と言ってもいいような解説がかなり載っているんです。
先日もイタリアで大学院の論文を書いている友人から、「教授が今年の2月に終わった展示会のカタログに載ってる論文も読んで加えろ」と言って来て、また書き足さなきゃいけなくなった、と涙していました。
しかし、日本の図録は作品の紹介ですら、会場のキャプション程度の事しか書いてないことが有って、「2,300円返せ~」と思うことも多々。
これっつて拝観者のニーズ(レベル?)に合わせているということだろうか???
オーディオガイド借りた時もそうだったけど…
で、期待外れの「プラド展」を1時間半くらいでささっと済ませ、常設展の方へ。
特別展のチケットでこちらも見られるのがうれしい。
中でも今回たまたま版画素描展示室でやっていた「マーグ画廊と20世紀の画家たち―美術雑誌『デリエール・ル・ミロワール』を中心に」という特別展がすごく良かったです。
常設展もこちらの展示もフラッシュ無しなら写真は可能だったのですが、図録有るかなぁ…という儚い期待で撮影はせず、ひたすら脳裡に焼き付けるだけ。
17世紀まで絵画というのは基本的にオーダー形式。
王侯貴族や教会など大パトロンが画家にオーダーして製作するのが普通で、画家が勝手に自由気ままに作品を作ることはありませんでした。
ところが時代と共に一般市民の力が強まり、その経済力で美術品を求めるようになります。
中でも一番早く、市民が自分の家に美術品を置くようになったのがオランダです。
オランダでは17世紀半ばには、画商が現れ、画廊が出来、フランスにも18世紀には画商業を副業として兼任する商人が現われ、19世紀の早い時期には、専業の画商が登場しています。
この画商、画廊は印象派やポスト印象派の出現で、仕事の幅を広げ、飛躍的に躍進します。
彼らが新しい才能を発見し、世に広げたおかげで現在私たちは世界中で印象派の作品を見ることが出来るわけです。
マーグ画廊は、エメ・マーグとその妻マルグリットによって、パリに1945年設立されました。
20世紀を代表する芸術家と親交を結び、才能の有る若手には作品を発表するチャンスを与えることで、マーグ画廊は戦後のフランスを代表する大画廊に成長し、同時代の美術を牽引しました。
もともとリトグラフの刷り師で、戦前には小さな版画工房を営んでいたエメ・マーグは、出版・印刷事業にも並々ならぬ情熱を注ぎ、1946年に美術雑誌『デリエール・ル・ミロワール』を創刊します。
第1号(1946年12月刊)
表紙はゲール・ヴァン・ヴェルデの作品です。
「鏡の裏」という意味を持つこの雑誌は、マーグ画廊で開催される展覧会に合わせて編集された展覧会カタログでもあり、1982年の終刊までに全253号が刊行されました。上質な版画による複製図版や、同時代の名だたる文筆家による詩や評論などが組み合わされ、また芸術家によって同誌のために新たに制作されたオリジナルのリトグラフが数多く収録されました。
本展では、『デリエール・ル・ミロワール』に登場するマーグ画廊とゆかりの深い画家たちの中から、ピエール・ボナール、
《『ラ・ルヴュ・ブランシュ』誌のためのポスター》、1894年、リトグラフ/紙、『デリエール・ル・ミロワール』第158-159号(1966年4月刊)
アンリ・マティス、ジョルジュ・ブラック、マルク・シャガール、
Derriere le miroir No. 44-45
ジョアン・ミロ、
Derriere le Miroir. 87, 88, 89
ワシリー・カンディンスキー
《小さな世界Ⅰ》、1922年、リトグラフ
の6人を取り上げます。画廊主マーグとそれぞれの画家たちとの関係に光を当てながら、『デリエール・ル・ミロワール』に収録されたリトグラフを含む約50点の作品を通して、新しい芸術表現を目指した20世紀美術の世界をご紹介します。
青字は国立西洋美術館公式サイトより抜粋
ほとんどが私の大好きな画家ばかり、中でも予想していなかったシャガールが見られたのは非常にうれしかったです。「プラド美術館展」よりこちらの方が興味深かったんですよねぇ…
上野の西洋美術館の版画収集はかなり良くて.ピラネージ版画の全集といってもいい網羅的コレクション、ジャック・カロのこれまた全集的コレクションをもってます。
ドローイングでも、ギュスターヴ・モローの「神秘の象」を初めとする逸品を所有してます。
え~ギュスターヴ・モローなんか持っているんですか?是非見たいですね。
どの美術館も版画のコレクションってなかなか見るチャンスがなくて残念です。
実見しましたが逸品でした。
こっちが少し大きいイメージ::
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gustave_Moreau_-_The_Sacred_Elephant_(P%C3%A9ri)_-_Google_Art_Project.jpg
うわぁ~良いですね。是非実物が見たいです!!いつも情報ありがとうございます。