イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

久々にオペラで衝撃!? L'affare Makropulos(マクロプロス事件)

2011年10月31日 00時02分48秒 | イタリア・音楽

びっくりした。
何でこんなに人が溢れているの???クリスマス前でもないのに・・・
ってびっくりしたのはこれではないのだが、天気がよかったせいか、ようやく観光客も少なくなり、落ち着いてきたと思っていたのに、なんだか人が道に溢れていた。
全く・・・不景気どこ吹く風?

さて、私は今日は久々にオペラ鑑賞。
実は昨日のうちに今日の演目を予習しようと思ったのだが、内容を読んでいても(イタリア語)全然分からなかった。
タイトルはL'affare Makropulos
はて?なんて読んだらいいのかも分からんタイトル。
大体これは何語なんだ???
これはてっきり現代劇だ、と勝手な解釈をしていざ劇場へ。

緞帳が上がり、上演。
あれ?最初のびっくり。いつもこうだった?
字幕が出ているんだけど、イタリア語と英語の2言語表示。
ということでとにかく字が小さくて見にくい。(3階席だから、というのもありますが)
目は2つしかないから、字幕を追うと舞台が見られん。
さらに理解できない言語で歌い、文字を追っていると段々眠くなってくる・・・
気付いたらうとうと、はっと気がつくと隣のSirnoraもうとうと。

休憩時間
周りのみんなが「字幕の字が小さすぎる」と
そりゃあそうよねぇ、オペラを日曜日に見に来る人は大抵年配の方。
私でも小さいなと思ったんだから(かく言う私も最近ちょっと怪しい)当然よね。
私はそれ以前にうとうとしてしまったのでストーリーが良く分からない。
隣の(寝ていたほうではないほう)のSignoraたちはお手上げだったようで、1部で帰ってしまった。
ところがどっこい、大逆転。後半(正確には第3幕)からがすごかった。久々に引き込まれた。

レオシュ・ヤナーチェク(Leoš Janáček)作
”マクロプロス事件(秘事)”はカレル・チャペックの同名の戯曲が元となる、3幕からなるオペラ。
ヤナーチェクはモラヴィア(現在チェコ東部)出身の音楽家。
ということでオペラはチェコ語だったんですか?ドイツ語だと思っていたけど・・・

1922年、100年も係争を続けてきたヨゼフ・ブルス男爵の遺産相続問題を抱える弁護士事務所にエミリア・マルティというオペラ歌手がやってくる。事情のあらましを聞いたマルティはプルスの遺言状の場所を教える。マルティの教えた場所に遺言状は確かにあり、相続人はフェルディナンド・グレゴルと判明する。マルティの演奏会の後もう一方の係争者ヤロスラフ・プルスが楽屋にやってきて遺言状と一緒に別の封筒を見つけたと言う。マルティはそれを買いたいと申し出るがプルスははっきりとした返事をしない。マルティはプルスを色仕掛けで誘惑し、ついに封筒を手に入れる。
そこへ弁護士がやってきてと遺言状と一緒に見つかったフェルディナンドの母親E.M.の手紙とマルティのサインの筆跡が一致することを告げ、擬装ではないのかと問いつめる。マルティはついに真相を語り出す。
マルティの父親はプラハに宮廷を構えた皇帝ルドルフ2世の命令で不老不死の薬を作り、娘を実験台にして薬を飲ませた。その娘が自分で、本名はエリナ・マクロプロス、1575年生まれの337歳。フェルディナンドは間違いなくヨゼフと自分の子供である。もうすぐ薬が切れるため処方箋の入った封筒が必要になりプルスから無理矢理取り上げたのだが、長生きしても意味はないと悟ったと語り、処方箋を若い歌手クリスタに渡すが、それを火の中へ投げ捨てる。エリナはその同じ火の中で生き絶える。

というのが大まかな内容でした。
詳しく知りたい人はこちらのサイトがよろしいかと・・・
更にMaggio fiorentinoが予告編をYoutubeにアップしてくれていました。


このビデオめちゃめちゃ音が悪くないですか・・・

実際1,2幕は寝ていたのでよく分からなかったくせに、3幕集中していたらおおよその話は分かった。
要は古今東西権力者というものは権力の次には永遠の命を欲しがる。
錬金術の盛んだった西洋ではそういう実験が繰り返し行われていたことであろう。
その犠牲となってしまったエリナは300年も生きていた。
彼女はこの300年という長い年月を生きてきたからこそ、”死”がある人間を羨ましがる。
最後は自ら火を放ち長い一生を終える。

いや、その最後のシーンがすごかった。
例えば”Tosca”や”運命の力”のラストのシーンなども感動だけどこれは妖艶で、ある種の恐怖を感じた。
エミリア役のAngela Denoke は最高でした。はい。
ドイツ人ソプラノ。
ってさぁ、今ちょっと彼女のこと調べて、ものすごく驚いた!!
何かの間違えでなければ彼女御年50歳!?
信じられない・・・若い!
遠くから(何せ3階席なもので)だからかもしれませんが、非常に華奢な感じで、いったいあんな声、どこから出るんだろうという感じでしたが・・・
イタリアオペラに慣れた私には非常に刺激的でした。
いや~久々にいい作品を見させていただきました。(寝てたけど)

ヤナーチェクの作品が上演されることは非常に少ない。
しかし日本には熱狂的なファンがいるとかで日本ヤナーチェクの会なるものが存在するそうです。

いやいや、やっぱりオペラはいいねぇ~
そうそうFirenzeの新しい劇場(今色々もめていますが)この年末完成かと思っていたら、杮落としは来年の2012年12月24日演目はTurandot(トゥーランドット)だそうです。
こちらも今から楽しみ!
芸術の秋、満喫中



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3 コメント

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マクロプロス事件 (パパゲーノ)
2012-02-28 10:49:14
来週、NHK_BSで放送します。
楽しみにしてます。
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Unknown (Occhi)
2012-02-28 21:18:24
ヤナーチェクのオペラは上演機会が少なく、このマクロプロスはずっと観たかったのですが、機会がありませんでした。
実演をご覧になられたとのこと、うらやましい限りです。
日本では3月3日の深夜、ザルツブルグの舞台がBSで放送されるので楽しみです。
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そうなんですか・・・ (fontana)
2012-02-29 04:58:57
パパゲーノさん、Occhiさん
コメント&情報ありがとうございます。
やはり上演の機会少ないんですね。そんな貴重とは知りませんでした…
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