あっ、10月に入って一度も更新してなかったですねぇ…お久しぶりです。
先週から今週にかけて久々に旅に出ておりました。
時系列でお伝えできればいいのですが、なかなかそうは行かず、今日は一番最近のお話から。
おととい10年以上ぶりに東海道新幹線に乗って、と言っても今は失業の身、これまた久しぶりの”こだま”に乗って、実に4時間かけて大阪へ。
各駅停車の新幹線はやはり長いなぁ…
大阪へ向かった理由は「北斎」
ここのところNHKで散々特集が組まれていますが、この夏大英博物館で開催され、日本では大阪でしか開催されない北斎の展覧会のために貧乏なのに行くと決めました。
そしてそれに合わせて先週小布施の北斎館へも行って来ました。
北斎の話は時間がかかるので、また後日。
せっかく大阪まで行ったので、ついでに足を伸ばして京都に行って来ました。
こちらの目的は現在京都国立博物館で開催中の「国宝展」です。
泊まっていたホテルが非常に便が良くて、地下鉄御堂筋線の駅から歩いて2分。
この御堂筋線に乗って淀屋橋まで行き、そこから京阪本線で七条まで、1時間ちょっとで大阪から京都へいけるんですね。
うちから都内くらいの感覚かな?
前日の北斎展は私が着いたお昼過ぎは激混みで、チケット買うのに1時間待ち。
NHKめぇ…
いやいやすごい影響力だよ。
私もそうだけど、北斎の娘の事なんかNHKで取り上げるまでみんな知らなかったはずでしょう?
それなのにみんな口々にその話をしてたもん。
私もNHKから色々勉強させてもらったけど、混んでる展覧会は嫌いです。
幸い前売りを買っていたので、ほぼ並ばずに入ることができましたが、こちらの国宝展の方もサイトでは入場券を買うのに時間がかかるかも、と書いてあったのでちょっと心配していましたが、こちらはほとんど並ばずにチケットを買うことができました。
今年開館120周年を京都国立博物館
明治30(1897)年は文化財保護法の先駆けとなった「古社寺保存法」が制定され、そのなかで初めて「国宝」という言葉が誕生したということで、「国宝」も120周年なんですね。
関西では41年ぶりの国宝展ということもあり、予想通りの大賑わい。(東京では「日本国宝展」が2014年に開催されていますね。確か行ったな。)
縄文時代から近世に至るまで、200件以上の国宝が勢ぞろい。
昔教科書で見たものばかり。
会場は3フロアー。
まずエレベーター(階段でもいいですが)で3階に上がります。
1階のトイレは非常に混んでいるので、上の階に行った方がいいですよ。
3階からスタート。館内は非常に薄暗いです。とにかくみんな右往左往しています。
「順番はないので空いているところからご覧ください」と係員。
更にその文句が書かれたプレートを持って徘徊する係員たち…ご苦労様。
3階は書跡と考古
見どころは
新潟・十日市十日市町市博物館所蔵の深鉢形土器(火焔型土器)
これは縄文時代の土器なのに、縄文がない!
そして装飾が大変豊かなところが特徴ですね。
他にも「ビーナス」が有りました。
縄文のビーナス
縄文時代中期ごろに制作された土偶で、妊婦をかたどっているそうです。
”ビーナス”にも色々種類が有りますね。
そして2階
この階の見どころはなんと言っても雪舟でしょう。
雪舟の国宝6点が全て一部屋に収まっていました。
慧可断臂図(えかだんぴず)
破墨山水図(はぼくさんすいず)
秋冬山水図(しゅうとうさんすいず)
天橋立図(あまのはしだてず)
山水図(はぼくさんすいず)
四季山水図巻(しきさんすいずかん)(山水長巻(さんすいちょうかん)・部分)
6点が全てが揃っているのは10月22日までなので気を付けて下さいね。
隣の部屋には近世絵画として
俵屋宗達の「風神雷神図」
これは圧巻でしたね。
長谷川等伯の「楓図」などもすごかったですね。
そして1階は仏像をメインとして彫刻から始まります。
中でも今年国宝になったばかりの
大阪金剛型の大日如来
3メートルを超える大きさです。
これまであまり考えたことはなかったのですが、日本の彫刻の技術って素晴らしいですよね。
この仏像が1180年ころの作品と言われていますが、イタリアだったら1180年って…まだ無名の人ばかり。
更にここまで細かい彫刻できないよね?
いやいや、素晴らしいなぁ、と改めて日本の美術ももう少し見直さねばと思ってしまいました。
他には「信貴山縁起絵巻」などの巻物などが有り、最後の最後に感動したのは
「ちょっと何これ~!!」と思ったくらいの驚きです。
天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)というそうです。
銘文によれば、聖徳太子の死去を悼んで妃の橘大郎女が作らせたという。
「天寿国繍帳」とは「聖徳太子が往生した天寿国のありさまを刺繍で表した帳(とばり)」の意であり、「天寿国」とは、阿弥陀如来の住する西方極楽浄土を指すものと考証されている。(Wikipediaより)
ってこれ刺繍なんですよね。
肉眼で見ると浮き上がっているので分かりやすいのですが。
7世紀のものというから更に驚き!!
決して良いとは言えない状態ですが、当時の染織工芸、絵画、服装、仏教信仰などを知るうえで貴重な遺品です。
これを見て、思い出さずにはいられなかったのが、今年スリにあったスペインのジローナ(スリの話はこちら)
欧州最古の刺繍「天地創造のタペストリー」
11 世紀後半に作られたとされる刺繍布。
創造主を中心とした円環部に天地創造場面が描かれ、月暦や四方の風など、まるで曼荼羅とも言える中世、ロマネスクの逸品。
ってこれ見た時はすごいなぁ、11世紀後半かぁと思ったけど、何をおっしゃいますやら。
天寿国繍帳、現存するのは全体のごく一部で、断片をつなぎ合わせ、縦88.8センチメートル、横82.7センチメートルの額装仕立てとなっているけど、もともとは縦2メートル、横4メートルの帳を2枚を横につなげた非常に大きなものだったそうです。
とまぁこんな感じでとにかく見どころ満載の展覧会です。
展示は4期に分かれていて、一部の作品が入れ替わるので、それぞれ見どころが違い楽しめそうです。
11月26日までと割と短めの展覧会。
とにかく見るものは沢山あるし、混んでいるので、時間に余裕をもってお出かけくださいね。
私は何も買いませんでしたが、グッズも非常に充実していました。
一番気になったのは、京都国立博物館のキャラクター
尾形光琳の竹虎図から出て来たトラりんでしたが。
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そうなんですか、どこのお寺ですか?是非見たいです。
「コロタイプ」という方法、初めて知りました。まだまだ勉強不足ですね。
古代の刺繍というと、日本では、色鮮やかな遺品がありますので、URLに紹介しておきました。
オリエントだと、コプト裂なんかにあるんじゃないでしょうか?
古代中国の遺品では、
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/75876385.html
が良かったと思います。
いつも情報ありがとうございます。
宣伝などに載ってないものに良いものが有る、というのは本当に同感です。
それから飛鳥白鳳の刺繍天人のページに「顔がなくなっているものが多い」というのを読んで、思い出したのですが、イタリアでもフレスコ画の人物の顔だけが無くなっているのは、ダムナティオ・メモリアエ的な意味が有った、というのと、顔はそれだけで高く売れたということで顔だけがない作品が多いと聞いたことが有るのですが、アジアではどうなのでしょうか?
結局 謎なんですが、憶測空想をいうと、
むしろ、なんかなめるとか香水をかけるとか触れるとか、そういうことで虫に先に食われてしまったのでは???と思っています。
例えば、聖人像にキスしたり触れたりしたところがすり減ってしまうような例があるようなことかもしれません。
弘法大師の書を薬代わりに飲むとかいう信仰から、弘法大師の書とされたもので点々と何字か切り取られていたという伝聞もきいたことがあります。
早速ご回答ありがとうございます。
確かに仏像って胸像がないですね。考えたことなかったですが、西洋とは本当に違うんですねぇ、興味深いです。
顔だけ取られたたと考えるより、自然になくなったと考えた方がいいということですよね。気候的に繊維を長い間良い状態で保存するのも大変ですしね。
余談ですが、今朝「日曜美術館」でみうらじゅんが「運慶はミケランジェロを超えた」と言っていました。運慶がそれまでの仏師とは違って、内面までを作りだした、という意味で、ということだったと思います。(ミケランジェロだって…とちょっと反論は有りますが。)日本やアジアの美術についても色々知りたくなりました。