9月11日です。(日本は既に12日ですが)
NYのテロから15年。
最近FBでおせっかいにも去年の今日とか数年前の今日、こんなことしていましたよ、と通知が送られてきますが、そんなことでもない限り特別なことがなかった日のことなど、思い出せるわけがない。
でもあの15年前の9月11日は違う。
あの日自分がどこで何をして、誰と一緒だったか、今でもはっきり覚えている。
テロの映像が流れる喫茶店で、あれは一体何の映像なのか理解できず、日本語教師の講座の為の勉強をしていた。
あれから15年も経ったんだ…
あの時、15年後の今こうしているなんて想像できなかったなぁ。
今朝のニュースで「あの日から私たちは”安全”ではなくなった。家でも職場でも、学校でも。もう元には戻れない」と言っていた。
世界のいつどこでテロが起きてもおかしくない日常。
今週もまたイスラム教の犠牲祭(イード・アル=アドハー,一部の地域ではクルバンやタバスキとも言われます。)に当たるため、注意喚起を促すメールが日本大使館から送られて来た。
いつになったら平和な世界がやって来るのだろうか…
平和を祈る思いはいつでも変わらない。
宗教は違えど、みんな同じ気持ちではないだろうか?
さて、本来なら時間軸に沿って旅の記録を付けて行きたいところなのですが、また明日からしばらく出かけるので、今一番気になる話をさせていただきます。
イタリア国内ね。
スイス出発が早朝だったため、実質的には最終日となった木曜日、前日急に予定を変更し、この日は午前中チューリッヒ、午後バーゼルを攻めることに。
バーゼルに宿を取っていたので、チューリッヒまで戻って…というのは結構大変、かと思いきや電車で1時間、しかもノンストップ。
イタリアと比べること自体が無駄ですが、本当に機能的でしたねぇ。日本並み。
ということで、無理無理行ったんです、朝早く起きて。
結果的に行って良かった、いや行かなかったらこんなに素晴らしいものを見れなかったなんて恐ろしい。
10時10分前、予定どおり、遅延なしです。
まず最初の目的地、Fraumünste(フラウミュンスター・チューリッヒ、聖母教会)に到着。
10分前に開くことはないか…ということで写真を撮ったり、隣に発見した回廊を見たりしていました。
パッと見新しいなぁ、と思ったんですが、よく見たらありましたよ
こんな感じで。
こちらは修道院部分だったみたいですね。
最後の修道女長Katharina von Zimmernのメモリアルとあるけど?
これは古いものかな・
フレスコ画はそれほど古いものではないと思うんだけど…
有った、有ったPaul Bodmerの作品で20世紀(21世紀かも?)のものですね。
テーマは???
「街の歴史」と書いている人がいたのですが、鹿が描かれてるというからにはこれ、この修道院の歴史が描かれているのではないでしょうか?(依拠するものがないので、間違っていたらごめんなさい)
10時になったので、教会へ。
とにかく時間がなくて…
教会はチューリッヒの最古の聖堂のひとつに数えられる古い教会で、 カール大帝の第3子ルートヴィッヒ1世(778 - 840)が娘のヒルデガルトのために建てた女子修道院の付属教会。
12-15世紀に建てられたゴシック様式。
実は教会の中にも鹿が描かれた絵が有ったのですが、これ何とも不思議。
何が不思議かって、これたぶん元はフレスコ画だったよね?
でも今は
どう見てもプリントだよねぇ…という絵が貼られています。
どこにも説明が見当たらないのでどうなっているのかは不明。(誰かご存じだったら教えて下さい!)
絵の内容は伝説によると、王女ヒルデガルトとベルタは信心深く、神から遣わされた鹿の角に立てられたろうそくの光を追って行くととある場所にたどり着きます。
その地にこのフラウミュンスターが建てられたそうです。
ヒルデガルトとベルタは初代修道院長となり、彼女たちの遺骨は13世紀からこの伝説が物語る大きな壁画の舌の壁龕に納められています。
ということで、この絵の下でしょうね。
でも絶対オリジナルではないと思うんだけどなぁ…
ここにシャガールの描いたステンドグラスがある。
写真では全く伝わりませんね。
特に私が行った時は天気が良く、ガラスの輝きが本当に暖かく神秘的でした。
中央の3本が内陣に、後の2本が左右の壁に描かれています。
いやいや、ホント、言葉ではあの感動は言い表せないです。
シャガールのサイン入り。
ここは写真撮影は禁止。なのでこれWeb上の写真を拝借しています。
サイトを見ていると、決まりを破って撮影している人がいた、と文句を言っている人結構いますね。
私もなんとかその気持ちを抑えましたよ。
最後に絵葉書買いました。でもそれいまいち写真が良くなくて…
小冊子、英語版も有ったのですが、ものすご~く薄いのになんと14.8€
それでもイタリア語だったら即買いだったかなぁ…英語なのでやめました。
教会の入場は無料ですが、2スイスフランで簡単な説明書を購入。
それによるとシャガールがステンドグラスの仕事を始めたのは70歳になってから。
1967年、エルサレムのシナゴーグのステンドグラスが世界的に有名になっていたシャガールに、フラウミュンスターの牧師は意を決してステンドグラスの作成を依頼します。
1970年この窓が完成した時、シャガールは83歳。
本人も列席して聖別式が執り行われたそうです。
実はシャガールへの謝礼金と多額の制作費は、チューリッヒ在住のルーとハインリッヒ・ハット・ブーヒャー夫妻が負担したそうですが、当時この夫妻の氏名は明かされていなかったそうです。
中央の緑の窓が全ての窓の要で、キリストの生と死が描かれています。
中央右の黄色い窓にはダビデ王が描かれていますが、ここでは王はまだ羊飼いで、頭上には光あふれるエルサレムの街が描かれています。
左の青い窓は、ヤコブの窓。
シャガールはここで、イスラエルの民の父祖ヤコブが見た夢のシーンを描いています。
脇の赤い窓では預言者エリヤの昇天が描かれ、向かい合う青の窓には十戒が彫られた石板を持つモーゼが描かれています。
そしてもう1点
内陣の窓が完成してから8年、1978年、既に90歳を迎えたシャガールはバラ窓の制作を引き受けます。
シャガールはこの作品で最高のガラス芸術を生み出しました。
無限の生成と消滅をイメージ化させ、時計回りに創世記の場面を描きました。
それらはノアの箱舟による被造物の救済を描く中心部のバラを巡り続けているようです。
と2フランで購入した冊子には書いて有るのですが、短眼鏡を使ってもそこまで確認することはできなかったし、
検索をかけてもいまいち良い写真はありませんでした。
時間が有れば何時間も眺めていたくなる本当に素敵なステンドグラス。
ということで…「他のシャガールのステンドグラス作品も実物が見たい!」という気持ちが強く芽生えましたね。(エルサレムは無理ですけどね)
この教会にはもう一点素晴らしいステンドグラスがあります。(個人的にはシャガールが好き!)
こちらはAugusto Giacometti作
多くの方が勘違いしているように、私も「ジャコメッティ?あの骨骨の?作風違うし、彫刻家だよねぇ???」と思っていました。
その通り有名な彫刻がのジャコメッティはAlberto Giacomettiとは違う人でした。
更にずっとイタリア人だと思っていたけど、スイス人イタリア語圏の人でした。
実はこの二人、完全に他人ではないんですよ、アルベルト・ジャコメッティの父親の従兄弟がアウグストなんだそうです。
アルベルトの父親のジョヴァン・ジャコメッティも画家なので、なんともややこしい、いや芸術家一族というわけですね。
ちなみにアウグスト ジャコメッティはシャガールと一緒に働いています。
こちらは1920年代末期に翼廊に制作されました。
しかし実際設置されたのは戦後、1945年になってからでした。
だからこの作品がまさに平和の象徴、ジャコメッティは「天の楽園」と名付けました。
中央部の量窓には最上部に天球を手にしている父なる神が見えます。
その横に見えるのはキリスト、下には旧約聖書の8人の預言者たちが組になっていて、数多くの天使に囲まれています。
一番下の列には、4人の福音書紀者、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネが描かれています。
チューリッヒに行ったら何よりもここを見て欲しい!
但しくれぐれもルールは守って下さいね。
後ろからはステンドグラス見えなかったですね。
この後はもう1軒、大聖堂に向かいます…が今日はここまで。
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