大分ご無沙汰しておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
台風19号問題で、落ち着かない今日この頃ですが、久々の更新です。
ここのところ色々展覧会など行ってはいるのですが、なかなかご報告できずにいました。
昨日友人の友人からサントリーホールでのコンサートの招待券を頂いたので、コンサート前に2か所展覧会を見てきました。
まず行ったのが「大倉集古館」
Googleマップに頼り切っているもので、周りの施設とか昔より気にせずただ目的地へ向かうことが多くなった昨今、溜池山王駅を出て目的地へ向かう途中、なぜか警察官がいっぱい。
ん?何事と思いながらスマホに目をやって納得。アメリカ大使館の前でした。
今まで中に入ったことがある大使館はイタリアとニュージーランドだけ。あそこはこんな物々しさは有りませんでしたが…
フィレンツェに有ったアメリカ領事館周辺も他の領事館・大使館とは違ってイタリア人の軍人の警備が厳しかったけど。
それにしてもアメリカ大使館の敷地って、広っ!!
アメリカ大使館をよそ眼に見ながら、たどり着いた先は、「あれっ?ホテルオークラじゃないですか!?」
そう、ホテルオークラと「大倉」が一致しなかったのですが、大倉集古館はホテルオークラの敷地内にありました。
それにしても何でこんな中国風の建物なんでしょう???
この方に聞いてみないと。
この方がこの美術館の創始者大倉喜八郎氏。
このブロンズ像は1915年に製作されたということで、100年以上もオークラの歩みを見守っているそうだ。
大倉喜八郎は明治から大正時代に活躍した大実業家。
明治維新以来、産業の振興、貿易の発展に尽力し、育英、慈善事業などに多くの功績を残しています。
その喜八郎が大正6(1917)年設立した日本で最初の私立美術館がこの「大倉集古館」。
「集古館」読んで字のごとく、古いものを集めた場所で、美術という単語自体が、明治に翻訳から出来た新語であるため、当時は「集古館」の方がピンと来たのでしょうか。
日本から多数の美術品が海外へ流出することを憂い、その保護と日本文化の向上を努め、50年以上にわたって蒐集した多数の文化財と土地・建物および維持資金を寄付しました。
しかし大正12(1917)年、関東大震災で建物も陳列中だった所蔵品が全て失われてしまいます。
昭和3(1928)年伊東忠太博士の設計により、中国古典様式で耐震大火の陳列館を建築し、災禍を逃れた所蔵品を元に再開館、これが現在の大倉集古館の礎となっています。
その後長男喜七郎が館の維持経営を支援し、自ら多年に渡って蒐集した名品、特に近代絵画を多数寄付するなどして収蔵品を充実させてきました。
収蔵品には、日本・東洋各地の絵画・彫刻・書跡・工芸など広範囲に渡り、国宝3点、重要文化財13点、重要美術品44件を含むおよそ2500点を所蔵しているそうです。
およそ5年の修復を終え、9月12日にリニューアルオープンを記念した展覧会として「桃源郷展」が開催されています。
実は全然知らなかったのですが、前回のNHK「日曜美術館」で紹介されていたので、ついでに行ったというわけです。
ただ、桃源郷に興味が有ったというより、最近ちょっと与謝蕪村の作品が気になっています。
この展覧会では蕪村と弟子の呉春の作品から始まる「桃源郷」関係の作品を2階に、1階は名品展として収蔵品の一部を展示しています。
「桃源郷」に纏わる作品だけで、よく特別展を開催することができたなぁと感心します。
蕪村と呉春の関係で面白かったのはこれ
蕪村の死後、呉春は師自筆の「桐火桶無弦の琴(きん)の撫でごころ」の栞を見つけ、これに陶淵明像と蕪村自筆であることの証を付してこれを作り、「嫁入手(よめいりて)」つまり、里に戻っていた蕪村の娘の嫁入り資金をこの作品で捻出したという作品。
呉春の方はこちら「武陵桃源図屏風」
こちらは休館中にアメリカのパワーズコレクションから購入したため、今回日本初お目見えとなったそうです。
よく見ると犬や鶏などの動物がかわいいんです。
特別展は特別展で面白かったのですが、私が特に面白かった作品は名品展の方でした。
国宝の「普賢菩薩騎象像」も出ていました。
こちらは昨年東京国立博物館 平成館で開催されていた特別展「名作誕生-つながる日本美術」にも出展されていたようです。
私見てない…かな?
これを見てふと思い出したのは今年見た2つの文殊菩薩。
春、奈良に行った時に安倍文殊院でこちら。
快慶作でこちらも国宝。
そして先日京都に行ったのですが、金戒光明寺で見たのがこちら。
運慶作と言われているようですが、果たしてどうでしょうねぇ?
実はこちらの文殊菩薩を見た時「三大文殊」と書いてあったので、「あれ?もう1体はいずこに?」と思ったのを、普賢菩薩を見て思い出したんです。
で、調べたところWikipediaには3文殊なのに4つ出てますが…なぜ?
日本三文殊
大和の安倍文殊 - 奈良県桜井市
丹後の切戸文殊 - 京都府宮津市智恩寺
出羽の亀岡文殊 - 山形県高畠町(または高知の竹林寺、国東の文殊仙寺)
山城の中山文殊 - 京都府京都市左京区金戒光明寺
何が正しいのか分からんのぅ…
まぁ、私が今年見た2つは「三大」のうちの2つであることは確かなので良しとしましょう。
なんと言っても気になったのは、階段に置かれたこの像
館内撮影不可なのでこちらより写真拝借しました。
https://intojapanwaraku.com/jpart/36934/2/
これ何?狛犬?
これ、こちらのブログに出ていたのですが、伊東忠太が考えたオリジナルの幻獣らしい…かわいすぎます。
そして何よりも衝撃を受けたのはこれ。
この、自動ドアが開いた瞬間の盗み撮りじゃあはっきり分からないので、また上記ブログよりお写真お借りしました。
この写真でも詳細部分は分からないのですが、これぞ中国のロマネスク彫刻でしょう!!
如来立像なのですが、光背や台座、果ては光背の裏側にびっしりと細かな彫刻が彫られているのですが、それがヨーロッパのロマネスク彫刻の様式そっくり。
なんでも5世紀末から6世紀初めの頃の石造如来立像で北魏王朝末期ごろの作品と考えられる。
河北省涿県(現涿州市)永楽村東禅寺に伝わったもの。
世界遺産にも登録されている雲岡石窟との関係も指摘されているようだが、この地方独特の様式という見方もある。
光背の裏には、宮殿や重層塔などの建築物、小座仏、雑技、供養者などの浮き彫りが見られ、人物の脇には「桓」の字が見られることから、この一族の発願で作られたものではないかと考えられているらしい。
彫刻の細かさ、表情の豊かさなど、中国4000年の歴史にびっくりした作品だった。
この展示数で1300円はちょっと高いなぁ、と思ったけどこれで帳消し!!
外にも
私好みの彫刻が。
誰がどこから来たのか分かりませんが、館内だけでなく、外の散策もお忘れなく。
「桃源郷展」は11月17日までホテルオークラの敷地内大倉集古館にて開催
https://www.shukokan.org/exhibition/
入場券が桃型でとてもかわいいですよ。
京都、嵐山にも福田美術館がこの秋、オープンしました。紅葉を見に、京都に行ってみようかな、と思ったら、訪れてみてはいかがですか。
https://fukuda-art-museum.jp/exhibition-cat/now
確かに威圧的なくらい高級感を醸し出していました。(笑)
実は福田美術館にオープン翌日行って来ました。明日もし台風で停電などにならなければ、記事をアップする予定です。紅葉の時期の嵐山は、いつも以上に賑わっていそうですが、ここではゆっくり過ごせると思います。お勧めです!!
長崎は、暴風圏の外ですので安心ですが、
ありがとうございます。
電車の計画運休、スーパーなどの閉店は良いことだと思うのですが、「経験したことがない」とテレビなどで連呼されると、心配だけが募ります。何事もなく通り過ぎてくれるといいのですが…