イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

目的を全然達成できなかったMarcheの旅ー予定

2016年08月08日 16時44分31秒 | イタリアの小さな街・大きな街(Fi以外)

一週間始まりました。
うちの周りの人たちはレストランを残して、皆さんバカンスへ。
先週の悪天候のお陰で、猛暑はちょっと落ち着いていますが、やはり暑いです。

さて、先週のMarcheの旅の続きです。
Carlo Crivelliという画家は、確かにそれほど有名ではありません。
Venezia出身ですが、船乗りの奥さんを旦那が留守の間に寝とった(監禁していた)罪で、故郷を追い出され、二度とその地を踏むことはなかったという破天荒な経歴の持ち主。
でも彼が描く聖女たちはなんとも妖艶。
Filippo Lippiもそうですが、女で人生を変えた画家たちの描く女性って、やっぱり一味違うなぁと個人的には思っています。

Carlo Crivelliの作品はそれほど多いわけではないんです。(フェルメールやカラバッジョ並みに少ないわけでもないですが) 
問題は多翼祭壇をバラバラにされてしまったことなんです。
本来1つだった作品が分解されたことで、数が増えてしまったことと、それほどメジャーな画家ではないのでその小さな作品を普段は展示していないところが多いのが問題。
日本の国立西洋美術館も作品を一点所蔵していますが、展示されていない様子。
詳しい作品についてはこちらを。 

彼の作品が一番まとまって見られるのはロンドンのナショナルギャラリーかミラノのブレラ絵画館でしょうね。
その他は本当にバラバラです。
個人的には2009年にブレラ絵画館で行われた展覧会、
2011年にSarnano(マルケ州)で行われたCarloの弟、Vittoreの展覧会、
そして今年ボストンで行われた展覧会でほとんどの作品は見た、と思いたいのですが、美術館が所蔵している以外に、その土地に残っているものもまだまだあり、そのほとんどが辺鄙な場所。
辺鄙であればあるほど、見た時の感動は大きい、なんて言ってる場合ではもはやない…

今回どんな作品を見に行くつもりだったのか、私自身の備忘録として今日はつづっておきます。
昨日ご紹介した門前払いを受けた、Montefiore dell'Asoには
Polittico di Montefiore dell'Aso(モンテフィオレ・デッラーソの多翼祭壇画)

こちらの多翼祭壇画は本来

こうだったのですが、 中央の聖母子像、聖フランチェスコはブリュッセルへ。
と言っても4月に現地へ行った時、見つけることはできませんでしたが…展示してないんだろうなぁ、たぶん。
Predella と呼ばれる下の段はほとんどアメリカの美術館へ行ってしまっています。
あ~あこの妖艶なマグダラのマリアが見たかった。
アムステルダムのと比べたかった。

ちなみにアムステルダムのマグダラのマリアは、私の一番好きな作品の1つですね。

Carlo Crivelliが好きな方は是非この作品を見て欲しい。
魂抜かれますよ~

そして2日目に行こうとしていたのはPinacoteca civica Vittore Crivelli, San'Elpidio a Mare
Mare(海)という名のわりには海のそばではないのがみそ。
ここ実は7月いっぱいまで修復中って書いて有ったんです。
だから念のため事前にメールを出したら、ギリギリ行こうと思っていた前日にメールが来て、まだ終わっていないと。
辛うじて無駄足を踏まずに済んだのはイタリアにしては上出来ということで。

実はここには6月に偶然Milanoで見たVittore Crivelliの


Polittico dell'Incoronazione della Vergine(聖母戴冠の多翼祭壇画)と同じくVittoreの

Polittico della Visitazione a Santa Elisabetta(聖エリザベス来訪の多翼祭壇画)と”祈っているフランチェスコ修道士”という作品があります。
実はこちらの作品は7月いっぱいAscoli Picenoで行われていた”Francesco nell'arte. Da Cimabue a Caravaggio(芸術の中のフランチェスコ。チマブエからカラバッジョまで)”という展覧会に出展されていたので、もしかしたら作品が戻ってきていないのかも???

そして今回最悪の結果となってしまった(この話は後ほど)Massa FermanaのPinacoeca comunale
こちらには

Polittico di Massa Fermana(マッサ・フェルマーナの多翼祭壇画)とVittoreの

Madonna col Bambino in trono e donatori(玉座の聖母子と寄付者たち)

そしてあと一歩のところまで行ったのに見られず、ホントに悪夢に終わったSan Severino MarcheのPinacoteca comunaleに有る

Madonna col Bambino e santi(聖母子と聖人)
本来ならこれら全て見るつもりだったのに…
他にも2011年の展覧会で見てしまいましたがこれまた行きにくいMonte San Martinoの絵画館にも

CarloとVittoreの共作のPolittico di Monte San Martino(モンテ・サン・マルティーノの多翼祭壇画)や
VittoreのTrittico(トリプティク)があります。

いやいや、こうして並べてみると素晴らしい作品ばかり。
あああ、どうしてもう少し行きやすい場所にないんだろう???
いつかこれらを全て見られる日が来るのだろうかぁ…イタリアに住んでいても無理なんだからなぁ。
やっぱり車か。 



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2 コメント

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S.Francesco (Leslie)
2016-08-09 12:18:14
マルケの旅、楽しく読ませていただいてます。Giotto好きとしては、Francescoが出て来ると、思わず詳しく見たくなります。アムステルダムのマグダラのマリア本当にきれいですね。行って3963見たくなります。コッコロ16日で終わります。
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えっ? (fontana)
2016-08-09 15:50:54
Leslieさん
ありがとうございます。
えっ?コッコロ終わり???何か有ったんですか?先日お店に行った時は何もおっしゃっていませんでしたが…
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