Veneto(ヴェネト州)
今日はヴェネツィアなどを要するヴェネト州からスタートです。(書き始めは他の州も書くつもりだった…)
このヴェネト州には、ミラノのPanettone(パネットーネ)と双璧をなすPandoro(パンドーロ)を要するVerona(ヴェローナ)が存在します。
個人的にはパネットーネよりパンドーロが好き!!
パネットーネのことは数年前に記事にしているので(こちら)、今回はパンドーロについて詳しく調べてみました。
Wikipediaのパンドーロの項の写真があまりにもまずそうでびっくりした。
写真:https://www.agrodolce.it/2014/12/22/pandori-artigianali-da-provare-questo-natale/
パネットーネじゃん?と思われた方もいるかもしれないので、説明しましょう。
パンドーロはパンドーロよりふわふわでバターたっぷり…というのは単なる私の感想、だと思ったらイタリア語の記事にも書かれていました。
これでは失礼なので、更に調査。
パネットーネの方が卵を多く使っていて、砂糖漬けの果物や干しぶどうはパンドーロには入っていない。
最大の違いは生地の発酵に掛る時間。
パネットーネの場合は天然酵母(lievito madre リエビト・マードレ)を使って2,3日発酵させるが、パンドーロはビール酵母などを使っても良くて、18時間、長くても36時間しか発酵させない。
他にもまず匂いが全然違う。
パネットーネはよりフルーティ(これイタリア語の記事からの引用なので、ワインなどを形容する所謂”フルーティ”ではないと個人的には思う。)だけど、パネットーネはバニラの匂い。
参考:https://medicinaonline.co/
実はパンドーロ、2019年に生誕125年を迎えたらしい。
あれ?Wikipediaにはこうあるけど?
”一説によると、パンドーロの歴史は古代ローマに起源があると言われている。
当時は卵、バター、オリーブ・オイルと、様々な小麦を混ぜ合わせた最高級の小麦粉が材料として用いられていた。現代に繋がるパンドーロのレシピは、13世紀にヴェネツィア貴族の宮廷で出されていた”pane de oro”(黄金のパンの意)に由来している。中世の時代、甘いパンというのは特別に貴族達へと納められるものであった。卵、バター、砂糖にハチミツがたっぷり使われたこのパンは王宮で重宝され、王のパン、または黄金のパンとして認知されていた。また、元々の製法はオーストリアで研究され、そこで「ウイーンのパン」と呼ばれていた(おそらくその時はフランスの「ブリオシュ」とされていた物)ものに由来するという説も存在する。”と。
ではこの辺も踏まえて検証していきましょう。
1894年10月14日、ヴェローナ。
菓子職人Domenico Melegatti(ドメニコ・メレガッティ)はその時オーブンに入れたばかりの新しいお菓子のレシピの特許を取ることに決めた。これがパンドーロ。
役所で手続きをしてCertificato di Privativa Industriale(商業独占証書)を獲得。
写真:Wikipedia
パンドーロの名前、形、レシピがメレガッティのものであることが法的に認められた。
それなのにすぐ沢山の人がパンドーロを真似しようとしたので、メレガッティはある賭けをすることにしました。
「真のパンドーロのレシピを持ってこれる人がいたら、1000リラ(現5000€)出そう!」と。
結局、誰も本物のパンドーロを作ることはできず、諦めた。
メレガッティのロゴ。(写真:Wikipedia)
苗字のMelegattiはmele=リンゴ(複数)、gatti=猫(複数)だからこのロゴ、と非常に分かりやすくかわいい。
しかし見たことないなぁ…と思ったら大間違いだった。
Melegattiってこれだ!!現在もパンドーロ作ってました!!
えっ、ちょっと待って、Melegatti倒産!?
(参考:http://romagranato.blog.jp/archives/1068863885.html)
これは2017年の記事かぁ…調べましょ。
何、何???
2年間製造を中止していたそうですが、昨年50人を正社員として、150人を臨時で雇用したというニュース発見!
問題は全て解決したわけではないみたいだけど、とりあえず”倒産”は無くなったみたい。
良かった、良かった。
参考:https://www.corriere.it/economia/
商品化されたメレガッティのパンドーロはメディアのおかげで、1980年代にはイタリアで一番有名なパンドーロになりました。
当時は伝統的なパンドーロとチョコレート入りの2種類を作っていました。
昨年のCMを観たんだけど、いや、去年イタリアに居る時に何度も聞いていたはず…と思ったら、テレビ壊れていたんだ。
これすごく良く出来てる。
2バージョン有るんだけど、1はLa Madre
「パンドーロの母は誰?」
Spot Melegatti Natale 2019 - Episodio 1: La Madre
母はlievito madreつまり天然酵母なのです。
で2はIl Padre、じゃあ「お父さんは?」
Spot Melegatti Natale 2019 - Episodio 2: Il Padre
当然ドメニコ・メレガッティ!
クリスマスプレゼントの箱たちが、自分たちは「いつになったら開けてもらえるの?」とこそこそ言っている。
テーブルの上には青い箱。
Principe azzuro(王子様のこと。azzuroの青と青い箱をかけてる)がいるから駄目だよ。
母は誰?とか父は誰?とか言った後にちゃんと125年前、メレガッティが産みの親だとも言っている。
「125年あの母と一緒にいるから、あの(素晴らしい)形が保てている。あんたは単なる箱よ」と女性の声で手厳しく入っていたのが笑えた。
Mammaが一番のイタリアらしいし、
このCMに限らず、パネットーネやパンドーロのCMって、いつからやってんの?というくらい昔の物も有るけど、ホントにクリスマスらしいほのぼのしていて好き。
”パンドーロ”のオリジナルのレシピはメレガッティのものなので、2019年で生誕125年だったわけですが、実はこの食べ物紀元前1世紀ぐらいが始まりと考えられています。
Plinio il Vecchio(ガイウス・プリニウス・セクンドゥス)が”Vergilius Stefanus Senex”という名で既にパンドーロに言及している。
ある料理人が”パン”を小麦粉(farina), バター(burro)、オイル(olio)で作った。
これが元祖パンドーロ。
“pandoro(パンドーロ)”という名前に関しては、1200年Venezia(ヴェネツィア)の貴族たちが夕食で食べていた“pan de oro(金のパン)”から来ているというのが有力。
円錐型のお菓子で、なんと金箔で包まれていたとか!?
クリスマスを祝う特別なお菓子として誕生し、貴族たちが舌鼓を打っていた。
同じ頃ヴェローナでは“nadalin(ナダリン)”というお菓子がクリスマスのお祝いとして提供されていた。
こちらは現在のパンドーロ同様星形で、現在よりバターが控え目だった。
他にも“levà”というナダリンの影響を受けたと思われるお菓子もある。
12月24日から25日にかけての夜、宮廷の女性たちが小麦粉と牛乳、イースト菌を混ぜて作った。
メレガッティは卵とバターを加え、アーモンドとつぶ砂糖を表面にかけるのを止めた。
参考:https://www.stile.it/2019/10/11/pandoro-buon-compleanno-il-dolce-compie-125-anni-id-222599/
ちなみにパンドーロの先祖とされるヴェローナの“nadalin(ナダリン)”についてちょっと…
と思ったのですが、話が長くなってしまったので、それはまた明日。
12月5日
今日は牛が出て来ました。
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