イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

イタリアで美術史を勉強する!? その1 美術史とはなんぞや?

2009年02月09日 00時09分53秒 | イタリア・大学
今日も
あああ・・・人間にもカビが生えそうです。
昨日、一瞬出た太陽を求めて、生乾きだった洗濯物を外に出したら・・・更に湿った。ありえない
連日の悪天候でToscana内Pistoia(だったかな?)水が溢れて、まるでVeneziaのAcqua alta(アクアアルタ)状態
太陽はいずこへ???

試験が近づいているのになんとなく集中できない。
試験、試験と一体何をしているのか?

私が今勉強しているStoria dell'arte、美術史である。
よく間違えられますが、私は絵は描けません!
結構、実技が出来なくて、この道を選択したという話を聞きます
さて、美術史とは何ぞや???
「美術の歴史」と一言で言うのは容易いが・・・

まずイタリアの大学で↑を勉強しようと思ったとき、はて?学部は?と考えた。
美術=芸術学部ではない。
待てよ、こちらの大学に芸術学部・・・あるのかな?
日本の芸大や美大にあたる芸術専門の大学???
所謂DAMS(ダムス)と呼ばれるDiscipline delle Arti, della Musica, e dello Spettacolo がそれにあたるかなぁ?
気になって説明を読んでみたけど、こちらも私たちに近い感じだ・・・
ちなみにDAMSはBologanが有名です。

こちらは高校に進学する時が運命の分かれ道。
大体ここで将来を見据えた高校を選ぶ。
うちの学科は大抵Liceo classito("文化高等学校"と辞書にはあります)かartistico(芸術)から来る子が多い。
友人のイタリア人が通っているアーティスト系の高校は、日本で言うところの専門学校の要素が強い(実技優先)ので、大学入試資格(Diploma:高校卒業免状)は取れないと言っていた。
そしてAccademia(美術院)かしら???

まず美術史は文系か理系か?
これは一応文系だからUmanistica(人文科学)系
一応というのは、結構理系的要素の強い授業も有るからです。
そしてFacoltà(学部)はlettere,そう文学部
学科はというと、これが今期から名前が変って
STORIA E TUTELA DEI BENI ARCHEOLOGICI, ARTISTICI, ARCHIVISTICI E LIBRARI
"考古学、美術、古文書、書物の歴史と保存"というのが正式な学科名
面倒なので「何勉強しているの?」と聞かれると
「Storia dell'arte」と答えている

ところでこのStoria dell'arteって何?
もちろん「美術」が主役
しかしそれだけではないのです。
辞書には↓こうある。
"è il giudizio critio e storico sulle opere d'arte,in quanto manifestazioni creative originali degli artisti,considerati nel rapporto con la cultura,e la società,cui essi appartengono."
(アーティストが作り出したオリジナル作品とその作品を取り巻く文化、社会を考慮に入れた、批判的な評価と芸術作品の歴史)
この"rapporto con la culutura,e la società"(文化と社会との関係)と言うのが曲者・・・
"初めに作品ありき"ですが、社会学、経済、文化全てが研究材料。
お~、気が遠くなる

例えばGiotto
もちろん彼がどこで、いつ生まれたかなんてことから、どこにどんな作品が有るかなんていうのはBase(ベース)。
この時代はもちろんCommittente(注文主)あってこそ作品が成り立っていた。アーティストにいくら賃金が払われていたかとか、材料を買うのにいくら払ったかとか・・・すごく重要。これでいつ頃どこにいたのかという裏づけになる。
そして同時代の文学。
Giottoの場合はなんと言ってもDante。DanteがGiottoが師であるCimabueよりも才能が上だと"Divina commedia(神曲)"に書いていることは、同時代の評価としてかなり説得力がある。他にもSachettiの"Il trecentonovelle"の中とか・・・
それに加えてCritico dell'arte(美術評論家)が書いた評論、もちろん重要な人のものだけだけど・・・

まぁこれが縦の勉強。それも掘り下げ、掘り下げ。
これはmonografiaと呼ばれる1つの特定人物を扱った研究をする時。
今はまだ一般教養を片付けている段階。
というよりも、大学改正のせいで、このmonografiaの授業、Specializzazioneと呼ばれる"院"のカリキュラムにほとんどが移行してしまった。

縦に入る前に横
先日試験を受けたギリシャ文化紀元前500年くらいから最近の2000年、下手したら昨日のことまで。これが横・・・いや、こちらが縦?

-Medievale(中世)
-Moderna(現代)
-Contemporanea(近代)
ちょっとこの訳語にはピンといかない部分もありますが・・・
所謂日本語のモダンアートはこちらではArte contemporaneaの中に入ります。

ちなみに今週試験を受けるのはStoria dell'Architettura(建築史)
ああ・・・もう何だかど壺にはまってしまったので、第1話はここまで


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