チューリッヒから電車で早ければ15分、鈍行でも1時間もかからないバーデンという町に、スイス一と言われる印象派に特価した美術館が有る、ということで行って来ました。
「バーデン」ドイツのバーデンバーデンもそうですが、つまり温泉地ですよねここも。
でも日本人が思い浮かべる温泉街のイメージは全くなく、街を散策しても温泉宿らしきものはなく、ただ一軒大規模なスパを持つホテルを発見しただけでした。
今ちょっと検索したら引用の温泉が湧いている場所が有ったみたいですが、見つけられませんでした。
スイスで最古の温泉なんだそうです。
大きなカジノが有ったりと、高級保養地、という感じ。
確かクララのおばあさんは、 バート・ラガーツという温泉地にアルプスに行く前に寄ってましたねぇ~
お目当ての美術館に行く前に街を散策。
日曜日だったのでとても静かでした。
モーツァルトも訪れたことがあるのでしょうか?
説明がドイツ語だけだったので分からなかったのですが…
ぐるっと街を散策した後お目当ての美術館を目指す途中
満開(いや既に落ちてるかな?)の木蓮。
バーデンではかなり大きな木蓮の木をあちこちで見かけました。
この日は確実に20度を超えていましたね。
スイスとは思えない暖かさでした。
駅からは15分くらいだったかな、お目当てのラングマット美術館に到着。
とっても静かです。
この美術館ですが、Langmattとは「牧草地」のことなのですが、この美術館の前にはアセア・ブラウン・ボベリ社(ABB)という世界100カ国以上に10万人以上の従業員を持つ大手電機会社が立っています。
創設者であるシドニー・ブラウン(1865-1941)と妻ジェニーのコレクションがここで公開されています。
美術館は有料ですが(12スイスフラン)お庭に入るのは無料なので、私が出てきたときにはここでピクニックをしている家族がいました。
美術館の入り口。
なぜか入っていったら「予期せぬ来訪」みたいな感じで驚かれました。
「どこから来たの?」と聞かれたので「日本だ(本当はイタリアですが)」と言ったら「あ~やっぱり」と言われました。
というのもこの美術館、世界的にはまだまだ知られていないそうです。
1987年までシドニーの息子たちがこのお屋敷に住んでいたのですが、3人の息子の誰にも跡取りがなく、最後の息子ジョンが亡くなる直前、最後までジョンに仕えていた従業員がコレクションが散逸することを危惧し、ジョンを説得してコレクションをバーデン市に寄付することになったそうです。
その後財団が作られ、1990年から一般公開されるようになったまだまだ新しい美術館なんですね。
入り口でバックは預けないといけないようで、「置いてけ~」と言われました。
写真撮影はフラッシュなしならOKです。
個人的な意見ですが、お金もちのところに印象派、印象派のあるところはお金…仕方がないですかね?
お屋敷の1階、2階が展示スペースなのですが、家具なども18世紀のもの、陶器や磁器のコレクションも結構なものです。
ブラウン夫妻はパリなどへ頻繁に趣き、家具などを集めたり、若い芸術家たちのパトロンとなりました。
勿論印象派だけでなく、こちらはヴェネツィア派の画家、カナレットではなかったですが、素晴らしいコレクションです。
他にも
つづれ織りなども普通にありました。
セザンヌを最初にスイスに持ち込んだのは夫妻であると言われ、この時の作品は『テーブルクロスの上の桃と水差しのある静物』で、今でもここの客間にかかっている…とあるサイトには書かれていましたが
この2枚ではないよなぁ…
もう1点は
「水浴」だし。
当時はまだ印象派の画家たちの価値が全然認められておらず、当の夫妻もこれらの作品を買ったは良いが、客間にはおかず、私室において「どうしたものか?」と悩んでいたとか。
今となっては先見の明が有ったとしか言いようがないですけどね。
特に多かったのはルノワール。
個人的にはあまり好きではないのですが、この作品はよく見る作品とちょっと違って興味深かったですね。
「髪を編む少女」1887年
当時ルノワールはまだ自分のスタイルをはっきり確立しておらず、実験的なこのような絵を描いたようです。
ルノアールの作品は全部で22点も有るそうです。
他にも
ゴッホか?という作品やモネなどもありましたね。
スイスには多い天井から自然光を入れるスタイルの展示室に、いい感じで配置されていました。
作品は決して大きくないです。
居間?図書室?
壁にはここにもルノアールが…
窓が大きくほっとする空間ですが、私しかお客さんがいないので、警備員がぴったり私にくっついていて非常に身動き取りづらいんですよねぇ…何もしないのに。
それでも一階をたっぷり満喫した後は2階へ
これもコレクションなのかな?
「お土産」というタイトルがついていて、いろいろな小物が所狭しと飾られていました。
整えられたお庭
2階はプライベートスペースですね。
書斎
図書室?
これがご夫妻でしょうか?
そんなこんなで2時間くらいじっくり見て回り、最後にのども乾いたし、お昼過ぎてたのでカフェに寄ったのですが
う~んいまいち食べたいものはなかったので、街中で食事をすることにしたのですが、日曜日ということもあってお店が開いてない上に、この天気で結構人が出ていたので、食べるところを見つけるのは結構大変でしたが、おいしいパン屋さんでビールとキッシュを。
く~
生き返った。
ブロッコリーのキッシュ。
あっつあつに温めてくれました。
これで9スイスフランだったので、良心的なお値段でしたね。
スイスは残念ながら食べ物が高いですねぇ…
おいしそうだったので、最後にこれも。
これが500円だもんねぇ…おいしかったけどね。
1つ今これを書くために調べていて初めて知ったことが有りました。
名前に記憶がなかったし、絵もそれほど好みではなかったので流してしまったのですが(写真もないし)
メアリー・カサットの「青い枕の赤ちゃん」
これスイスで唯一のカサットの作品なんだそうです。
メアリー・カサットって誰よ?と思ったわけです。
って実は去年日本で(それも地元横浜美術館で)大規模な回顧展が開催されていましたね~
“メアリー・カサット(1844-1926)は、米国ペンシルヴェニア州ピッツバーグ郊外の裕福な家庭に生まれました。
画家を志し、21歳のときに父親の反対を押し切ってパリに渡りました。
古典絵画の研究から出発し、研究から出発し、やがて新しい絵画表現を模索するなかでエドガー・ドガと運命的な出会いをとげ、印象派展への参加を決意します。
カサットは、印象派から学んだ軽やかな筆遣いと明るい色彩で家庭の情景を描き、独自の画風を確立していきました。
特に母子を温かい眼差しで捉えた作品は人々の共感を呼び、カサットの名を不朽のものとしています。“(メアリー・カサット展のサイトから引用)
アメリカのコレクター達に印象派の絵画を勧めたのも彼女なんだそうです。
早期に多量に印象派の作品を購入し、アメリカに印象派絵画を普及させた功績は素晴らしいですね。
そんな彼女の唯一の作品をサラッと流してしまって…ダメダメだわ。
ということで最後に紹介しておきます。
目玉のブリューゲルが1月から修復中だそうです。
推薦した手前、おしらせしておきます。
わざわざありがとうございます。残念ながらイタリア滞在中に再びアントワープに行くことはできそうにありませんが、是非再訪したいですね。