イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

「インスブルックのボッティチェッリ」展(EIN BOTTICELLI FÜR INNSBRUCK)ーインスブルック

2021年11月02日 19時03分00秒 | 世界の美術館

ボッティチェッリ(Sandro Botticelli)の聖母子と洗礼者ヨハネ、2人の天使(La Madonna con il Bambino, Giovanni Battista e due angeli)が暫くの間フィレンツェのアカデミア美術館を留守にしてインスブルックへ向かう。

インスブルックのチロル州立博物館 (Tiroler Landesmuseum Ferdinandeum)で開催される”EIN BOTTICELLI FÜR INNSBRUCK(インスブルックのボッティチェッリ展)”に出展される。
この展覧会は他にもデューラー(Albrecht Dürer)などドイツ、オランダの15,16世紀の画家が描いた同じテーマの作品が出展され、ルネサンス時代の様々な聖母子像が一堂に会する。

この作品は1468年、ボッティチェッリが若い頃の作品で、まだ師匠ヴェロッキオ(Verrocchio)やフィリッポ・リッピ(Filippo Lipp)との関係性が読み取れる。
作品が小さいことからこれは教会などではなく、家庭(と言ってもお屋敷だが)での信仰対象に用いられたものだろう。
誰の注文かどこに置かれたものかはわかっていない。
1900年サンタ・マリア・ノーヴォ病院(l’Ospedale di Santa Maria Nuova)の記録に現れ、1919年からアカデミア美術館(Galleria dell’Accademia)に収蔵されている。

最後にフィレンツェのアカデミア美術館に行った時、この作品を見なかった気がするが…

写真:https://www.accademia.org/it/esplora-il-museo/le-sale/sala-del-colosso/
この写真を見ると、見たような気もしないでもないが、今はこういう感じで展示されているらしい。


アカデミア美術館の館長は、パリのMusée Jacquemart-André(ジャックマール・アンドレ美術館)に続いて2作品のボッティチェッリが貸し出されることを誇りに思うとコメントしているが、この美術館にはもう1点ボッティチェッリ?という作品が有る。
写真のインスブルックの聖母子像の右下にあるやつだ。

写真:http://www.travelingintuscany.com/
留守番中の「Madonna del Mare(海の聖母)」だ。
窓から海が見えているからというのと、聖母の青いマントに描かれた星は”Stella Maris”、「海の星の聖母」を表している。
ステラ・マリスの聖母とは、聖母マリア、イエス・キリストの母マリアの古来の呼び名である。
1477年頃に描かれたもので、サンタ・フェリチタ教会の修道院(convento di Santa Felicita)の為に描かれた作品で、作者はボッティチェッリもしくはフィリツピーノ・リッピ(Filippino Lippi)と考えられている。ボッティチェッリの可能性の高いものから貸出された、ということかな?

インスブルックの展覧会は2021年10月29日から2022年1月30日まで

そういえば、2週間前アカデミア美術館では、グリーンパスに反対するストライキが2日に渡って行われた。今イタリアでは、全ての労働者にワクチン接種が義務付けられている。感染状況が酷かったイタリアだから仕方がないのか、と思う反面、いくらなんでも行き過ぎでは?と私でも思ってしまう。何が良いのかは分からないが、今は日本もこのまま落ち着いて欲しいと思う。


写真・参考:https://artemagazine.it/



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