10月8日、修復中だったアスコリ・ピチェーノ(Ascoli Piceno)の聖エミグディウス大聖堂(cattedrale di Sant'Emidio)のサンティッシモ・サクラメント礼拝堂(Cappella del S.S. Sacramento)に保管されているカルロ・クリヴェッリ(Carlo Crivelli)の多翼祭壇画が戻って来た。
元の場所へ戻す前に、間近で見られるようにこんな配置で置かれているという。
こんな状態で!?
写真:Ansa
いや~、もうどこでもドア~
この状態ってかなり近くに寄れるし、一枚一枚じっくり見られるじゃん!
3部構成(cimasa, parte centrale e predella)をバラした状態で見られるなんてそうそうないし。
あ~もう飛んで行きたい!!
私がこの作品を見たのは2014年10月
実際はこんな感じで壁の結構高い位置に置かれている上、礼拝堂内には柵があるので入れない。
これ、修復前。
ズームで撮ったのね。
それにしてもなんで傾いてんだ、下手な写真だなぁ、誰が撮ったんだよ!(はい、私です。)
とにかくでかいこの多翼祭壇画は
"OPVS KAROLI CRIVELLI VENETI 1473"
のサインからも分かるようにカルロ・クリヴェッリ(Carlo Crivelli)によって1473年、制作された。
1472年司教プロスペロ・カッファレッリ(Vescovo Prospero Caffarelli)が注文し、1894年サクラメント礼拝堂に移動されるまでは主祭壇を飾っていた。
ヴェネト出身の偉大な画家の唯一の完璧な作品というだけでなく、マルケ州内の多くの傑作が何らかの要因で本来の設置場所から動かされているにもかかわらず、これは設置場所(教会内では移動したけど)も木製の装飾された後期ゴシック額縁も制作当時のオリジナルというまさに奇跡の作品。
21人の人物が3段に分かれ描かれている。
2016年に発生した地震の後、修復の必要性を感じていたものの、実際修復が始まったのは2020年1月29日。
ある人が寄付をしてくれたそうだ。
まずそれぞれの絵を支える額の部分を調査、その後多翼祭壇画のそれぞれの板絵の調査へと進んだ。
木を食う虫がいないかとか湿度の状態を調べ、保存状態が悪くないことが分かった上で害虫駆除や洗浄、傷んだ部分の補強などを施した。
こうして作品が光を取り戻した。
いつまでこの状態で見られるのかなぁ…
ちなみに全然知らなかったけど、この多翼祭壇画の前に置かれていた木製聖体容器(Tabernacolo)はジョルジョ・ヴァザーリ(Giorgio Vasari)の作品。
写真・参考:https://www.italianostra.org/archivio/in-evidenza/i-restauri-di-italia-nostra-ascoli/
元々はサン・ヴィットーレ教会(Chiesa di San Vittore)の為に作られたものだったが、1573年アスコリ・ピチェーノの司教、ピエトロ・カマイアニ(Vescovo di Ascoli Piceno Pietro Camaiani)の注文で作られた。
2016年の地震で被害を受け、こちらはちょっと先に修復された。
実はこの中に2016年の地震で被害を受け、数か月の間瓦礫の中に有ったアルクアータのサンタ・マリア・アッスンタ(chiesa di Santa Maria Assunta di Arquata)の聖体容器の中に入っていた40個の聖体が全て入れられている。
おまけ
アスコリの思い出と言えばこれ。
Olive ripiene all' ascolana(アスコラーナのオリーブの詰め物)
これ美味しかったなぁ…
いつ行けるんだろイタリア。
行きたいところが増える一方だよ、とほほ。
参考:https://www.ansa.it/
アスコリの広場の端にあるカフェでオリーブの詰め物揚げ(ピーマン肉詰めみたいな感じ)をたくさん食べたものです。とても意外だったのは、アスコリのパンが異常なくらい美味しかったこと。イタリア1じゃないかと思いました。
コメントありがとうございます。
私もヴァザーリ作とは思わなかったので、今回記事を読んで驚きました。
アスコリのパンですか、記憶にないので、確認しに行きたいです。オリーブの詰め物、食べたいですねぇ。
URL
という論文がありました。なんと実験して確かめるというものです。
なんか料理材料みたいなもので盛り上げていたんですね。腐らないのかなあ。前のルーマニアのチーズ・テンペラと同様に料理と絵画材料には、つながりがありそうです。
情報ありがとうございます。
アムステルダムのマグダラのマリアは、クリヴェッリ作品の中でも一番好きな作品ですし、じっくり読んでみたいと思います。