再び出ます。
2022年1月のニューヨークSotheby’s(サザビーズ)のオークションにサンドロ・ボッティチェッリ(Sandro Botticelli)の作品で長年プライベートコレクションだった「悲しみの人、キリスト(Cristo l’Uomo dei dolori)」が出展されるらしい。
今年の1月Sotheby'sのOld Master部門史上第2位の高額記録、9200万ドル(約96億円)を出した“丸い絵を手にする若者(Giovane che tiene in mano un tondello)”に続くボッティチェッリ作品の登場で、今回も4000万ドル以上の値段が付くだろうと予想されている。(前回の件はこちら)
10月7日から11日までは香港、その後ロス・アンジェルス、ロンドン、ドバイで展示されてニューヨークに戻るそうだ。
この「悲しみの人」の最初の記録はオペラ歌手アデレイド・ケンブル(Adelaide Kemble)のコレクションに登場する。
その後曾孫のLady Cunynghameに渡り、1963年10,000ポンド(およそ28,000ドル)で売却された。
この時から所有者不明のプライベートコレクションとなっていたが、2009年から2010年にドイツ、フランクフルトのシュテーデル美術館(Städel Museum)で開催されたボッティチェッリの特別展に出展された。
この傑作はボッティチェッリの画家生活後期の作品として非常に重要な作品である。
というのも画家の特徴がそれまでとはっきり変化している。
詩的で神話的ながテーマを描いた「ヴィーナス誕生(Nascita di Venere)」や「春(La Primavera)」はより地味で精神的な作品に取り組むようになる。
正面を向いたキリスト、グリサイユ(全体を灰色の濃淡で描く画法)で描かれた光背は、よく見ると天使たちが受難のアイテムを掲げながら円を描いている。
背景の黒で、天使の姿がよりはっきりと見られる。
十字架から降ろされたキリストの上半身だけが描かれ、傷ついた手は胸の前で交差され、見ているものに彼の犠牲を強く訴えている。
ボッティチェッリは精神の奥深くにイメージを使って強く訴えようとしている。
これは疑いなく、ルネサンス末期のボッティチェッリの作品で、ドメニコ会の修道士、ジローラモ・サボナローラ(Girolamo Savonarola)の影響が確かに見られる。
さて、今回はどれくらいの値が付くのだろう?
それにしてもそうそう出て来ないと言われるオールド・マイスターの作品がこうたびたび出てくるのはなぜかしらん?
写真・参考:https://www.sothebys.com/en/articles/sandro-botticellis-the-man-of-sorrows?locale=en
参考:https://artemagazine.it/2021/10/08/un-capolavoro-di-botticelli-allasta-da-sothebys-a-new-york/
こちらの記事待っていました(*´∀`)♪
ボッティチェリの情報がたくさん入るのを楽しみにしています。
(人任せですみません。)
ミュンヘン滞在もあと2年となりましたが、制限はありますが、できる限りボッティチェリの展示会を訪問したいです。
ご無沙汰しております。
ボッティチェッリのネタ、注意しておきますね。
あと2年なんですね。コロナでなくても日本に戻ってきてしまうとなかなか「今行く!」、ということができなくなるので、是非色々見て周って下さいね。