連休、妹が子供たちを連れて実家に遊びに来ました。
そして、まんまと風邪の置き土産をしていったおかげで、鼻がぐずぐず、咳はゴホゴホ。
全くやられた…という感じです。
急に気温が落ちましたので、皆様も是非体調にはお気を付けください。
さて、元気だった先週ですが、木曜日出光美術館に行ってきました。
目的は
仙厓礼讃(せんがいらいさん)
今年一番「萌えた」展覧会でした。
ゆるい、絵がゆるいんです。元祖ゆるキャラ!?
とか言いながら実は仙厓がだれかって、この展覧会に行くまで全然知らなかったんです。
仙厓(1750 - 1837)は臨済宗の禅僧で、ユーモアのある「禅画」でその名が知られています。
「自画像画賛」(現存する絵筆を手にした唯一の自画像)
現存するほとんどの作品が62歳で住持職を引退してから88歳で亡くなるまでに描かれ、出光美術館におよそ1000点、他の美術館に500~600点の作品が残っているので、およそ25年の間に2000点を描いたと言われています。
これだけの作品を残せたのは何よりも元気で長生きしたおかげです。
好々爺だったでしょうねぇ。
出光美術館では11年の間に4回展覧会をしていて、今回は5回目。
今回は”老後の達人”をテーマにおよそ100点が展示されています。
禅画にはほとんどの場合、絵の上や余白にその絵の内容と連動した禅宗の教えに基づいた詩歌や文章が描かれています。(「画賛」という)
文章は現代の私たちが読むにはちょっと難しいのですが、キャプションにちゃんと説明があるので、絵と共にそちらを読むのもお忘れなく。ただし、1つずつ丁寧に読んでいると非常に時間がかかります。
今回は丁度行く日に「ギャラリートーク」があり、学芸員さんが小1時間展示を説明してくれたのですが、それとは別に最低2時間は必要な充実したないようでした。
ギャラリートークはかなりおすすめです!!
http://idemitsu-museum.or.jp/exhibition/present/
私の一番のお気に入りはこれ
「指月布袋画賛」あまりにもかわいくて絵葉書買っちゃいました。更に友達にもあげちゃいました。
過去の展覧会にも毎回出されている作品です。
「出さないと見に来たお客さんに怒られる」というわけで毎回悩みに悩んだ末に出していると学芸員さんは言っていました。
これを出せばあれが出ず、あれが出ればこれが出ず…ずっと仕舞っていたものに日の目を見せたい気持ちと、定番を出さないと私みたいに名前は知らなくても作品を見たことがある人に「なんで出てないんだ!」起こられる、さてどちらを取るかとせめぎ合うのはよく解ります。「全部出せ!」とは言えないですからね。
この絵の説明に
「禅画の楽しみ方は見る側の心がけ。禅を目指す者には禅の教えを、そうでなければ一時の心の和み」
と書いて有ったのが非常に印象的でした。
なぜかというと時々「絵画の見方が分からない」「どう見たらいいのか?」と聞かれることが有ります。
でも芸術の見方なんて人それぞれ、正解なんかないし、そうかしこまって観る必要なんかないわけで、この仙厓の心意気と同じです。
会場は
第1章 長寿は天からの授かりもの ─「老人六歌仙画賛」を中心に
第2章 力を尽くせば、必ず報われる ─仙厓画傑作選
第3章 楽しき思い出よ、いつまでも ─「書画巻」をめぐって
第4章 悠々自適な隠居暮らし ─旅行三昧・趣味三昧の日々
第5章 愉快なり、友との日々 ─仙厓流ユーモアを育んだ面々
の5部構成。
見どころの1つは出光興産の創業者でこの出光美術館のコレクションの核を作った、出光佐三の最初のコレクション作品と最後のが展示されていること。
出光佐三は2年前映画にもなった「海賊と呼ばれた男」のモデルにもなった人物。
彼のコレクション第1号が19歳の時に手に入れたこの「指月布袋画賛」でした。
そして1981年、95歳の佐三が死の床についているのに、「仙厓ですよ」と古美術商が枕元までやって来て、それを手に入れたというのがこちら
「双鶴画賛」
「鶴は千年、亀は万年、われは天年」と書かれています。
鶴や亀のように長生きできなくとも、少しでも長く生きられればいいという庶民の願いを汲みつつ、一日一日を大事に生きましょうと説いています。
これを死が目前に迫る出光佐三の元に持ってきた古美術商も古美術商なら、買っていまう佐三も佐三だよ。
年をとっても好奇心が旺盛で、珍しいものが大好きだった仙厓。
紙と矢立を持ってスケッチ旅行に出かけたり、変わった石を集めたり。
この展覧会を見ると老後の楽しい過ごし方というものがよく解ります。
誰にでも描けそうなへたうまな作品は、線が単純だからこそ誰にもまねできない。(学芸員さんも試したこと有るって言ってました)
若い人が見れば可愛すぎて悶絶、年齢が行けば「そうそう」とほくそ笑む事しかり。
とにかく今年一番ほっこりした展覧会で、もう一度ゆっくり見に行ってもいいと思わせる出来でした。
また会場を出たところに数点ですがルオーの作品が展示されていたのもうれしかったです。
出光美術館は、休憩場も備えていて、お茶が無料で飲めるのも良いですよね。
是非是非ご覧あれ~
出光美術館 仙厓礼讃
2018年9月15日(土)~10月28日(日)
は額絵を友達のベルギー人の画家におくったら、とても喜ばれました。
こういう妙は万国共通に理解できるのでしょうか、嬉しいことですね。