イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

文化財よ、永遠にー泉屋博古館分館

2019年10月13日 09時00分00秒 | 展覧会 日本

「横浜ほぼ停電」って何でしょう?
まだ辛うじて点いてるので、次のネタ書いちゃいましょう。(アップは13日になりますが)
家から出られないと、こうなります。

さて「大倉集古館」へ行った後、急いでもう1軒「泉屋博古館 分館」へ向かいます。


この辺りは大使館目白押し。イタリア大使館はなぜこの辺りではないのでしょうか?
「泉屋集古館」?
こちら東京に有るのは分館で本館(とは言わないけど)は京都にあります。
住友家代15代当主、住友吉左衛門友純(ともいと。号:春翠)が収集した美術品を中心に、昭和35(1960)年、京都東山の住友本邸敷地の一角に財団法人として設立されました。
「泉屋」は江戸時代の住友家の屋号で、「博古館」は約千年前中国で編纂された青銅器図録「博古図録」に由来しているそうです。
住友の青銅器コレクションは、中国国外においては、質・量ともに世界的にも非常に充実したものとして知られています。
青銅器のコレクションだけではなく、洋の東西、新旧を問わない多様なコレクションは、書籍や絵画、茶道具など、国宝2件、重要文化財19件、重要美術品60件を含む約3000点に及んでいます。
こちらの分館は、関東での鑑賞の便を高めるために平成14(2002)年に六本木の旧住友麻布別邸の跡地に開設されました。

ここに来たのは先週の「日曜美術館」を見たから。
現在こちらでは「文化財よ、永遠に」という、文化財修復に特化した展覧会を開催しています。


2021年に創立30周年を迎えるのを記念して(まだ2年もあるのに?)公益財団法人住友財団が支援して行ってきた、1000件を超える国内外の文化財修復事業の報告と言える展覧会です。
京都の泉屋博古館、東京国立博物館、九州国立博物館の全国4か所で同様に展覧会が開催されています。
ここ東京では伝統の技術と最新の科学によって近年修理された国宝や十分を含む絵画や工芸品約50点が展示されています。

一番気になったのは、昨年地元の金沢文庫で見た「十二神将像」
写真を探していたところ非常に良くできた動画を発見しました。

神奈川県立金沢文庫 特別展「十二神将―修理完成記念特別公開―」2018/04/06Fri.
これもこちらの支援で修理されていたんですね。
この「十二神将展」を見て、十二神将にかなり興味が湧きました。

そしてもう1点特に面白かったのが円山応挙の「淀川両岸図巻」

”京都から大坂まで淀川を船で下る行程を、全巻幅42㎝、長さ1690.5㎝の長大な画巻に詳細に描出し、特に両岸の風景を船上の人の視線の向きに沿って描いたことで広く知られる。実業家原六郎(1842~1933)の旧蔵品として原家に伝来した。海外での評価も高く、これまで国内外の近世美術の展覧会に出品されてきたが、経年による膠の固着力の劣化のため、絹の破損、浮きが目立ち危険な状態である。”(引用:http://www.sumitomo.or.jp/html/culja/jp0201.htm

この作品が非常に面白いのは、さすが写生の応挙、川のの両岸を見たまま、つまり下は逆さまに描いていること。
こんな作品初めて見た。面白い!!

この写真を探していたら、修復支援金の詳細も発見しました。
参考:http://www.sumitomo.or.jp/html/culja/culjalis2002.htm

「日曜美術館」では九州国立博物館で展示されている「千手観音菩薩像」が取り上げれれていました。


熊本大地震で甚大なダメージを受けた仏像を、家が崩れた住人たちがまず先に修復を願ったそうです。
この修復で、それまでの”間違った”修復の訂正と住民が愛した仏像のイメージを損なわない修復が施されたそうです。

先人が残した非常に重要な文化財を、いかに後世に残していくか。
色々考えさせられる良い展覧会でした。
こちらは絵画と工芸品だけだったのですが、東京国立博物館には彫刻があるようなので、近いうちにそちらも見に行きたいと思います。

泉屋博古館 分館(東京)10月27日まで
東京国立博物館 12月1日まで
泉屋博古館(京都)10月14日まで
九州国立博物館 11月4日まで

泉屋博古館オフィシャルサイト
https://www.sen-oku.or.jp/



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