イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

ドービニー展ー損保ジャパン日本興亜美術館

2019年06月29日 14時18分41秒 | 展覧会 日本

先週の話。
友人からもらった招待券で、30日まで新宿の損保ジャパン日本興亜美術館で開催中の「シャルル=フランソワ・ドービニー展」を見に行った。

新宿の高層ビルにあるこの美術館の売りの1つはこの景色?


42階にあるので、新宿駅を見下ろす感じ。国立競技場も大分出来上がってるわ。
しかしこのパノラマを見られるのもあと半年。
「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」はこの秋移転、新しい美術館は2020年5月、隣接する地上6階地下1階の建物内にオープンするらしい。(参考

さて、正直に言いまして、「シャルル=フランソワ・ドービニーって誰?」
名前、聞いたことあるかもしれないけど、記憶には全くなかった。

ドービニーは19世紀フランスを代表する風景画家で、既に山梨、広島と巡回して来たが、今回は日本初の本格的な展覧会。
”刻々と変化する水辺の情景を素早いタッチで描いたドービニーは、印象派の画家たちの指針となり、モネやファン・ゴッホなど、次世代の画家たちに大きな影響をあたえました。本展覧会では初期から晩年まで、ドービニーによる作品約60点、ならびにコロー、クールベ、ドーミエ、デュプレ兄弟、息子のカールといったドービニー周辺の画家たちによる作品約20点を展示いたします。フランスのランス美術館を中心に、国内外各地の美術館・個人が所蔵する作品で構成されます。”(公式サイトより抜粋)

より詳しくは、会場(1階ロビー)でも流れていたこのアニメーションが分かりやすい。いや、この動画見たら、彼についてこれ以上説明することはないような…
【東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館】「ドービニー展」紹介アニメーション

ドービニーはミレー、コローに代表される「バルビゾン派」の一人。
「バルビゾン派」とは、フランスのバルビゾン村やその周辺に画家が滞在や居住し、自然主義的な風景画や農民画を写実的に描いた画家たち。
ドービニーは「旅する画家」とも呼ばれるほどアウトドア派の画家で、印象派に先駆けて、戸外に出ただけでなく、船を買ってそれをアトリエにしスケッチの旅に出かけてしまうほど。


これがドービニーの船。描いたのは本人。
この船旅を版画にした、こちら「船の旅」が良かった。

版画は、経済的な助けとなる手段の1つだったが、これが非常に良い。
私のお気に入りはこれ!

「水夫見習いを祝う魚たち」
この生き生きとした魚たち、良いわ!
この版画集、複製を避けるために、一度の展覧会に全てが出展されることがないんだとか、今回も版画の原板15枚と原画16枚が展示されていた。

ドービニーは1860年に オーヴェールに土地を購入し、住居兼アトリエを構えた。
そこにはセザンヌ、 モーリス・ド・ヴラマンクも滞在している。
1890年、その頃既にドービニーはこの世を去っていたが、ゴッホもオーヴェールを訪れている。
ドービニーの妻の許しを得て、庭に入れてもらったゴッホが描いたのは

「ドービニーの庭」
この作品はスイスのバーゼル美術館とひろしま美術館に所蔵されていて、広島の方はバーゼルの方を模写したものと考えられている。
そしてこの作品はゴッホが自殺する直前に描かれた作品らしい。
どうやらこの「ドービニーの庭」、現在ポーラ美術館の特別展に来ているらしい。
こちらは近々行く予定。

印象派、記憶への旅
7月28日まで
ポーラ美術館

若い時は画家としての成功のため、ローマ賞取得を目指すも落選。
フランスに残ったことで、歴史画や宗教画ではなく、風景画家へと転向する。
身近な自然を描き始め、移ろう空や水の色をキャンパスに写し取ったドービニーは、派手な活躍こそなかったものの静かに新しい時代の扉を開けた画家。
1860年代に入り、若い印象派と呼ばれる画家たちの登場、その才能を見抜きサロンの審査員を引き受けた1866年以降は、モネなど後の印象派の巨匠たちを積極的に評価しただけでなく、その作品を画商に紹介し経済的にも援助をしていた。

「ヴァルモンドワの森の中(ル・ソスロン)」
1877年の作品。私はこれを見た時、この作品を思い浮かべた。


マネの「草上の昼食」こちらは1867年の作品。
ドービニーは印象派に大きな影響を与えただけではなく、本人も若手の画家からなかり刺激を受けていた。
19世紀、フランス絵画界には様々な新しい風が吹き、切磋琢磨した数々の有名無名の画家たちによって世界をリードする存在になっていったのだった。(ドービニーが無名なのは「日本では」、ということだが)

新宿での展覧会は明日6月30日まで。
https://www.sjnk-museum.org/program/current/5750.html
この後は、秋に三重県立美術館に巡回する。

予想以上に良い展覧会だったし、全然知らない画家で興味も有ったので、図録を買っても良かったのだが、図録買っても開かないことが最近多く、「無駄!」ということで、今回は止めたのだが、この美術館は子供用の「ジュニア版ブックレット」を作っていて、今回はそちらを購入した。

お値段も300円とお安いし、何と言っても軽い!


「子供用」と言って侮ってはいけません!
美術のことよく分からないし、難しい専門用語など苦手だわ~という方にはもってこい!!
おすすめ。他の美術館でもやればいいのに。



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
美術館 (カンサン)
2019-06-29 21:59:56
fontanaさんへ、損保ジャパン日本興亜美術館ではゴッホのひまわりが常設展示されていますね。2、3度行ったことがあります。"ドービニーの庭"は広島市に行った時、ひろしま美術館に行って見たことがあります。
私、きょう、午前中、奈良県で野鳥のヤマセミを見てきました。夕方は山形交響楽団のコンサートに行ってきました。森 麻希様もご出演のコンサートです。私、森 麻希様のファンです。♪
返信する
きれいですねぇ~ (fontana)
2019-06-30 14:32:38
カンサンさん
コメントありがとうございます。
バブルの遺産とも言えるゴッホは今でもあります。
ヤマセミ、初めて見ましたがこんな色なんですね。綺麗ですねぇ。貴重な写真が撮れて良かったですね。
森麻希さんをYoutubeで見ました。確かに”美魔女”です。おきれいですねぇ。声も好きなタイプでした。
この週末は非常に天気が悪く、ダラダラと無意味に過ごしていた私とは大違いです。
返信する

コメントを投稿