イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

Antonello da Messinaを見にRovereto

2013年12月15日 13時44分14秒 | イタリア・美術

日曜日です。
昨晩あまりにも疲れていたので、頭を使わなくていい日本の番組を見ていたらすっかりはまってしまって、寝るのが遅くなったもので、今朝は少々寝坊してしまいました。
久しぶりにストレスも用事もない日曜、ということで朝から片付け物をしたり・・・
それなのにPresepi(クリスマスの人形たち)を出すスペースは確保できず。
今年も彼らは日の目を見ることはないのでしょうか?(なぜか他人事)
外に出るとクリスマスの買い物目当ての人たちでものすごい人なので、今日は家にいます。
この時期週末家から出るの本当に嫌。
不景気、不景気と言いながらものすごい人なんですわ。

この話とはちょっとずれますが、最近またユーロがとっても高いですよね。
昨日友人が知り合いから頼まれたとのことで、コーヒーカップを探して回っていたのですが、予算は送料込みで6万円。
手書きの陶器を希望とのことでした。
ぐるぐる回った挙句、150ユーロ以上なら送料無料というお店に決めたのですが、なんとこの予算だと360ユーロ位で危険なんですよね。
頼んだ人はエスプレッソ用のデミタスカップを10客くらいと普通のコーヒーカップも。
彼女がネットで調べたところ、手書きは安くても20ユーロは超える、ということで最終的には予算で買えるだけでいいと言うことに落ち着いたらしいのですが・・・
360ユーロしか(両替手数料を入れたらもう少し下がるけど)6万で買い物できないんですよ~
あ~100円まで下がったときに大量購入しておけばよかった。
しかし、何で今こんなにユーロ高いんだろう・・・
1ユーロ170円に迫った時代を知っている私たちでも140円越えはきついなぁ・・・
やはり帰り時かなぁ。

さて、前置きが長くなりましたが、時間もあるので何か書こうかなぁと思ったのですが、何から書こうか全然浮かんでこないんですよねぇ。
ということでかなり時間が経っていますが、今書かないとお蔵入りになってしまうだろうこのネタで。

かれこれ3週間ほど前、11月の末になりますが、お客さんが来ていたにもかかわらず、彼女を放って旅に出ました。
向かった先は

既にこの時期雪が見えます。

北の果て・・・に近いRovereto(ロベレート)まで行ってきました。
Roveretoと言ってもピンと来ない方が多いと思いますが、Trento(トレント)の手前(Firenze方面から行く場合)と言えば位置的にお分かりいただけるかと。
Firenzeから結構距離はあるのですが、一日数本FirenzeのS・M・N(サンタ・マリア・ノベッラ)ではなくCompo di Marte(カンポ・ディ・マルテ)という駅からBolzano行きのインターシティーがあるので、それに乗れば料金も割りと安く、片道3時間でRoveretoまで行くことができます。

さて、何のために来たのかというと(ぶらっと来るような場所ではないですからね)

2014年1月14日まで開催しているAntonello da Messina(アントネッロ・ダ・メッシーナ)展を見に。
彼の展覧会は2006年Romaで大々的に行われたので、しばらくないだろうと思っていたのですが。
ちなみに私はこのRomaの展覧会開催中、大学入学の手続きのため日本にいないといけなかったので見逃しているんですねぇ。
近年の大きな展覧会で見逃したのはこれだけ、と言ってもいいくらいなんですが、とっても残念です。
まぁそんな理由も有ったので、今回は見逃せん!!
しかし年末年始は無理だし、試験も有ったし・・・ということでどうしようもなく、お客さんをおいて出かけることになってしまいました。

さて、着いたのが丁度お昼時だったので、何処かでお昼を食べてからゆっくり会場に行こう、ということでCentro方面に向かうと

ラッキー!クリスマスのMercato(マーケット)が出ていました。
変な時間だったので人は少なかったけど。
よっしゃ~ここでホットワインと何か食べましょ。
ということで

昨年Bolzanoに行った時に食べられなかったCanederli(クネーデル)とホットワインの組み合わせで。
いやいや、これがおいしいのなんの。
体の芯から暖まるし。

こちらのお店でいただいたのですが。(立ち食い)
お店の人も感じよかったです。

腹ごしらえも済ませたところで、いざ会場へ
途中

でっかいポスター発見

会場到着
会場はMART - Museo D'Arte Moderna e Contemporanea di Trento e Rovereto
2002年にオープンしたイタリアでは非常に新しい美術館で(イタリアで”美術館”が生まれるのは1500年代半ば。今回受けられなかった試験はこの辺りを勉強しているので、機会があればそちらの話もしたいのですが・・・)
現代アートのコレクションに関しては非常にレベルの高い美術館で、私は昔印象派の展覧会か何かのときに一度訪れたことがありました。


この大変印象的な建築はスイス人建築家Mario Bottaによるものなんだそうです。
私が行ったのは火曜日だったこともあって、入場したときはほとんど人もいなくて快適でした。
3階の常設点を見て、もう一度Antonelloに戻った時は、グループがたくさんいましたが。

もともと作品数があまり多くないAntonello da Massinaなので、わざわざここまで足を伸ばす価値あるかなぁ・・・と電車の切符を買う前にすごく悩んだものの、結果的には行ってよかったです。
Wikipediaで彼について調べると

アントネロ・ダ・メッシーナAntonello da Messina, 1430年頃 - 1479年)は、15世紀ルネサンス期に活動したイタリアの画家。ティツィアーノ、ヴェロネーゼらの巨匠を生んだヴェネツィア派の初期の重要な画家であり、フランドル風の細密描写をイタリア絵画に導入した。また、イタリアにおいて油彩の技法を本格的に用いた最初期の画家でもある。

こんな感じに紹介されている。
丁度昨日読んでいた本の一部にも彼について書かれていた部分があった。
この本はMarco Antonio Michiel e il collezionismo veneto(マルコ・アントニオ・ミキエルとヴェネトのコレクション)という本。
このCollezionismo、今私たちがイメージする”コレクション”よりはもっと意味の深いものなんですが・・・
このMichiel氏が何をしたかというと、彼はベネツィア出身の人文主義者と言うだけでなくものすごく知識人。
当時のアート主要都市(Roma,Firenze,Napoli)に加えLombardoの街を回り更に目を肥やし、PadovaやVeneziaの貴族のコレクションの記録などを行っていました。
まぁ今ではそんなに大それたこととは思いませんが、何が彼のすごいところかというと「記録を残した」ということなんです。
これ以前も目録(inventario)もような物はあったのですが、彼はカタログ(catalogo)を作ったそうです。
大して変わらないじゃん、という気もしますが大違い。
目録は大抵作品名、良くて作者くらいしか記載されていなかったのがMichiel氏は作品のテーマ、どこから来たか、誰が所蔵していたかなどなど事細かに記入していたわけ。
で?と言う感じですが・・・
カタログのおかげで当時どういう作品が流行っていたのかとか、どういう画家が好まれていたのかとかが分かるわけですよ。

当時の流行はarte antica(古代芸術)つまりギリシャ・ローマ時代の彫刻が一番のヒット商品(?)でした。
ローマ時代の彫刻の多くはギリシャ時代のコピーと言っても過言ではないのですが、いくらコピーと言えどローマ時代のものですからねぇ。
ではなぜギリシャか?というとギリシャの彫刻たちが芸術作品で最高と考えられていたから。
それはなぜか?それは”自然美”芸術というのはどれだけ自然を模倣できるか決まると考えられていたんですね。
ギリシャ彫刻は”自然”をも超えている、ということで芸術作品の頂点に立っていたわけです。
そして当時は美的欲求のために芸術作品を収集するという意図の他に、文学作品と同じように芸術作品からも古代人の徳(Virtu')を読み取りたいという意図も多分に含まれていたそうです。

またルネサンス期に入ると、今までコレクションは貴族か教会の特権だったのが、アーティストも収集を始めます。
権力者たちにとって、収集品は自分の権力を臣下や姿勢の民にアピールする材料でしたが
アーティストにとっては作品のモデルにするという意味と、収集することにより自分の名声を上げる意味をももたらしていました。
アーティストのコレクションで有名なのはGhibertiやSquarcioneのコレクションですかね。

Veneziaは直接貿易により東洋との接点が直接あったため、ギリシャから直接芸術作品が入ってきていました。
Veneziaの現Museo Archielogico Nazionaleはヨーロッパでも有数のギリシャ彫刻を集めた博物館です。
ちなみにこの博物館はGrimani家のコレクションの寄贈からスタートしています。

え~話しが大幅に脱線しましたが、昨日読んでいた部分にAntonelloの作品が”la maniera ponentina"(西方様式)と書かれていました。
「風景がとても自然で細かく、”イタリア式”とは隔絶されている」と更に書かれていました。
書きたいのはこれだけだったのにずいぶん引っ張っちゃった。
今勉強していることをちょっと付け加えてみましたが、これも面白いでしょう?
ぼちぼち紹介できればと思います。

会場には計17点の作品が来ているそうです。
昨年Siciliaまでわざわざ見に行ったのに・・・という作品も結構あったけど。
個人的に一番良かったのはこれ

これでSiracusaまで行かなくてもいいわ。(笑)
Annunciazione(受胎告知)
この写真wikipediaから拝借したんだけど、実際この写真よりは状態いいよなぁと思ったら2006年のRomaの展覧会が修復されているらしい。
これ19008年Siracusaを襲った大地震で粉々にはがれ落ちてしまった。
それを1つずつ丁寧にパズルのように貼り付けて、いったようです。
最近別の教授が言っていたけど、修復の技術と言うのは何かしら大きな事故(天災が多いけど)が起きると、飛躍的に発展するそうです。
Firenzeの場合はなんと言っても1966年の大洪水だそうです。

こちらももちろん見られました。

私がまだ見れていないAntonelloの有名作品はロンドン・ナショナル・ギャラリーの「書斎の聖ヒロエニムス」

これくらいかな?
う~んやはりイタリアから撤退する前にロンドンにも行っておきたいけど、何せ英語ができないもので・・・
でもなぁ、ここのにはRaffelloもいるしなぁ。

Antonelloの方は2時間くらいゆっくり、じっくり時間をかけてみた・・・はず。
その後3階の常設店の方へ。
中心の作品はFuturista(未来派)で1900年はじめから50年くらいまでのイタリアおよび国際的な作品を収集・展示しています。
作品を見て作者が分かる作品が一部、それ以外はなんだこれ~と言う感じでした。
現代アートはいまだによく分かりません。

じっくり時間を掛けてみたものの、帰りの電車の時間まではかなり時間が余ってしまい、またMercatoへ。
最後ホットワインを飲んで帰ろうと。
あ~ダイエットしてるんじゃなかったんかい?
あっそうそう入場券に無料コーヒー券がついてきたので、まず先にお茶しましょ。

これが引換券なんだけど・・・大げさじゃない?

きっとクリスマスは飾り付けされるんだろうなぁ。

建物の雰囲気がFirenzeとは全く違う。

Barはこの広場に有りました。
ネプチューンの噴水だよね?
なぜか箱だけだけど、噴水(水はない)の上にプレゼントがいっぱい置いてあった。

なぜかおねえちゃん非常に感じが悪かった。
何で・・・

さっきと同じMercatoなのに雰囲気が変わった。
時間も有るのでふらふらしていたら

Presepe(プレセペ)だ、ということで入園。
公園みたいなところに設置されていました。

人形です。人と同じくらいの大きさです。

結構大き目のPresepeでした。
その後

ワインを飲み

予定通りストゥルーデルを食べ、

駅へ向かう途中

このちょっとおしゃれなお店でワインを購入。
EXQUISI
via f.lli fontana,10
www.exquisi.it

お客さんがムール貝を用意してくれているので、地元の白にしようと思ったんだけど、お兄さんの勧めでロゼに。

テーブルの上のごちゃごちゃはあまり気にしないでくださいね。
そしてスーパーで

Canederliも買ってみた。
これ結構使えたしおいしかった。

て、なことで日帰りでRoveretoまで行ってきました・・・って日帰りの距離じゃないよね。
さてさて、遅めのお昼を食べますか。



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
市場とピサに入ってる間に… (よん太郎)
2013-12-17 14:12:13
fontanaさん、すごい充実した遠足だったんですね。
改めてfontanaさんは沢山の絵画を見て感じてきているんだな…と感心してしまいます。
このロゼ美味しく頂きましたね…写真を見ていっきにフラッシュバック。すぐそこに戻れるんじゃないか…と思うも、遠い場所だったのでした。
また会える日を楽しみにしています!
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あ~~~~タイトル誤字だ! (よん太郎)
2013-12-17 14:14:15
連続投稿すみません(*´ェ`*)
上のタイトル変!!
正しくは「市場とピサに行ってる間に…」でした^_^;
返信する
いえいえ (fontana)
2013-12-17 16:58:03
よん太郎さん
見てるといえば見ていますが、記憶にはなかなか残らないものですよ。(笑)
改めて読んでみると、「食べてるなぁ~」という感じのほうが強いですね。
あれからそろそろ1ヶ月、と考えると月日が経つのが早すぎで困ります。(~_~)
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