3度目に緊急事態宣言が東京他に発令されました。
5月になったら行こうと思って、前売り券を買っていた美術館、博物館。
うわ~どうなるかな?
「鳥獣戯画展」無理かなぁ…とほほ。
詳細はこんな感じ。
4月25日~5月11日休館
東京東京都美術館、東京都現代美術館、東京都写真美術館、東京都庭園美術館、江戸東京博物館、江戸東京たてもの園、東京都渋谷公園通りギャラリー、国立新美術館、東京国立近代美術館、国立公文書館、国立科学博物館、SOMPO美術館、東京オペラシティ アートギャラリー、Bunkamura ザ・ミュージアム、日本科学未来館、サントリー美術館、すみだ北斎美術館、太田記念美術館、目黒区美術館、森美術館、根津美術館、板橋区立美術館、太田記念美術館、山種美術館、静嘉堂文庫美術館、世田谷美術館・世田谷美術館分館(向井潤吉アトリエ館、清川泰次記念ギャラリー、宮本三郎記念美術館)・世田谷文学館、菊池寛実記念 智美術館、東京富士美術館、町田市立国際版画美術館など
東京藝術大学大学美術館、東京国立博物館は4月25日から再開については改めて発表。
戸栗美術館、三菱一号館美術館、森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレスは4月25日から当面のあいだ休館。
アーティゾン美術館は4月29日〜5月9日(5月10日から14日まで展示替えのため全館休館)
五島美術館、府中市美術館は5月14日まで。
昨日の新聞には既に「鳥獣戯画展」の5月9日までのチケットの払い戻しが始まったことが載っていました。
https://chojugiga2020.exhibit.jp/
なんとか5月11日までに落ち着いて欲しいものです。
参考と東京以外の休業情報:https://bijutsutecho.com/magazine/insight/23955
東博の鳥獣戯画展は開催3日目ぐらいに予約を取って行ってきました。こうなることは予想していませんでしたが、早めに行ってしまって良かったと思っています。私は日本彫刻史もルネサンス美術と同様に重視しているので、今回の鳥獣戯画展では鳥獣戯画よりも明恵上人の彫刻を見るのが第一目的でした。彫刻はあと2点、高山寺の子犬(推定湛慶作)と和歌山県浄教寺の大日如来のみ(和歌山は明恵ゆかりの土地)。明恵上人像は国宝の画像が有名ですが、この彫刻はあまり公開しないので、私も初めてでした。若い頃自分で切った右耳の上部がリアルに表現されています。従来、運慶の長男湛慶の作ではないかとする説が一部の研究者から出ていましたが、今回の鳥獣戯画展図録で東博の専門家の方(皿井舞氏)は耳や衣文の比較というモレリ方式の判定で、鎌倉時代初期から中期(1230~50年代)という湛慶の次の世代の頃、同じ慶派仏師と考えられる肥後定慶の系統の仏師の作ではないかという説を出していました。他の展示品では宮内庁の春日権現験記絵巻のうち明恵関連の部分や華厳宗祖師絵伝が印象的でした。春日権現験記に描かれた明恵上人の右耳や顔のシミの表現が上記の彫像と同じであることも今回初めて確認できました。
鳥獣戯画については甲巻のみ動く歩道の上で見る形。私の印象では普通に見るよりも2倍ぐらいのスピードで移動してしまうので、落ち着いて見ていられないと思いました。監視員の人に聞いたら「12時過ぎると動く歩道前の行列は少なくなる」とのことだったので、その時間にまた行ったら行列していなかったので、数回繰り返し乗って見てきましたが、1時近くなるとまた行列ができていました。乙巻以降はそれほど混んでいなかったので、最初は並んでケースの前で見るようにして、次は並ばないで見たい部分だけを後ろの方から拡大鏡で眺めるという形にしました。半日以上いましたが、予約制なので会場内はそれほど混んでいないという感じでした。図録については会場内のショップでは「売るだけ」であり、見本を置いていません(休憩場所にも見本はなし)。見本を見て買うかどうか決めるには、本館の売店で見ることになります。再入場する場合は会場の入り口横(エスカレーターと階段の間)から監視員に切符を見せて(並ばないで)入れます(当日のみ)。
5/11以降いつ再開されるかは分かりませんが、ご参考まで。
詳しい情報をありがとうございます。
子犬が見たい…
日曜美術館で明恵上人の彫刻のことを言っていたので、こちらも気になっていました。「それほど混んでいない」というのはうれしいです。
まさか緊急事態宣言が出るとは思ってもみませんでしたが、出来るだけ早めに行くに越したことはなかったなぁ、と後悔しています。
最近、"誤読のイタリア" ディエゴ マルティーナ著- 光文社新書 2021年1月20日発行を読みました。日本に来て長くなったイタリア人が、日本ではイタリアの情報は多いけど、ステレオタイプ化したのが多いと嘆いています。
"誤読のイタリア" 発売してすぐに購入したのですが図書館から借りた本ばかり読んでいて、積読です。GWに読もうと思います。
コメントありがとうございます。
写真を拝見したら益々見たくなりました!!
ブログを拝読して新潮社の新刊、気になっていたので図書館に「東京藝大で教わる西洋美術の見かた」と一緒に予約しました。
子犬については、私にとってはお馴染みの作品です。初めて見たのは多分1975年の東博特別展「鎌倉時代の彫刻」だったと思います。最近では2017年の東博運慶展に出ていました。時々出るので、今後も見る機会はあると思います。この子犬を湛慶作と推定する根拠は、高山寺と湛慶の関係や高知県雪蹊寺の毘沙門天・吉祥天・善膩師童子(法印湛慶銘)の存在などによるものです。高山寺にある善妙神・白光神、神鹿、馬、狛犬の一部も湛慶工房作と考えられているので、子犬も同様ですが、特に雪蹊寺の善膩師童子の表情との類似が指摘されています。運慶展には両方とも出ていましたが、その時は他に見る作品が多くて、この2点の比較は特にしなかったので、今回は善膩師童子の顔がアップで掲載されている本(原寸大美術館雪蹊寺毘沙門天)を準備して行きました。個人のブログでもこの類似を話題にしているものがあったのでご覧ください。
https://butsuzolink.com/sekkeiji/
http://hitabutsu.jp/blog-entry-168.html
なお、鎌倉時代頃の狛犬以外の犬の彫刻としては、他に宇都宮二荒山神社の鉄造の犬(建治三年1277銘=高山寺子犬の約50年後)があるくらいで、比較的珍しいものです。また、鳥獣戯画展図録の皿井女史の論文では、高山寺の善妙神について、他の湛慶作品との耳の比較から湛慶ではない仏師の作という可能性も考えられるとしているので、上記コメントで書いた明恵上人像の作者(皿井説では肥後定慶の系統?)のことと合わせ、高山寺に残る彫刻作品の作者については子犬も含め、最初から湛慶と決めつけずに湛慶以外の可能性も検討する必要があるかもしれません。
ところで、話は全く変わりますが、ミケランジェロのダヴィデを3Dプリンターで実物大に複製したそうです。重さは1/10とのこと。
https://www.afpbb.com/articles/-/3343601?pno=0&pid=23249866
詳しい情報をいつもありがとうございます。
NHKの日曜美術館でも明恵上人像は像内に何か有った、という話は出ていましたが、解体はしないんですね。
ダビデの件は知っていました。
2010年にも実物大のコピーを本物と同じ大理石で作り、フィレンツェ市内を引きまわしたのを思い出しました。(言い方悪いかな…)
https://blog.goo.ne.jp/fontana24/e/ada25005b3dc7d8ebd93a238aaf6d77a
ドバイに運ばれたようですが、何故なのでしょうかこんな時期に。
成城大学 美学美術史論集19号2011.3「ミケランジェロの《ダヴィデ》の設置場所」
その再現イベントの時に現地で体験されたのですね! うらやましい!!
なお、この論文はネットでは公開されていないので、大学図書館等でないと読めないかもしれません。この論文コピーを私が入手したのは、ボッティチェリ、レオナルド、フィリッピーノ、ペルジーノらが参加している会議(設置場所検討委員会)として、会議の詳細を知りたかったためです。
また、1504年当時のダヴィデ像を設置する時の様子は、ランドウッチの日記1504年5月14日の項目に、投石事件があったことや材木で作った大掛かりな仕掛けにより何日もかかったことなどが生き生きと書かれています。上記設置委員会の詳細内容の紹介論文とこの日記の日本語訳を読むことで、ミケランジェロのダヴィデに関することがよく理解できるので、ともにお勧めの資料です。コロナ問題による図書館の制限が解除されたら是非ご覧ください。
それから、日本の仏像彫刻は保存修理のために解体する場合以外に、研究目的で内部を開くということはまずありません。容易に首が外れる状態であるとか、耳の穴や破損した部分等のすき間から内視鏡を差し込むことができる場合は、分解しないで内部の情報が分かる場合もありますが。
いつも情報ありがとうございます。
論文はコロナ終息後、是非読んでみたいと思います。
あのダビデは確かカラーラの工房でミケランジェロが使ったのと同じ大理石を使って再現し、フィレンツェに運んだあと、またカラーラに持ち帰り、街の広場に暫く展示されていたはずですが、今はどうなっているのでしょう???