特別聖年（ジュビレオ）にあたり

パリでテロが起きてから1週間。
イタリアでは毎日テロ関係のニュースが朝から晩まで絶えません。
怒りや憎しみからは何も生まれないのに。
報復に次ぐ報復で今やフランスが最大の敵になってしまっているようで非常に残念です。
イタリアは当初からこの点を指摘しています。
武力の応酬ではなく、別の手段で平和を取り戻そうと。
それでも一応緊急警備体制がほぼ最高に近い状態らしいです。
ここフィレンツェでは日常生活をしているうえでそれほど目だって変わった感じはないですね。 
強いて言うならユダヤ教モスク寺院の前や周辺に大きな銃を構えた軍人さんが立っていたくらい。

更に今朝ローマの日本大使館から在伊日本人あての緊急メールが来ました。
テロ後2度目のメールです。
そのメールにはこう書いて有りました。
 
2015.11.20

～海外安全情報（スポット情報）～

バチカン・イタリア：特別聖年（ジュビレオ）に関する注意喚起

１　12月8日から翌年11月20日までは，カトリック教会の特別聖年（ジュビレオ）とされています。この期間中は世界中の主な大聖堂で宗教行事が開催されますが，バチカン市国及びローマ市各所においても，多くの宗教行事が開催され，大きな行事が開催される時期には巡礼者や観光客の大幅な増加が見込まれています。

２　イタリア国内においては，テロの具体的な脅威はないと報じられていますが， 13日にパリで発生した同時多発テロ事件（14日付「フランス：パリにおける連続テロ事件の発生に伴う注意喚起（再更新）」参照）を受けて，警戒レベルが引き上げられています。また，特別聖年の期間中は，ローマ市を中心に警備体制が強化されることとなっています。

３　つきましては，渡航・滞在を予定されている方及び滞在中の方は，上記情勢に留意の上，現地の各種報道等から最新の安全情報を入手するとともに，日頃から危機管理の意識を持ち，自らの安全確保に努めてください。政府・軍・警察関係施設に加え，公共交通機関，観光施設，ショッピングセンター，レストラン，イベント会場，また，教会を始めとする宗教施設等不特定多数が集まる場所を訪れる場合には，周囲に注意を払い，不審な人物等を察知したら速やかにその場を離れるよう努めてください。また，すりなどの一般犯罪にも注意してください。

はて？ここで私以前から気になっていたのですが、何で来年（正確には今年の12月8日からだけど）がGiubileo（ジュビレオ）なの？？？
と言っても普通の日本人はジュビレオが何かさえ分からない人多いですですよね。
私だって2000年までは知らなかったもんねぇ…

Giubileoとは日本語では”聖年”と訳されています。

ジュビレオ（悦びに満ちた祝祭）の起源はモーゼの教えを守るユダヤ人の風習に遡る。
七年毎と五十年毎に巡ってくるジュビレオの年には、すべての物が元に戻され、奴隷は解放され負債は解消された。
キリスト者に引き継がれたAnnus Jubileusは、「罪の奴隷」からの解放・心の善の回復・精神的負債の免除を意図するようになり、より精神性を帯びると同時に、キリスト教的慈愛はこの正義と兄弟愛の行為を信者の日常的慣習にまで高めていく。

25年毎に行われるカトリックのジュビレオの始まりは1300年。
教皇ボニファキウス8世（Bonifacio VIII、1235-1303)　が、この年を大赦の年と定めたことによる。
ちなみにこの教皇はあの有名なダンテの『神曲』で「聖職売買を成す者」として地獄送りとなっている。
2回目はクレメンス6世の1350年（アヴィニョン捕囚の時期であるがローマへ巡礼すべきこととされた）。
3回目はボニファティウス9世の1390年。
ボニファティウス9世当時の教会大分裂という時代にあって、フランスなどの妨害で巡礼者がローマを訪れることが難しくなったことを考えて贖宥状（いわゆる免罪符）が出された。
まぁ罪をお金を払って消してもらう的な考えなんですよねこれって。
その後16世紀のトリエント公会議（1545年–1563年）の決議により贖宥状は出されなくなったんですけどね。

そして4回目は1400年。
以後、おおよそ25年ごとに聖年とされた。

その後、ジュビレオはクレメンテ六世によって50年毎とされ、さらに1470年パオロ二世が、特例を除き、25年毎と設定した。
1500年から贖宥を行うジュビレオの年は聖年（Anno Santo)と呼ばれ今日に至っている。
ただし、1800年と1850年は聖年とされなかった。

前回は2000年で26回目の聖年。
さらにその年はミレニアムの節目にあたるため”大聖年”と呼ばれていた…ああもう既に15年前だ。
その前は1983年、キリスト贖罪1950周年を記念し特別聖年行事が催された。
あっここにも有った”特別”聖年。
これです、来年のジュビレオは。

全然知らなかったのですが、いや聞き流していたんですけど、今年は3月現教皇のフランチェスコが今年の12月8日（無原罪の聖母の大祝日）から来年２０１６年の11月20日（王であるキリストの大祝日）までを特別聖年（いつくしみの特別聖年）と宣言したわけです。
いつでも特別聖年と出来るのものなのか？はまだ調べが付いていないのですが、とにかく20世紀のカトリック教会において最も重要な出来事の1つで有るSecondo Concilio Vaticano （第2ヴァチカン公会議）から50年という節目の年に当たる来年を特別聖年としたらしい。
詳しいことはこちらのバチカン放送のサイトをどうぞ。

う～ん、私は信者ではないので、ちょっとうがった見方かもしれませんが、今の教皇は本当に信者集めに余念がない。
決して悪い人ではないし、信者に近い良い教皇だとは思うんですけどね。
ということで”聖年”も人気取りの1つではないかなぁ…なんて。 
何でも来週はアフリカに行くらしいですよ、大丈夫なのかな？？？
そういえば先週教皇がフィレンツェに来たとき、あまりにも通り過ぎる速度が速かったというのが話題になっていたのですが、
やはりそれは警備の問題だったらしい。
オープンカーだったので（いつものPapa mobileは防弾ガラスで覆われていると思う）ゆっくり走って銃で撃たれたら…ということであおのスピードだったとか。
通りで早かったわけだ。
友達の話だと6時くらいから待ってた人がいたんだって。
それなのに…3秒でしたよ。

それにしもまさかこんなことが起こると思わなかったでしょうからねぇ。
教皇が「第3次世界大戦の一部」とテロの事を発言していましたしね…
ローマこれから一年本当に大変ですよ。

そして先のメールを読んだ友達から「Fontanaさん、Romaに行かないでね」と言われたのですが、
私はこのメールを読み、聖年の何たるかを思い出し、早速巡礼者登録しちゃいました。
そう、聖年には4つの大聖堂の聖なる門が開くんです。
この4つの門を通った者は、罪が許されるんですよ。

そう、何を隠そう2000年、やったんですよ、”聖なる門詣出”
当時は2000年問題で飛行機やばいかなと思ったんですが、2000年の1月1日に一人ローマ入りしたことを今でも覚えています。 
あの時が確か初一人旅だったんだよね。イタリア語は勿論片言。英語は…今より少しましだったけど。
あれから16年かぁ…はやっ。
ということで、とりあえず16年分の罪を許してもらいに行かねば。

行く先は
ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂
サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂
サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂
サン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂

サンタ・マリア・マッジョーレ以外はこの時以来行ってないかも…
そして前回の聖年と大きく違うのは、事前に巡礼者登録をしておかないと、聖なる門はくぐれないかも。
サン。ピエトロ参拝者とは入り口を分けるらしく、セキュリティーの問題もあるので、ただ門をくぐるだけなのに登録が必要だなんて…
きっと後で色々メルマガとか送って来るんだろうなぁということは簡単に想像できますけどね。

ということでさっき早速巡礼者登録だけは済ませておきました。
今のところサン・ピエトロだけのようですが、このご時世どうなるか分からないですよね。
あとまぁ気休めですが、念のためと私は信者ではないので、大きなイベントがある時は避けるうもりです。
詳しくはこちらを （サン・ピエトロ登録について、日本語）
それからこの4つの聖なる門以外にも聖なる”慈悲の扉”をもつ教会があるそうです。
詳しくはこちら。 （日本語）

そうだ、そうだトスカーナ内でも結構あるって先日見たサイトに出てたよねぇ・・・
これこれ。
ふ～ん、これらの教会に行くだけで贖宥（しょくゆう、罪の償い）が受けられるのね。

ローマ在住の人たちの話だと記念切手や記念品が販売されるらしいです。
既にクリスマスの準備に入ったヴァチカン。
静かに平和を祈りましょう。