昨日無事お仕事終了しました。
今日は朝から洗濯、買い物、友達とランチ、念願のフィレンツェ一のジェラートを食べ、久々の晴天だったのであちこち目的もなくぶらぶら…と調子に乗ったのが悪かったのか、疲れがたまったせいか、ちょっと喉が痛い。
今日は早めに寝ましょう!!と思いながらも書き始めてしまいました。
さて、前回プロローグを書いたVittore Crivelliの聖母子(Madonna col Bambino)の多翼祭壇画のお話です。
こちらの多翼祭壇画はマルケ州(Marche)のTorre di Palmeという小さな街のChiesa di Sant’Agostino教会にあります。
この教会はいつでも開いているのかな?
私たちが行ったのは土曜日のお昼の時間帯でしたが開いていました。
実は1972年2月11日にここからこの多翼祭壇画は盗まれています。
この教会からの盗難問題は、日本のお寺からの盗難問題同様今でも大きな問題です。
盗まれた多翼祭壇画は、約1か月犯罪者の手に有り、一部が取り戻された時は状態が良くありませんでした。
あれ?じゃあここに有るのは?ん?一部しかないのか?
実際完全に解体された上、4枚のプレデッラ(祭壇画株の小壁板絵)が欠けています。
あっ、確かに左の4枚がない!!
救いようのない痛手を被った多翼祭壇画ですが、非常に美しい作品で有ることは疑いなく、20世紀Gordon Rushforth Mc NeillなどによってVittore Crivelliの作品で有ると考えられています。
ゴシック風の枠(cornice)、作品には9枚のプレデッラが付いていて、13枚のパネルが2段に配置されています。(あれ?12枚しかないけど?)
下段の中央には、王座に座った聖母が膝に祝福を授けるポーズを取った赤ん坊のキリストを抱いています。
赤ん坊のぽっちゃりとした左手にはオレンジの花が握られています。
オレンジの花は、キリスト教のシンボルでキリストの犠牲による罪のあがないを表しています。
また、その首と腕にはサンゴの赤い玉が巻かれています。
これも将来キリストがゴルゴダの丘で流された血を注がれた救済をもたらすものの象徴として描かれています。
冠をかぶった聖母の背後には、ナシ、リンゴ、カーネーションと赤い椿の花飾りの3つの典型的なシンボルが描かれていて、これは他のVittoreの作品にも描かれています。
聖母の一番右(写真では一番左)には、隠者の貧しい服を着て左手には細い紙が巻き付いた十字架を握りしめた、図像学で一番典型的なGiovanni Battista(洗礼者ヨハネ)が描かれています。
彼の隣には、教皇の衣装を身に着け、左手には鞭、右手には多分Verità rivelata(暴かれた真実?)を暗示する本を持ったSan Pietro Apostolo(聖ぺトロ)がいます。
反対側(写真では向かって右)の一段目一番端には、396年からIppona(アフリカ)で司教をしていたことを思わせる固有の衣装を身に着けたSant'Agostino(聖アウグスティヌス)、隣にはエウセビウス(Eusebio)が教会史(Historia Ecclesiastica)に詳細に表現した特徴に基づいたSan Paolo(聖パウロ)が描かれています。チュニカ(古代ギリシャ、ローマの男女が着たガウン風の衣服)とパリウム(古代の男性の外衣)を身に着け、右手には53年から書いた「パウロの書簡」(epistole)をほのめかすページが開いた本を持ち、左手には殉教のシンボルとなる剣をつかんでいます。
上の段の真ん中は飛び出していて、そこには血まみれのキリストが描かれ、その段の一番左には体に矢の刺さったSan Sebastiano(聖セバスティアヌス)、その隣には白い長い髭で枢機卿の帽子と衣服を身に着けたSan Girolamo(聖ジローラモ)がいます。
また右端にはベールを巻いた頭に冠を乗せたsanta Caterina d’Alessandria(アレクサンドリアのカタリナ)が描かれている。これらは左に描かれた壊れたギザギザの車輪同様、彼女の象徴としてよく描かれるもので、右手には死に打ち勝った殉教の印であるヤシの葉が描かれています。
彼女の隣にはアウグスティヌス会の修道士の黒い衣装を身に着け、貧しい人を助けるという信念に基づき、手には固くなったパンを一切れ握りしめ、反対の手には多分聖書だと思われる閉じられた本を持ったSan Nicola da Tolentino(トレンティーノの聖ニコラス)が描かれています。
そして一番下の段、プレデッラの中央には「復活のキリスト」、残りの8枚12人の使徒(apostoli)の顔が描かれていたようです。
(とここまでの文章はこちらを参考にしました。)
Sant'Agostinoを描いたVittoreの作品は他にも有って
こちらはケンブリッジのフィッツウィリアム博物館( Fitzwilliam Museum)が所蔵しています。
ということで、こんばんはこの辺でおやすみなさい。
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