イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

カラヴァッジョの秘密

2017年10月31日 10時14分57秒 | イタリア・美術

イベント関係のネタが続きますが、昨日


この本の出版記念講演に行ってきました。
27日発売で、発売日に即購入、読み切ってから参加って、なんて私熱心…いや暇なだけですけどね。

作者のCostantino D'Orazio(コスタンティーノ・ドラッツィオ)はイタリアのテレビでも見かける、軽め(?)の美術史家。
がっちがちの学者というより、テレビや本を使って美術史を普及するのがお仕事と感じ、らしい。
同じくテレビで露出度が高いVittorio Sgarbi(ヴィットリオ・ズガルビー)や大好きなAlberto Angela(アルベルト・アンジェラ)に比べれば、まだまだ新進気鋭という感じ。
まぁイタリアではそれなりに名の知られた人…なのかな?

この作品は彼の作品の日本翻訳の2作目。
前回は「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密」
探したら私の本棚にも、この2作ではないですが、一冊彼の本が有りました。イタリア語、積読ですけど。

今更カラヴァッジョ?という感じですが、作者も前書きで
「もし、この本が、カラヴァッジョに関する世間を騒がせるような新事実の暴露、あるいは、確たる証拠もないのに1つの作品をめぐって何十年も真筆論争を続ける研究者集団と競争するのが目的ならば、おそらく、ここに書くことはそれほどないだろう。私はこの本をまったく別の理由で書いた。カラヴァッジョを愛し、まるで彼を昔から知っている人かのように理解したいと思う人たちのための手引き書としてである。美術史の教本や学術書で頭痛を起こすことなく、また、複雑に絡む引用文にこんらんすることもなく読めるものである。」
と言っているように、入門書に近い感じである。
カラヴァッジョは個人的にそれほど興味はないので(最低限は知ってますけど)日本語で書かれたカラヴァッジョの作品を読んだことはないのですが、カラヴァッジョがどんな人で、どんな作品を、どのように描いていたか、カラヴァッジョの全体像を知るには良いと思う。
ヨーロッパと違ってまだまだ知名度の低い(あくまでも欧米に比べて、という意味で)カラヴァッジョの魅力を日本人に伝えるには悪くない本でした。
翻訳本だからか、本の値段が少々高めなのが気になるけど…この枚数で2400円はね。

作者と訳者が出席する講演会会場のイタリア文化会館。

うわ~ほぼ満席だ。
カラヴァッジョ人気?と思いきや、参加を誘ってくれた友人の話ではどうやら訳者の”ファン”ではないか?と。
訳者はローマ在住の方で、ブログもとても人気が有るらしい。
私も何度か見たことがありますが。
講演会は訳者が作者の通訳をする形で始まりました。

ドラッツィオ氏は、通訳が入るし、外国人相手ということで非常に分かりやすいゆっくりしたイタリア語で話していて、大変好感が持てたのですが、通訳に関しては…
特定の人を中傷するようなことは書きたくないのでコメントは控えさせていただきますが、一言
「あれは”通訳”ではないでしょう」
他人のことをとやかく言えるほど、自分がすごいといっているわけではないんです。
普段通訳として仕事をされているわけではないようですし、あれだけ大勢の人の前で話すのは緊張もするでしょうから、うまく話せないのは分かります。
しかし、作者が言っている重要な部分を正確に訳せない、いや訳さないというのはちょっと…
更に本の方には、初歩的な間違いがちらほら。
でも全体的にはコンパクトにまとまっていて、面白いのでカラヴァッジョ導入としてはおすすめですよ。

この講演会で学んだことは
人のふり見て我がふり直せ!
せっかくイタリアで学んだことを劣化させないように自分が日々努力せねば、ということを思い出させてもらいました。
本は是非原文で読んでみたいと思っています。



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