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Fさんにまつわる話

彼は少し太り気味で冗談ばかりの明るい人だった。
超がつくほど長電話は珠に疵だが好人物だ。


その彼があるセミナーの帰りに(彼は講師)
「何か胸が苦しいんだよ。心臓かなー」と痛む胸を労わりつつ
ゆっくり歩いていた。

しばらくして「カテーテル入れるんだとさ。入院だ」と連絡があった。
原因は・・・いろいろ聞いたが書かない。
退院してからは職場で配置換えがあり、勤務地的には近くなった。


心臓を患って数年の後、今度は皮膚にガンらしきものができた、
という情報が友人から入り、本人からも治療の様子やら手術前の
様子など逐次写メールが送られてきた。


一息つくまもなく胃に異変を感じ病院へ逆戻り。
胃がんと言う事で全摘出。
入院中に院内感染で生死を彷徨い予定をかなりオーバーして
何とか自宅療養できるまでになった。

定期検診で今度は肝臓に転移が見られ現在も治療中。
抗がん剤は気力を削ぎ時間はあるのに何もやる気が起きなかったようだ。


アラモさんにEMS便を送った時に、箱の蓋にFさんが以前贈ってくれた
コニーの鉛筆画のコピーをくっつけてみた。
バタバタしていて直前まで準備する時間が無かったので
家を出る前に目に付いた絵を写真に撮り、会社のプリンターで
印刷したクオリティは今ひとつのコピー。


それがアラモさんの友人の目に止まりFさんに流れが向いた。
その友人はコニーに搭乗したことがあるアテンダントだったらしい。
アラモさんから聞いた内容をFさんに伝えると、彼もめぐり合わせの
妙に感じ入り、また筆を取ろうという気持ちが湧き出てきたという。


彼はアラモさんの友人のために絵を描き、その話を彼の古い友人に
したところ、彼の友人は大の飛行機マニアだと言う事が分かった。
請われるままにリクエストのあった零式戦闘機を描き上げ
益々制作意欲を掻き立てている。


Fさんが私に蒔いた種はぐるっと巡りFさんの心に花を咲かせた。
種を飛ばす風や気持ちの良い天気、芽を出す水も必要だが
それらが奇跡的につながったようだった。


ダーナに絵を送らなくちゃ。
また皆さんのお力をお借りします。
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