西澤家で一番あちこち旅しているのは、
ぶっちぎりで、母である。
まず、しょっちゅう仕事で京都に行く。
その間、ホテル住まい。
常宿があって、なんだか偉そうだ。
ほんでたまにだが、「仕事だから」と言い張って、
いろんな国へ出かけて行く。
確かに仕事なんだろうけど、
実は「べつに行かなくてもどうにかなる」だろう事は、
家族全員、薄々知っている。
ま、体裁とか立場上とか色々あって、
行った方がいいんだろうけども…
本人は「仕事で仕方なく行っている」風に
振る舞っているが…でも皆知っている。
体裁良い言い訳です。
リキ母はあきらかに、
海外旅行として最大に楽しんでいる。
仕事と言っても「自腹」だしね。
旅行やんけ。。。
そんなわけで、なんだかんだと
しょっちゅう家を空けるリキ母だが、
あたし達兄弟が全員家を出てからは、
リキ父は、その間、当然独りで家にいる。
別に、全然ゴキゲン。
文句も言わず、へーきらしい。
父母の間で、前もった相談は無いので、
いつ京都にいてるか、知らなかったりする。
(基本的にウチの家族間に相談はないが…)
ちゃんと言うていけよ。。。と、
いくらなんでもびっくりした事がある。
しかし、父、へーき。
このキャラの組み合わせ、
うまく出来ている…んだろうか。
そういえば昔、一度だけ、
流石に許しを請うた事もあったらしい。
たて続けに海外行きが続いた事があり、
リキ母としてもちょっと罪悪感が出たのだろう。
でも行きたかった。
(そこは譲らないのだね)
そこで、突然リキ父の散歩について来て、
猫なで声で言ったらしい
「オーストラリア行ってもいい?」
腕を組んで来たリキ母、
リキ父ギョッとして尋ねる、
「いつ?」
リキ母嬉しそうに答える。
「来週」
それは、事後報告というのだ。
と、リキ父は言うていた。
いつかどっかへ連れて行ってやりたいが、
あたしゃ未だビンボーなんだよ、
スマン!父よ。
でも行くとなったら、
二人ともなんだろうな。
あのお嬢様を置いて行くなんて、
ありえない。。。
一緒に行くのか。。。
いや、二人だけでいかせよう。
うん。
ご先祖サマ、
応援たのんます。