コロナ感染者数10週連続増
厚生労働省によると、1月28日までの1週間に全国およそ
5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、
前週から1万3339人増えて、7万3607人となった。
また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は14.93人で、
前週の1.22倍となった。
前週から増加が続くのは10週連続となる。
このうち、10歳未満の子どもの患者数が4.73人と全ての
年代の中で最も多かった。
一方で、80歳以上の患者数は0.81人で、前週より減少した。
都道府県別では、多い順に
福島県が23.94人、
愛知県が21.24人、
茨城県が21.15人、
栃木県が21.01人、
長野県が21.01人。
少ない順では、
沖縄県が7.33人、
青森県が8.27人、
島根県が8.53人、
などとなっていて、40の都道府県で前週より
増加している。
また、能登半島地震の影響で、新型コロナの患者数を
報告することになっている石川県の48の医療機関のうち、
能登北部の2か所からの報告は含まれていないが、石川県は
20.91人で前週より増加した。
このほか、1月28日までの1週間に、全国およそ500の
医療機関から報告された、新たに入院した患者の数は
3311人だった。
前週と比べて151人の減少だが、去年夏の感染拡大時と
同じ程度の水準となっている。
厚生労働省は全国の流行状況について「特に若い年代で
感染者の増加が目立っている。
冬休みが終わり、学校が再開したことも要因として
考えられるので、学校での感染対策などを引き続き
徹底して欲しい」と述べている。
入院患者が増加、都内の病院は今後の感染拡大を警戒
新型コロナウィルスの感染者数の増加に伴って、入院する患者の
数も多くなっている。
東京都内で、新型コロナの入院患者を受け入れている病院では、
今週の時点で確保している病床の半分程度が埋まっているため、
今後の感染拡大を警戒している。
東京・板橋区にある日本大学医学部附属板橋病院は、入院病棟の
中に新型コロナの患者専用の入院エリアを設けている。
病院によると、重症患者や妊婦など向けの病床8床のほか、
中等症向けの19床を確保していて、1日の時点で重症病床に5人、
中等症の病床に9人がそれぞれ入院している、とのことだ。
他の病気で入院することになり、その際に新型コロナへの
感染が分かるケースや高齢者施設で感染が広がって入院する
ケースが多く、入院患者の多くは高齢者である。
一方で、高齢者以外にも基礎疾患のある人の入院も目立ち、
予断を許さない状況である。
病院では、今後さらに感染が拡大して入院患者が増えることを
危惧して最大で35床まで拡充できるよう準備を進めていく、
とのことだ。
病院長は「先週から今週にかけて入院患者が増えている。
基礎疾患のある方は重症化しやすいため、影響を懸念している。
基本的な感染対策は変わらないので、初心に戻ってマスクの
着用や手指消毒に気をつけてほしい」と話している。
コロナ第10波、新変異株「JN.1」、強い感染力で警戒
冬の流行期を迎えた新型コロナウイルスの感染者が昨年11月から
緩やかに増え続け、流行「第10波」に入った。
国内で感染者が初めて確認されてから4年が過ぎ、新たな変異株
「JN.1」が世界的に拡大するのに遅れる形で、国内でも主流と
なっている。
今後も冬と夏に大きな流行を繰り返すとみられ、専門家は引き続き
感染対策の徹底を呼びかけている。
新型コロナは、昨年5月に感染症法上の位置づけが「5類」に
引き下げられ、感染状況を示すデータは「全数把握」から、
全国約5000の定点医療機関による「定点把握」に変わった。
5類移行後では、「第9波」とされる、昨年8月28日から9月3日に
1医療機関あたりの感染者数が20.50人とピークに達した。
その後は減少に転じたが、昨年11月下旬から10週連続で増加し、
直近の1月22日から28日には、1医療機関当たり14.93人と、
インフルエンザであれば「注意報」(基準値10人)レベルと
なっている。
避難所でも拡大
能登半島地震で被災した石川県では、避難所などで新型コロナの
感染が急速に広がり、断水で手洗いなど難しい中で対策が急務と
なっている。
新型コロナは変異を繰り返しながら、流行を続けており、現在、
国内の主流は「JN.1」と呼ばれるオミクロン株の1種である。
令和4年に国内で広がった「BA.2」系統がさらに変異したものだ。
昨年12月頃から世界各地で「JN.1」の検出割合が急増し、
世界保健機関(WHO)が、同月に「注目すべき変異株(VOI)」
に指定した。
国内でも徐々に増え始め、東京都によると、昨年12月4日から
10日に17.2%だった「JN.1」の割合は、同25日から31日に
45.1%、今年1月8日から14日には58.3%と急速に拡大している。
海外の感染状況に詳しい東京医科大のB教授は「海外では1月に入り
(JN.1)の流行が落ち着いてきた。
国内は遅れて広がり、ほとんど変わりつつある。」とし、2月頃に
ピークに達する可能性があるとする。
JN.1は、免疫を逃れる能力が高く、感染力が強いことも懸念されて
いるが、B教授は「欧米などの状況を見ると、感染者数が増えても
重症者が増加して医療が逼迫するほどの状況にはならないのでは
ないか」と分析する。
マスクや手洗い
過去4年間、夏と冬に大きな流行を繰り返してきた新型コロナ
だが、専門家には以下のような見解がある。
東京医科大のB教授は「冬の流行が呼吸器感染症の特徴だが、
夏の流行は他の呼吸器感染症ではあまりない。
冬場は何年も流行が続く可能性もあり、第2のインフルエンザ
のような存在になる」と述べている。
感染対策として、「マスク着用や手洗いに加え、症状がある人は
医療機関を受診し、自宅療養することが大切だ」とのことだ。
インフルエンザ患者数、前週からやや増加
全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、
1月28日までの1週間で、1医療機関当たり19.2人と前週から
やや増加した。
福岡県と沖縄県は「警報レベル」とされる30人を超えている。
国立感染症研究所などによると、1月28日までの1週間に全国
およそ5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの
患者数は9万4694人で、1医療機関当たりでは19.2人となり、
前週よりも1.48人増えた。
このデータを基に推計される、この1週間の全国の患者数は
およそ62万7000人となり、去年9月4日以降の今シーズンの
累積の患者数はおよそ1284万4000人と推計される。
福岡県・沖縄県は「警報レベル」の30人を超える
1医療機関当たりの患者数を都道府県別に見ると、
福岡県が最も多く34.89人、
沖縄県が31.83人、で、
この2つの県は「警報レベル」とされる30人を
超えている。
その他、
宮崎県が29.86人、
千葉県が26.35人、
愛知県は24.68人、
大阪府は23.81人、
東京都は18.53人などと、
40の都府県で「注意報レベル」とされる10人を
超えている。
また、国立感染症研究所のまとめによると、直近
5週間のウイルスの分析結果では、インフルエンザの
A型がおよそ8割を占め、B型がおよそ2割だったと
いうことだ。
専門家「新型コロナ感染者の報告は氷山の一角」
感染症に詳しい東邦大学のA教授は新型コロナの
流行状況について「定点あたりの感染者数では、
爆発的な増加が見られる状況ではないが、入院
患者が増えていることに注意しないといけない。
入院患者は、多くが80歳以上の高齢者だと報告
されている。
高齢者は新型コロナに感染すると、元々の基礎
疾患が悪化して重症化するリスクも高いので
注意する必要がある」と話した。
その上で「検査を受ける人の数が減っているため、
報告されているのは氷山の一角で、見かけ上の
感染者数よりもさらに多くの感染者数が存在する
ことを考えておくべきだ」と指摘した。
そして「東京都のデータでは現在、<JN.1>と呼ば
れる変異ウイルスが58%くらいで優勢になっているが、
このウイルスはオミクロン株の1種で、利用できる
治療薬がある。
少し様子がおかしいなと思う時には、早めに医療機関を
受診してほしい」と話した。
また、「これ以上感染を広げないために基本的な感染
対策を徹底してもらいたい。
満員電車のように距離を保てない場所ではマスクを使い、
換気も行ってほしい。
そして、症状がある場合は、新型コロナかもしれないし、
インフルエンザかもしれないので、無理をせず、自宅で
過ごしていただくことが重要だ」と述べた。
またインフルエンザの感染状況については「全国的には
微増だが、地域によっては30人を超えるところもあり、
引き続き注意が必要だ。
インフルエンザは通常、1月後半から2月の初めにかけて
ピークを迎えて、流行の後半にはB型が増えてくる。
そろそろ減少に転じるのか、まだ増加が見られるのか、
注意しなければいけない」と話した。