コロナウイルス感染者数・9週連続増
厚生労働省によると、1月21日までの1週間に全国およそ
5000の医療機関から報告された新型コロナの感染者数は、
前週から1万6090人増えて6万268人となった。
また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は12.23人で、
前週の1.36倍となった。
前週から増加が続くのは9週連続で、1医療機関当たりの
平均患者数が10人を超えるのは、昨年9月以来である。
都道府県別では、多い順に、
福島県が18.99人、
茨木県が18.33人、
愛知県が17.33人、
大分県が17.16人、
佐賀県が17.05人、
などとなっていて、すべての都道府県で前週より
増加している。
能登半島地震の影響で、新型コロナの患者数を報告
することになっている石川県の48の医療機関のうち、
能登北部の4か所からの報告は含まれないが、石川県は
14.33人で前週より増加した。
1月21日までの1週間に全国およそ500の医療機関から
報告された新たに入院した患者の数は3462人で、前週と
比べて600人増加した。
新たに入院した患者数は、現在の集計方法を始めた昨年
9月下旬以降、最も多くなった。
厚生労働省は全国の流行状況について、「全ての都道
府県で患者数が増え、感染拡大が続いている。
手洗いやこまめな換気を行うなど、引き続き対策を
徹底してほしい」としている。
専門家「コロナ増加のペース上昇、インフル同時流行を懸念」
感染症に詳しい東邦大学のA教授は、新型コロナウイルスの
感染状況について、「患者の数は、緩やかな増加が続いて
いたが、今回の集計で、かなり増加のペースが上がった
印象を受ける。
今後、1週間から2週間で患者の数がどう増加するか、いつ
感染拡大のピークを迎えるのか、注意する必要がある」と
話した。
また、「患者の数は、昨年夏の<第9波>のピーク時には
及ばないが、医療機関から報告される新たに入院した患者の
数は<第9波>のピーク時と既にほぼ同じ水準になっている
ことに注意が必要だ。
実際に、あらゆる大学病院で、入院患者が増えている。
感染していても検査を受けていない人がいて、実際の
感染者はもっと多い可能性がある」と指摘した。
その上で「インフルエンザとの同時流行も心配な状況で、
2月にかけては今一度、気を引き締めて、できる範囲の
感染対策に当たってもらいたい。
特に高齢者や免疫不全の患者は重症化しやすく、入院に
つながってしまうので注意が必要だ」と話す。
インフルエンザ患者数17.72人、前週の1.36倍(1医療機関当たり)
国立感染症研究所などによると、1月21日までの1週間に、
全国5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの
患者数は8万7318人で、1医療機関当たりでは17.72人と
前週よりも4.73人増え、1.36倍になった。
データをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数は
およそ61万7000人となり、昨年9月4日以降の今シーズンの
累積の患者数は、およそ1221万7000人と推計される。
沖縄県で警報レベル、41都府県で注意報レベル
1医療機関当たりの患者数を都道府県別に見ると、
沖縄県が最も多く32.33人、「警報レベル」の
30人を超えた。
また、宮崎県が27.81人、
福岡県が25.85人となっているほか、
愛知県が22.71人、
大阪府が19.23人、
東京都が16.24人などと、
41の都府県で10人を超える「注意報レベル」と
なった。
前週と比べると、
兵庫県は1.7倍、
佐賀県は1.67倍、
京都府は1.66倍などと、
42の都府県で増えていて、全国的に増加傾向と
なっている。
専門家「インフル全国的に増加傾向に転じた」
東邦大学のB教授は、インフルエンザの感染状況に
ついて「前回や前々回の集計では、正月の影響で減少
傾向となっていたが、全国的に増加傾向に転じている。
例年は、1月末から2月にかけて感染拡大のピークを
迎えることから、今後も増加傾向が続き、子どもや
高齢者の患者も増えてくると考える必要がある」と
話している。
被災四県インフル患者数、前週上回り、注意報レベルを超える
能登半島地震で、大きな揺れを観測した各県では、
1月21日までの1週間で、1医療機関当たりのインフル
エンザの患者の数はいずれも前週を上回り、「注意報
レベル」の10人を超えている。
石川県13.44人(1医療機関当たり、1部医療機関で報告困難)
石川県で1月21日までの1週間に報告された1医療機関当たりの
インフルエンザの患者数は、県全体で13.44人で、前週から
3.21人増加した。
保健所の管轄する地域ごとでは、
金沢市が15.06人、
石川中央が14.09人、
南加賀11.8人、
能登中部が11人、
震度7を観測した輪島市、
震度6強を観測した珠州氏、
穴水町、
能登町を含む能登北部が10人だった。
石川県では地震の影響で調査の対象となっている
医療機関の一部でインフルエンザなどの患者数の
報告が困難になっていて、能登北部は医療機関の
1か所のみの報告となっている。
富山県、16.6人
このほか、この地震で大きな揺れを観測した富山県、
福井県、新潟県では通常どおり、感染状況が発表
されている。
それによると、富山県で1月21日までの1週間に
報告された1医療機関当たりのインフルエンザの
患者数は、県全体で16.6人で、前週から4.56人
増加した。
保健所の管轄する地域ごとでは、
富山市が23.06人、
高岡が16.46人、
中部が15.8人、
新川が9.86人、
砺波が9.43人だった。
福井県16.59人
福井県では、1医療機関当たりの患者数は、
県全体で16.59人で、前週から3.44人増加した。
保健所の管轄する地域ごとでは、
丹南が23.25人、
福井市が18.17人、
二州が16人、
坂井が15.6人、
奥越が12.75人、
若狭が8.33人、
永平寺町を管轄する福井が4.5人であった。
新潟県13.69人
新潟県では、1医療機関当たりの患者数は、
県全体で13.69人で前週から4.12人増加した。
保健所の管轄する地域ごとでは、
魚沼が30.33人、
新津が22.67人、
柏崎が20.6人、
震度6弱を観測した長岡市などを含む
長岡が15.69人、
上越が14.8、
新潟市が13人、
南魚沼が12.67人、
新発田が11.86人、
村上が10.67人、
三条が10人、
十日町が8.33人、
糸魚川が3.67人、
佐渡が3.67人だった。
専門家「被災地はインフル・コロナともに増加、クラスターの懸念」
東邦大学のC教授は「被災地では、正確な感染者数の
把握が難しくなっているが、報告されているデータでは、
インフルエンザだけでなく、新型コロナも増加していて、
一部の地域ではクラスターの発生が疑われるようなデータ
にもなっている。
避難所では、そのデータ以上に感染が広がっている可能性も
あり、マスクの着用など、基本的な感染対策を徹底して
欲しい」と話す。
新型コロナの入院が増加、「ぶり返し肺炎」に注意
アルファ株やデルタ株といった変異ウィルスが猛威を
振るっていた時期とは異なり、現在流行している
「JN.1」は、オミクロン株の1種なので、基本的には
軽症で済むことが多い。
しかし、最近増えているのが「新型コロナ・インフル
エンザにかかって、一旦良くなったが、発熱と
息切れで再受診」というケースだ。胸部単純X線写真を
撮影すると、左右に肺炎があり、急性期病院に入院と
なる場合も想定できる。
「ぶり返し」肺炎による肺炎
いったい、なぜこのようなズレが生じるのだろうか?
ウイルス性肺炎の挙動に関してさまざまな研究があるが、
最も研究されているのがインフルエンザウィルスである。
感染後しばらくして、黄色ブドウ球菌という細菌による
肺炎が多くなる、ということが知られているが、ウイルスに
感染した気道の細胞に、細菌の定着を促進させるタンパク質が
出現するということを日本の研究グループが明らかにしている。
新型コロナでも「ぶり返し」現象はよく見られ、アルファ株や
デルタ株が流行していた時期、「落ち着くと思われた矢先に
肺炎が悪化する」という現象があった。
ただ、すべてが細菌性肺炎だったのかは不明であり、サイト
カインストームという体の炎症反応が起こした「免疫応答に
よる肺炎」だったという見解もある。
いずれにしても、このような現象はコロナ禍以前は、そこまで
多くはなく、あったとしても、指で数えられる程度の人数で
あった。
新型コロナの波を形成しつつある1月以降、このタイプの肺炎が
再度増えてきている。
新型コロナの入院が増加
新型コロナの感染者数は、じわじわ増えており、各メディアが
報道しているように、第10波を形成しつつある。
インフルエンザの流行が収まらないまま二重流行となっている
状態である。
今回の波は、新型コロナの感染者数はそこまで増えていないのに、
入院患者数が急増している。
昨年9月末に届出基準が少し変更になった点も影響しているかも
しれないが、水面下で感染が広がっているため、肺炎を起こす
患者さんが多い、といった事態も想定される。
また、5類感染症移行後初めての冬季であることも要因として
挙げられるかもしれない。
「5類感染症」に移行する前までは、死亡者数までカウント
していたが、現在はどのくらいの患者さんが亡くなられて
いるのかよく分からないため、今回は「実態が把握し
にくい波」になる可能性がある。