囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

大人の誠意はカネか

2021年04月30日 | 雑観の森/心・幸福・人生

 

士為知己者死、女為説己者容

 

 士は己を知るものの為に死し

 女は己を説(よろこ)ぶ者の為に容(かたち)づくる

 

男は自分の価値を認めてくれる者のためには

命を投げ出す

女は自分を愛してくれる人のために

容色をととのえる

――という意味である。

(故事を性差別ととられかねないが、原文通り引用した)

 

 

中国王朝の一つ、晋(しん、265~420年)にいた

予譲(よじょう)という男は

主君に恵まれず

何度も仕える相手を変えた。

 

最後に仕えた主君も

武運なく政敵に殺されてしまう。


予譲は「主君の仇を討とう」と

執念深く付け狙うが

逆に捕われの身になってしまう。

 

命を狙われた政敵は、捕らえた予譲に訊ねる。

「お前は今までに何人か仕える相手を替えてきたが

なぜ以前の主君たちの恨みを晴らそうとせず

あんなつまらん奴のために

仇を討とうとするのか?」

 

予譲は

「先に仕えた主君たちは

並みの待遇で私を扱った。

私も人並みの報い方で接した。

だが最後の主君は

つまらない人物だったかもしれないが

私を国士として遇してくれた。

そこで私も、国士として報いるのだ」

と答えた。

 

 

         ◇

 

 

相手のやる気を引き出すには

まず相手を認めることが前提となる。

 

処遇するには

位階がよいか

名誉がよいか

称賛がよいか

それとも

カネがよいか。

 

いずれにしても

他人が相手を認めるためには

言葉だけ、では十分とは言えまい。

 

多くの人が

教養を積むより

人格を磨くより

を積むほうに

千倍の努力を捧げているという

この時代である。

 

とりあえずはにしなければ

なんともならんのである。

 

 

 



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