第七十七首
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に あはむとぞ思ふ
崇徳院
(1119-1164) 父は鳥羽天皇。父と不仲で退位させられる。保元の乱を起こし、配流先の讃岐で没した。
部位 恋 出典 詞花集
主題
仲をさかれても将来は一緒になろうという強い恋心
歌意
急な傾斜のため、川の瀬が激しく速いので、岩にせき止められた水の流れが一度は二筋に別れても、また後ほど出会うように、熱い思いで別れた私たちもまた必ず逢おうと思う。
「岩にせかるる」 岩にせきとめられる。
定家は、この歌を『二四代集』恋二の巻頭に据えている。恋の心のはげしさが、急流の岩をかんで割れ砕ける力強さに印象づけられながら、鋭く迫ってくる歌で、保元の乱に破れて、讃岐の配所で、悲憤のうちに崩御された院のおもかげをも思いうかべながら、この歌をいっそう深く味わっていたのかもしれない。
『詞花集』以下、勅撰集入集七十七首。