第七十九首
秋風に たなびく雲の たえ間より
もれ出づる月の かげのさやけさ
左京大夫顕輔
藤原顕輔 (1090-1155) 父は藤原顕季。父に和歌を学んで、歌道の六条家を受け継いだ。『詞花集』の撰者。
部位 四季(秋) 出典 新古今集
主題
雲の間からもれて来る秋の月の光の清らかな美しさ
歌意
秋風に吹かれて、大空に横に細くたなびいている雲の切れ間から、漏れて姿を現す月の光の、何という清らかな明るさであろう。
六条家の顕輔の歌の中で、特に定家が高く評価した歌の一つ。平明であり、しかも清澄な歌であり、実感のこもった作。
父、顕季以来の六条藤家の和歌の家説をうけつぎ、俊頼とも親交がありその影響をうけた。『金葉集』以下勅撰集入集、七十八首。