初めて見たのは,多分中学生の頃だったと思う。
日曜洋画劇場,水曜ロードショー,ゴールデン洋画劇場のいずれかだったと思うが,とにかくあの頃は,TVで戦争映画をやる,というだけでわくわくしたものだった。
何でぇ,あのディーゲルIIは米軍のM47「パットン」だし,米軍のはM24「チャーフィー」軽戦車じゃねーか,と,がっかりした記憶がある。
それから幾星霜・・・。
数年前に買ったDVDが封を切らずにあったので,見てみた。
例によって,アンプに灯を入れ,6つの3WAYスピーカーを鳴らし,家族の冷たい視線を感じながらの鑑賞となった・・・。
舞台となるのは,所謂「バルジの戦い」とこの映画公開の後呼ばれるようになった1944年12月16日に始まるドイツ軍の大攻勢とその終焉を描いたものである。
であるから,この邦題は極めて変である。
正しくは舞台となったベルギーの地名から「アルデンヌ攻勢」,或いは「ラインの守り作戦」と呼ぶのが正しいと思う。
監督は,「史上最大の作戦」,「モンテカルロラリー」,「素晴らしきヒコーキ野郎」といった戦史やモータースポーツ等に焦点を当てたドキュメンタリータッチの作品を特徴とするケン・アナキン(因みに,「スター・ウォーズ」シリーズのアナキン・スカイウォーカーは,ジョージ・ルーカスが,友人であるケン・アナキンからとった名という)。
この時期,連合軍はモントゴメリーが功を焦って,クリスマスまでにベルリンを落とそうとして失敗に終わった「マーケットガーデン作戦」の直後で,戦線は膠着していたし,東部戦線でもナチスを追い込んでいた赤軍がバグラチオン作戦によって,大損害を蒙りながらポーランド国境へ迫り,一息ついていた時期に当たる。
そこでヒットラーは乾坤一擲の大勝負に出る。
温存していた最新鋭のティーゲルII重戦車を含む8万を超える軍勢を展開して,ベルギーのアントワープまで回復して,選挙区の挽回を図った。
当初は西欧の厳しい冬ということで,制空権を握った連合軍がティーゲルIIを中心に(実際はパンテルが中心だったらしい)押し出してきた独軍にぼこぼこにされる。
勢いに乗った独軍はバストーニュを包囲。
しかし,12月下旬になると天気が回復。
制空権を持つ連合軍は,兵站を確保。
逆に独軍は燃料・弾薬の不足に悩まされ,やがて物量で押し切られてしまう。
そうした史実を元に戦車戦が繰り広げられ,かなりフィクションが入って娯楽的要素も高い作品となっている。
やはり白眉は,M47とM24の壮絶なアルデンヌの戦車戦の描写であろう。
偽ティーゲルとはいえM47がずらりとそろった様子は圧巻である。
後の「パットン大戦車軍団」同様スペインでのロケで,最初は吹雪の中の死闘だった筈が好天での戦闘になっているのはかなりマイナスである。
ロバート・ショウ扮する独将校が冷徹で良い味だしまくりだし,テリー・サバラス(刑事コジャックが懐かしい)の米軍軍曹も同様。
オチが,燃料集積所を目指した独軍が転がしたドラム缶の爆発で・・・というのは???だ・・・。
そして,あの「パンツァー・リート」。
久々に聴いたが,やはり圧巻。
ま,白人だから,と言われればそれまでだが,連合軍と独軍を平等に扱っているのは,さすがだし,2時間40分の長丁場を飽きさせないのは演出の妙だろう。
不謹慎の誹りを承知で,アルデンヌの黒い森にずらりと並んだ偽ティーゲルM47の進軍を見て一瞬血が騒ぐのを禁じ得なかった・・・。
このアルデンヌ攻勢に関しては,いずれ調べて書いてみたい内容である。
特に,スコルツェニーの偽装部隊と戦後のニュルンベルグ裁判については,いろいろと調べてみたい・・・。
因みに「バルジ」とは,出っ張りとか土手の意味で,アルデンヌ高地がベルギー,フランス,オランダ国境に出っ張っていることから名付けられたのだろう・・・。
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