とりあえず内覧を不動産屋に申請した。
「自殺後の後処理で4月末くらいまで出入りできない」
ときた。
「借りて「出た」ら、どうするんだ?」
と、オレ。
「そのためにお祓いをしている」
と、不動産屋。
「とりあえず、一晩でいいから内覧を兼ねて宿泊させてほしい」
「…なんのためにですか?」
「なんのために? なにが出てくるかわからないから確認のために決まってんだろう。
「自慢じゃないが、「霊」はよく見る。酔っている時やクスリをキメている時は、目の前の奴が生きている奴か、死んでいる奴か、オレが殺った奴かの区別もつかねー。
とりあえず、誰が部屋の借主かを、キッチリわからせてやる。」
「…念のためご忠告させていただきますが…。通常、部屋の「現状復帰」に二月もかかりません。
いわば、「通常の自殺じゃなかった、ということです」
「…なにね、それ? 」
「…警察の査察が入っています。要は「他殺の疑いもアリと…」
「…オレはやってねー」
「誰もあなたがやったとは申してません。 もしかしてやったのですか?」
「ふざけるな!」
つい、電話を切った。
前歴から、「知らないところで若い衆がやったとか?」
という思いが過ったためだ。
とりあえず、未だ交流のある当時の若い衆のひとりに電話した。
(続く)