space.battleship.yamato
ー新たなる戦士たちー
第十一話
ヤマトに戻った坂本らは、土方に直接、状況を説明した。
薬を飲まされた神楽、橋爪の両名は勿論の事、坂本、椎名も念のため艦医:桜に診察して貰う事と成った。
精密検索後、24時間の隔離が施された。
土方は、"騙された"ふりをする為、先発隊とは別行動を取っていた薫子と大地も帰投させた。
「祭中佐。10分後に艦長室へ。」
帰投を確認した土方は、詳しく報告を聴くと同時に今後の作戦を話す為、船務長でもある薫子を呼び出した。
「祭中佐。入ります。」
艦長室に入室した薫子は、腰から上を約15度に曲げ、一礼を済ませ土方まで二歩の距離まで進んだ。
「中佐。」土方はまずヤマトの現状を教えた。
その上で、詳しく地上の様子を伺った。
「うむ。」
「やはり、この惑星(ほし)が水没した事は事実かも知れんが、地上の構造物、都市や古代遺跡は似せて作ったものと判断せざるを得ないな。」
「現時点でエース級パイロットを含め、四名が不在的な状況だ。」
「24時間後、坂本、椎名そして神楽と橋爪の4名は異常が見られなければ、そのまま隊に復帰出来るが、このまま24時間もこの場に待機する訳にも行かん。」
「そこでだ、ヤマトも偽装工作をと考えている。」
「……偽装…ですか?」
「うむ。偽装だ。」
土方の案は、こうだ。
ヤマトの機関トラブルを装い、時間を稼ぐというものだ。
時間を稼ぐと云っても、二~三時間がいいところだろう。
そこで、この時間を利用し、密かに宙雷艇(キ8宙艇)を下ろし隠す。
その上で、ヤマトを先導するこの地球の使者サーダの船に我々数名を乗船させて貰えるよう提案し、サーダを押さえ、船を奪取し、地球へと向かうふりをすると云うものである。
その間、宙雷艇に潜ませた人員を潜入させ、山本、ナジャラらと合流させ、同時にヤマトは転進、この偽りの地球へ再突入する。
「中佐には、その潜入隊の指揮を取って貰いたい。」
「山本やナジャラは、この偽りの地球の事を知り、わざと残ったのであろう。」
「おそらく第十一番惑星を強襲した艦隊の母星だと知ったと思われる。」
「……だとしら艦長!」薫子は思わず大きな声を出してしまう。
「だとしら、その勢いで地球をも。」
「そう考えるのが妥当だ。」
「この地球が偽物で我々の未来ではない。」
「我々、地球人類を地球から追い出し、乗っ取りたいのではと思われる。」
「そして、我々が観せられた水没する地球は、この偽りの地球だと儂は思う。」
「……艦長の推測が正しければ、最悪、地球は地球人類は、人質って事です!」
「ああ。中佐の云う通りだ。」
「おそらく、現時点で地球は人質だと考えるのが妥当だ。」
「だからこそ、我々をもう一度、地球へ向かわせ、地球人類を脱出させる手引きをさせよう仕向けたのだ。」
「……ですが艦長。それなら何も地球人類を人質にせず、抹殺した方が手っ取り早のでは?」
「中佐。儂も君と同じ事を考えた。」
「だが、彼らは地球人類を脱出させてこの偽りの地球へ導けとしている。」
「この事から、彼らは我々を含め、地球人類が必要。」
「何故、必要かは本当のところは解らないが、おそらく労働力ではないかと推測している。」
「最終的には切り捨てられるだろうな。」
「……。」少し、時間を開け薫子は再び口を開いた。
「だとすれば、先ずはこの偽りの地球を我々で制圧、その後、地球を地球人類を解放する。」
「艦長はそう考えているのですね!?」
「そうだ。」
「それも現在、地球を地球人類を人質にしようとしている、あるいは既にしている部隊に悟られないようにだ。」
「派手なドンパチは出来ない。」
「そういう事だ。」
◆◆◆◆
陽炎から送られて来る映像や情報からは、敵が潜んでいるようには思えないと判断した艦隊司令は、指揮を艦長である赤城に任せ、全艦艇に通達した。
「全艦!第ニ警戒体制!」
「マルチ隊形で続け!」命令を下す赤城。
艦隊は縦列からアンドロメダを中心に量産型ドレット・ノート級が、上下二段、横列に並び、その後方に駆逐艦が十文字に隊列を組んだ。
そして、その艦隊をグルリと縦に円を書くように戦闘衛星が浮遊する。
それに対し、ゴルバ級要塞戦闘艦は地球艦隊正面に二番艦、その斜め前方と後方に各々、一艦づつ時計回りに三番艦、四番艦、五番艦、六番艦と配置されていた。
一艦艦については、二番艦の対面した上空に陣を敷いていた。
地球艦隊が全てエリア内に入った後、出口を塞ぐように降下するためだ。
イメージ曲space.battleship.ヤマトより。
「グローダス総司令!地球艦隊、有効射程ラインを通過しました!」
「うむ。」
「全艦!砲撃開始!!」
十字砲火を浴びせるように、ゴルバ級要塞戦闘艦から一斉に砲撃が開始された。
「十番ドレット・ノート級!爆沈!!」
「五番ドレット・ノート級!被弾!!」
「被害甚大!!」いきなり飛び込む、爆沈、被弾の報告に度肝抜かれたように、目を丸くする赤城。
「……くっ! 」
「待ち伏せか!敵はステルス艦だ!!」
「全艦!第一級戦闘配置にシフト!!」
「陽電子照明弾を射ち上げろ!!」
「各艦!砲雷撃戦よーい!」
「戦闘衛星を散開!」
矢継ぎ早に命令を下すが、それと同等に被害報告が飛び込む。
普段、冷静沈着な赤城だが、動揺を隠せなかった。
「全艦!マルチ隊形を解除!密集…いや、散開せよ!」
「駆逐艦陽炎轟沈!!」
陽電子照明弾のプラズマ波によって浮かび上がったゴルバ級。
そのゴルバ級の大きさにど肝を抜かれるクルーたち。
「……これが、この巨大な物体が艦(ふね)だと?」
「全艦!砲撃しつつ後退!」
「駆逐艦隊及び戦闘衛星は陽動を!」
「残りの艦は後退しつつ、拡散波動砲の発射体制を取れ!」
「か、艦長!」
「後方にも巨大艦!!」
「なっ!何っ!!」
第十二話へ
つづく。
この物語は、もし私がspace.battleship.yamato(実写版)の続編を作るとしたら的に、二次創作したspace.battleship.yamatoの物語です。
私的設定が混ざっています。
使用している画像はイメージです。
また一部、過去に集めた拾い画を使用しています。