今からちょうど1年前、私は沖縄にいた。那覇から石垣島、波照間島へと渡った5日間の旅だった。街を歩いていても東京にはないような景色ばかりでとても楽しかったが、そのなかでも特に目を引かれたものがあった。
「石敢當(いしがんとう)」である。街のそこかしこで見られるもので、魔除けとして設置される。沖縄の言い伝えではマジムンという魔物がいて、股をくぐられたら死んでしまうと言われている。マジムンが家に入ってくるのを防ぐため通り道の丁字路や三叉路に置かれるのが石敢當なのだ。
5日間の滞在中見つけるたびに撮影していて、旅行が終わったらZINEにまとめたいと考えていたのだが生来の怠惰ゆえ先延ばしになっていた。最近SNSのフォロワーさんらが石敢當の写真をアップしていらっしゃって、1年経つ前にZINEを作ろうと思い立ったがZINEにするほどの枚数はなく、ポストカードにしようかと思ったが販売するイベントもしばらくないし出すあてもないのでここにまとめたいと思う。
ブロック塀に設けられたパターン。ともに石垣島で撮影。
沖縄では透かしブロックが見つからないと思っていたら、比較的よく見つかるらしい。探索が足りなかった。沖縄の建築で用いられる「花ブロック」も次回は見てみたい。
ブロック塀に埋め込まれているが、周りを囲われている(石垣島)
「真実の口」ってこんな感じだったかなと思い画像検索したら
全然似ていなかった。
表札のようなパターン。幾度もマジムンを撃退してきたであろう歴戦の勇者のような表情が美しい。沖縄のコンクリや外壁、ガラスブロックもそうなのだが風雨にさらされて擦り減ったり傷ついているものが多いと感じた。台風が上陸する頻度や勢力が本州とは段違いだろうからそりゃそうか。左:石垣島 右:那覇
書体の違いを楽しむのもいい(石垣島)。篆書体に近いと思うのだが、どうだろうか。その佇まいで石敢當が元々中国由来のものだったというのも納得できる。
比較的新しいマンションにも用いられている(石垣島)。今でも伝統として残っている証なのだろう。ちなみに今回石垣島のサンプルが多いのは、滞在時間の長さもあるが住宅街を歩く機会が多かったからだと思う。対して日本の有人島最南端の波照間島では発見できなかった。
路上観察が好きな方への一枚。ゴムホース、路上園芸にもうひとつなりきれていない植物がいい。撮影したのがハンバーガーショップだったのか、バンズとレタス、トマトが見切れている(石垣島)。
100均で売っていそうなポップなタイプ。シーサーの柔和な表情が少し頼りない一枚。魔除け頼むよ!
このように短い旅行の間でもいくつかのパターンの石敢當を見つけることができた。書いているうちにまた沖縄に行きたくなってきたので、次回はより多くの石敢當を探すために街をたくさん歩きたいと思う。
今回の記事を書くにあたり石敢當の概要について以下のサイトを参考にさせていただいたことを付記する。
最後の一枚はもはや魔除けじゃないパターン。酒飲みはふらふらと入ってしまいそうだが、マジムンは撃退されてしまうのか。そもそもマジムンは酒が飲めるのか。オリオンビールとジーマミ豆腐、あとポテトフライで、とか言って。