僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

「胆石手術」 星降る街

2018年03月01日 | Wish
日本各地で、記録的な大雪となった、今年の冬。
豪雪地の模様を伝えるニュースを見るたびに、雪のない生活を送れる幸せを感じています。

若いころは、あんなに黒々としていた頭髪も、いつの間にか過去のものとなり、
つやつやと光り輝くようになりました。

変われば、変わるものです。

若いころの容貌なんて、すぐに消えてしまいます。
儚い生命を輝かせる、蛍のようです。

毎晩、氷点下になる、お寺の座敷。
布団にくるまっても、ハゲ頭が冷えて眠れません。

じんじん冷える、ハゲ頭。

髪の毛がほしい。
切実な願いです。

そんな時、「タオルを巻いたら、温かいわよ」と、
家内がタオルを、頭に巻いてくれました。

たったそれだけのことなのに、じわ~とぬくもりが、頭を包んでいきました。

温かい。
思わず、言葉がこぼれました。

ほんの些細なことなのに、人のやさしさは、こんなに心に灯をともす。
ポカポカとする布団の中で、私は心地よい眠りにつくことができました。

そんな二月の、ある日のこと。

いつものように、夕食を食べているとき。
家内が、「私、手術をするかもしれない」と、言いました。

手術・・・?
私のお箸の動きが止まりました。

誰が、手術をするって?
私は、もう一度訊ねました。

「私・・・、胆のうを摘出しないといけないって・・・」

以前から、胆のうに大きな石が蓄積していることは知っていました。
それが限界を超えて、胆のうと、その周囲の臓器が、「ガン化」したときに発見が遅れる。

いずれ、手術をしなくてはいけません。
それなら、少しでも若いうちに、手術をした方がいい。

子供たちが、家に帰省しているとき・・・。
それなら、三月に手術をしようということになりました。

入院。

家内が以前入院したのは、出産のときです。
あれから、二十年が過ぎました。

あのころは、私も若かった。
背中に、冷たいものが走りました。

当然のように、過ぎていく日々。
同じことの繰り返し。

私の隣には家内がいて、それが当たり前のことだと思っていました。
でも、それは小さな出来事で消えてしまう。

人生って、まるでシャボン玉。

風に吹かれて、青空を舞い。
屋根まで飛んで、壊れて消える。

人の生命って儚いもの。
そう思いました。

「なに弱気なことを、言っているの。

私は、鋼球。
そんなことでは、破裂しない!」

私の言葉を聞いて、憤然とする、家内。

打たれても、何度でも立ち上がる。
さすが、母ちゃん。ど根性。

胆石なんか、吹き飛ばせ。

母ちゃんの健康を願っているよ・・・。
「嘘ばっかり」(家内談)

そんな言葉を交わしながら、初春の一日が暮れていきます。

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