『かき氷あり〼』『冷やし飴あり〼』『びーる冷えて〼』的な〼。うちの実家の近所には夏になるごとに『カブトムシあり〼』という看板を出すお花屋さんがあった。たぶん、お花用の腐葉土の中に勝手に繁殖したカブトムシの処分に困って、「捨てるならうてまえ(売ってしまえ)」という訳でしょうね。しかし、残念なことには、夏になるとカブトムシが勝手にに飛んできて、下手するとおかずの皿に飛び込んでくる世界に暮らす者たちにとって、そのあり〼は、あまり魅力的ではないようでした。
夏と言えば、昔変なことがありました。一人で留守番をしていた時の事。買い物から帰ってきたオカンが「あんた、ちょっと焦げ臭いことない?」というのです。花王愛の劇場をみながら、そうお、知らんで、とうそぶいて寝っ転がっていたのですが、ほどなく母の悲鳴と共に、真っ白な煙が部屋に充満し、花王愛の劇場が見えないほどになったのです。そら大変!火事火事火事火事火事と、大わらわで探すと、二階の部屋のクーラーから白煙がもうもうと出ておりました。
「奥さん、あと、一分で火事でしたな」と電気屋に言われ、顔が引きつっている母。その時、
電話が鳴りました。私が出ると相手は東京のおじさん。開口一番「だいじょうぶ!!?」と言います。さすが東京、情報が早い! いやいや!
なんぼなんでも早過ぎる。電気屋がお茶も飲み干さんうちに東京から電話って。訊くと、おじはほんの二・三分前に所用で電話をかけていていたらしいのです。
それはちょうど、オカンと私が大わらわで火元を探している頃、そしたら誰かが電話に出たそうなんです。「もしもし重ちゃん(私の仮名)」と、叔父は言ったそうなのですが、電話に出た相手はただ荒い息遣いで、はあ、はあ、と言っているだけなんだそうです。そしてほどなく電話は切れたそうです。
悪い予感がした叔父は、すかさずリダイアル、この辺はさすが東京、その当時、まだリダイアルなんてしゃれた機能は、京都府北部には浸透していませんでしたから。そしたら私が出た。という事で。
もちろん、オカンも私も、電話が鳴った事すら知りません。家にはオカンと私だけ。いったい、誰が電話に出たのでしょう。
実家は古く、それまでも、夜中にトントンと廊下を歩く音やドアをノックする音を聞いたりしていましたが、家族全員、それはざしきわらしだ、というコンセンサスのもと、平然と暮らしていたのです。
実家には、ざしきわらし、おり〼。という訳でしょうね。幸せを招く妖怪なので、どうぞごゆっくり。
夏と言えば、昔変なことがありました。一人で留守番をしていた時の事。買い物から帰ってきたオカンが「あんた、ちょっと焦げ臭いことない?」というのです。花王愛の劇場をみながら、そうお、知らんで、とうそぶいて寝っ転がっていたのですが、ほどなく母の悲鳴と共に、真っ白な煙が部屋に充満し、花王愛の劇場が見えないほどになったのです。そら大変!火事火事火事火事火事と、大わらわで探すと、二階の部屋のクーラーから白煙がもうもうと出ておりました。
「奥さん、あと、一分で火事でしたな」と電気屋に言われ、顔が引きつっている母。その時、
電話が鳴りました。私が出ると相手は東京のおじさん。開口一番「だいじょうぶ!!?」と言います。さすが東京、情報が早い! いやいや!
なんぼなんでも早過ぎる。電気屋がお茶も飲み干さんうちに東京から電話って。訊くと、おじはほんの二・三分前に所用で電話をかけていていたらしいのです。
それはちょうど、オカンと私が大わらわで火元を探している頃、そしたら誰かが電話に出たそうなんです。「もしもし重ちゃん(私の仮名)」と、叔父は言ったそうなのですが、電話に出た相手はただ荒い息遣いで、はあ、はあ、と言っているだけなんだそうです。そしてほどなく電話は切れたそうです。
悪い予感がした叔父は、すかさずリダイアル、この辺はさすが東京、その当時、まだリダイアルなんてしゃれた機能は、京都府北部には浸透していませんでしたから。そしたら私が出た。という事で。
もちろん、オカンも私も、電話が鳴った事すら知りません。家にはオカンと私だけ。いったい、誰が電話に出たのでしょう。
実家は古く、それまでも、夜中にトントンと廊下を歩く音やドアをノックする音を聞いたりしていましたが、家族全員、それはざしきわらしだ、というコンセンサスのもと、平然と暮らしていたのです。
実家には、ざしきわらし、おり〼。という訳でしょうね。幸せを招く妖怪なので、どうぞごゆっくり。