<食物アレルギー>子供の過剰制限は逆効果 栄養障害誘因も
毎日新聞 10月18日(金)7時30分配信
食物アレルギーを起こしやすい卵や乳製品などを子供が食べるのを過剰に制限した結果、アレルギーの悪化や栄養障害を起こす事例が出ていることが、複数の調査で分かった。保護者らがアレルギーの発症を過剰に恐れている実態があるようだ。19日から横浜市で開かれる日本小児アレルギー学会で発表される。
東京都立小児総合医療センターでは、食物制限後にO脚などを発症した子供が、過去5年間に5人受診。うち4人に、栄養障害で骨が変形する「くる病」の症状を確認した。5人とも湿疹やアトピー性皮膚炎を治すために卵と乳製品を除去しており、魚も取らせていない例もあった。3人は保護者が自己判断しており、こうした食事の結果、ビタミンDが不足したとみられる。
調査した清水麻由医師は「不必要だった食物除去で、逆に病気を生んでしまったが、親は『子供のため』と思っていた」と語る。
東京都八王子市の松本勉医師の調査でも、アトピー性皮膚炎などを改善するため食物除去をしていた147人のうち、逆にアレルギー反応が強まった子が複数あり、うち2人は強いアナフィラキシーと呼ばれるアレルギー反応を起こしていた。明らかに皮膚炎が改善したのは10人だけだった。
国立成育医療研究センターの大矢幸弘・アレルギー科医長は「最近は、こうした食物の摂取を遅らせる方がアレルギーを起こしやすくなるとの研究もある。食物除去は必要最低限にすべきだ」と訴えている。【田村佳子】
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