以前のある新聞の記事で、米軍が北朝鮮軍から攻撃を受けてそばに自衛隊がいても、守る事は出来ない、というのがあった。しかし実際にこのような事があったら、現場の自衛隊指揮官は躊躇なく米軍を支援して反撃するだろう。眼前に同盟軍が攻撃されているのを座視する軍人はいないからである。
もちろんこれは重大な違法行為である。これは満洲事変を想起させる。むしろ満州事変で越境した、林銑十郎朝鮮軍司令官に相当するのかも知れない。いずれにしても当時日本には条約上の権利があって軍隊が南満州に駐留していても、満洲で働く日本国民に中国から殺人を含む様々な迫害が加えられていたにも拘わらず、政治家は政争に明け暮れるだけで、何らの有効な対策をしなかった。
満洲の日本人と権益を守る任務の関東軍が、眼前の不法行為を座視する事ができようはずがない。満洲事変は現地の実情を知らない政治家の無責任によって必然的に起きた事件である。また、林司令官の越境支援は軍事上当然であった。米軍への攻撃の際に自衛隊が援護するための、集団自衛権の行使を具体的な事態を想定しもしないで、党利党略しか考えていない政治家の無責任は、戦前の政党政治を彷彿とさせる。
確かに限定的に自衛隊の集団自衛権行使は認められた。しかし、これは事態が日本防衛に必要な場合という、重大な足枷がある。北朝鮮軍が米軍を攻めただけでは、自衛隊が援護はできない。必ずしも直接的に日本が危機にさらされた、とは言えないからである。この想定は荒唐無稽ではない。米海軍と自衛隊護衛艦共同訓練中に、北朝鮮爆撃機か潜水艦が突如攻撃する、というのはありうる。
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