一日中雨に晒されたマンション鯉のぼり“鯉太郎”。
心配で朝、見に行くと何事も無かったかのように朝日を浴びていた。
「じゃあな、鯉太郎」
夕方、帰宅すると鯉太郎がもがきながら泳いでいる。
ロープを折り返して張っているのが原因と思われた。
GW本番突入。
心配で朝、見に行くと何事も無かったかのように朝日を浴びていた。
「いやぁ、鯉太郎は無事だったよ。荒天の中よく頑張った」「上から二番目の鯉のぼりはコイ美ちゃんだなハハハ・・・」
家に帰り家族に報告するが、誰も反応無し。
「田舎だって鯉のぼりなんかこんがらがっても、ほっぽりぱなしだから、そんなに気にする事はないんだよ。どうせ皆もう、見飽きてるし」
切ねぇなぁ。
身も蓋もねぇよ。
「じゃあな、鯉太郎」
数日の在宅勤務明けで出社日。
鯉のぼりに声をかけ会社に向かったがその脆さに、またトラブルが発生するような気がして、うしろ髪を引かれる思いだ。
夕方、帰宅すると鯉太郎がもがきながら泳いでいる。
「うわっ、吊り上げロープがよれて鯉太郎に絡まっているじゃないか!」
ロープを折り返して張っているのが原因と思われた。
またまたトラブル発生。
コイ美ちゃんは大丈夫そうだが鯉太郎は、ほっておけば紐が切れてしまう。
夕闇迫り、作業は出来ない。
「一晩頑張ってくれ、鯉太郎。明日、治してやるからな」
GW本番突入。
こどもの日まであと5日。
容赦ない強風が恨めしい。
「鯉太郎、頑張れ・・・」