北海道網走市に本社をおく「道東観光開発」は、旅客定員420名の大型旅客船を使用した観光船の運航事業をメインにしています。1962年以来名鉄グループでしたが、2012年以降は地場資本のカラオケなどアミューズメント中心に事業を営む「タカハシ」のグループ会社となっています。
同社は20年以上にわたり2隻の大型船「おーろら」(1991年就航)・「おーろら2」(1995年就航)を保有しており、この2隻を夏はウトロ港発着の知床半島を巡る観光船、冬は網走港発着の流氷砕氷観光船として運航してきました。
https://www.ms-aurora.com/shiretoko/(夏のページ)
https://www.ms-aurora.com/abashiri/ (冬のページ)
夏の運航は2隻がフル回転でしたが(コロナ禍前の2019年の場合、所要時間1時間半のカムイワッカの滝航路が1日5便・所要時間3時間45分の秘境知床岬航路が1日2便)、冬の運航は「所要時間60分・1時間半間隔」なので、乗船客が超集中しない限り1隻で賄えます。
このこともあり、コロナ禍による乗船客減=収入減で維持管理費の負担が難しくなったため、大型船のうち新しい方の「おーろら2」は2022年3月21日の網走市民対象の無料のラストクルーズで引退となりました。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/656830/
一方、知床については「カムイワッカの滝航路」「秘境知床岬航路」の両方を運航するためには2隻が望ましいわけで、上記URLの記事が書かれた2022年3月15日の時点では、同社は新たに小型船「おーろら3」(19トン)を建造し、夏季の知床航路で就航させる予定となっていました。
但し、4月中旬時点で公表されていた2022年の運航時刻表によれば明らかに1隻体制で、ウトロ発10:00の秘境知床岬航路を運航する6~9月は、カムイワッカの滝航路はウトロ発8:15の次は14:30までありません。新造船は2022年には間に合わなかったわけです。
https://www.ms-aurora.com/shiretoko/prices/ (5月17日時点の情報より)
ただ周知のとおり、2022年4月23日を境に、知床半島の観光遊覧船を巡る環境はがらりと変わってしまいました。道東観光開発のことですから「おーろら3」は小型船といえども知床の環境に合致させた形の建造を計画しているはずですが、この分だと知床で就航させるのは当分無理かもしれません。
なお、大型船「おーろら」による知床航路は、5月20日からの運航開始が発表されています。
https://www.ms-aurora.com/shiretoko/pdf/resume.pdf
「おーろら」予約サイトで運航予定を照会したところ、6月1日からは「ウトロ発10:00の秘境知床岬航路」の予約ができるようになっていました。