はーちゃんの気晴らし日記

気ままに 楽しく 書きくけこっこ!

取引先の社長さんの事

2008年05月25日 | 出来事
先日、取引先の社長さんから電話が入りました。

本人は知らないらしいのですが、「もう長くはない」と医師から言われているらしい。
肝細胞ガンということで一旦手術したのですが、手術後間もなく新たにがん細胞が見つかり、何度も手術はできないとのことで放射線治療や投薬を受けながら仕事を続けていました。
でも、最近はかなり体調が悪くなっていて、とうとう再入院してしまいました。
ビールが大好きでいわゆるビール腹。
太った上にお腹ががドーンと出ている人でした。
その人が見違えるように痩せ、まるで別人のようになりました。

その社長さんは、いつも冗談ばかり言っている人でした。
私が電話を取ると、
「うれしいな。はーちゃんの声が聞きたかったんだよ。」
とか、私が、
「請求書が来てないけど、早く出して下さい。」
と言うと、
「じゃあ、ダンナさんがいない時に、はーちゃんの家まで届けるから。」
などと、いつも話を茶化してしまうような人でした。

なのに、さすがにその時の電話では、
「身体がだるくて辛い」
「体中が痒くて眠れない」
と言います。
黄疸が出ているらしいのです。
入院先の病院でやっとのことで公衆電話まで行って、電話していると言っていました。
「納品書と請求書は届いている?」
と、心配していました。
社長が不在の中、息子さんが工場をやっているのですが、頼りなくて、実際、社長さんが心配している納品書も請求書も来ていませんでした。
電話を切った後、その頼りない息子さんに電話して、急遽FAXを入れてもらって処理したのですが、あれでは、社長さんも落ち着いて入院してもいられないんだろうなと思いました。

その電話があって、4日後に社長さんは亡くなりました。
どうしても家に帰りたいと言い張り、医師には
「ここで家に帰ればどうなるか責任は持てない」
と言われたらしいのですが、社長さんは何が何でも家に帰りたかったらしく、医師の反対を押し切って外泊したそうです。
自宅で1泊した後、急に容態が悪くなり、意識不明のまま救急車で運ばれ、その救急車の中で息を引き取ったそうです。
その時、お腹はパンパンに膨れていたそうです。
腹水がたまっているのだろうということでしたが、病院に戻ってからお腹を開けたところ、たまっていたのは水ではなく、全部血液だったとか。
内臓のあちこちから血液が吹き出て身体が腫れ上がっていたそうです。

いつもバカなことばかり言っている社長さんでした。
具合が悪くても冗談を言うのは変わりませんでした。
それが先日の電話は、それすら言えないほど辛かったのでしょう。
あの日の社長さんの苦しそうな声が未だに耳に残っています。

今日はこれから、その社長さんの告別式に行ってきます。

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