クマが嫌いなもの

クマが嫌いなものは第一に雷。
クマにとって雷は、この世の中でこれ以上ない恐ろしいものらしい。
雷が鳴り出すと、しっぽを下げて震えているだけで、声も出ない。
そのうち、ハアハアと激しい息づかいになりながら家の中のあちこちをうろうろして、結局は、玄関の下駄箱の下か、ベッドの下にもぐる。
嫌いなものは他にもあって宅急便のトラックや新聞、郵便のバイク。
でも、それらには、激しく吠えて、追い払おうとするので、雷ほどの怖さはないらしい。

最近、もう一つ苦手なものがあるのに気づいた。
意外なもの・・・それは何とハエ。
若い頃はハエを見つけると一生懸命追いかけて食いつこうとしていた。
結構辛抱強くいつまでも追いかけていた。
でも、最近は年を取ったせいか、何回か追いかけるとあきらめるようなった。
そこへまたハエが飛んできて自分に近づいてくると、ゆううつになるらしい。
クマとしては、もう追いかけたくはないし、かといって、そばに飛んでこられるとうっとうしくて、食欲もなくなってくるらしい。

ハエはだいたい玄関から入ってきて居間に飛んでいることが多いから、クマは２階へ避難してしまう。
そうなると、食事の支度を始めても来ようとしない。
勘九郎とハイジが食べていても、自分は食事どころではないらしい。
ハエを退治して
「クマー！もう大丈夫だよ！もう、ハエはいないよー！」
と叫ぶとやっと降りてきて食事を始める。

おかしいのが、殺虫剤をかけて、死んだと思ってもまだ生きていたりすると、あわてて、また２階へ戻っていく。
いつも吠えまくって、近所の人や訪問者に恐れられているクマが、ハエが苦手とは・・・。