信じられない

私の会社は、４月に１年分の年間カレンダーが設定され、それによって土曜日や祭日の出勤やお休みが決まります。
年間休日数の関係で、祭日は、出勤になる確率がかなり高いです。
世間がお休みのところに仕事に出てくるのは、あまりうれしいものではありませんが、電話もなく来客もないので、時間を拘束されていること以外は、一日を自由に使えるため祭日に出勤してくることはそれなりに良いこともあります。
私は毎日自分でお弁当を作ってくるので、祭日でも関係はないのですが、普段、会社で仕出し弁当を取っている人は、祭日出勤だと勝手が違ってくるようです。
祭日は仕出弁当は、お休みになるので、自分で昼食を用意しなければなりません。

ある祭日の出勤日のことです。
一人の女性が、スーパーで昼食を買ってきました。
透明のプラスチックのパックに入ったペンネでした。

料理方法もこんな感じでした。


それを持ってきた彼女は、
「今日はペンネにしたのよ。私は、これが大好きなの。スパゲッティは嫌いなんだけど、ペンネは好きなの。」
と盛んに自分が買ってきたペンネをアピールしていました。

そこへお昼になって食堂にやってきた一人の男性が、彼女のお弁当を見て、
「あれ？今日は、パスタだね。」
と、言いました。
すると彼女は、
「パスタじゃなくて、ペンネよ。」
と言います。
言われた男性は黙っていました。
私も黙ってその会話を聞いていましたが、内心では「ペンネもパスタだよ」と思っていました。
そこへまたもう一人の男性がやってきて、また同じように
「あれ？今日はパスタ？」
と言いました。
すると彼女は、また同じように、
「パスタじゃなくて、ペンネ！」
と言いました。
その男性は、
「ペンネもパスタだよね。」
と私にふってきたので、
「そうね」と私は答えました。
すると、彼女は、「そうなの？」と私に言うので「そう。」と答えると、
男性は、
「スパゲッティもマカロニもペンネもパスタだよ。」
と言いました。
すると彼女は、
「スパゲッティは、パスタだけどマカロニは違うよね？」
と私に言ってきたので、
「いや、マカロニもパスタでしょ。そういうものを総称してパスタと言うと思うよ。」
と私は答えました。
そんな会話の後、それぞれが昼食を食べ始めました。

彼女は、私に言ったのと同じように
「私はこれが大好きなの。美味しいのよ。」
と言いながら食べています。
ところが、半分くらい食べた頃、
「これ、美味しくない。不味いわ。」
と言い出しました。そして、
「不味い、不味い。」
と言いながら、ペンネをかき回しています。
１つ口に入れては、フォークでかき回し、また次を口に入れては、かき回しています。
それを見ているだけで、本当に不味そうに見えました。
すると驚いたことに彼女は、
「私、不味くて食べられないから、誰か食べない？」
と言いました。
もちろん誰も反応しません。
すると、彼女は、男性の一人ひとりに残りを食べるかどうか聞き始めました。
当然、みんな断りました。
そして、最後にいつもお腹をすかせていて、残り物でも食べてしまう会社で一番若い男性にふりました。
でも、さすがにその男性も断っていました。

そして、この話には続きがあります。
彼女の話で余計に呆れたのですが、彼女の近所に親しくしている年寄りがいて、毎日のように彼女の家にやってくるそうです。
食事を共にすることも多いらしいのですが、その人が、”食べる時に取り箸を使わずに自分の使っている箸で取って食べるから汚くて嫌だ”と言うのです。
はぁ？
でした。
それじゃ、自分のあのペンネは一体何なんだ？
自分のフォークで散々かき回した挙句、不味い不味いといって他人に勧めるあの神経は一体何なんだ？
不味いものを人に勧める神経もわからないけれど、あれだけ食べ散らかしたものを他人に勧める神経もわからない。
この年まで生きてきて、そういう人にめぐり合ったのは初めてのような気がします。
世の中いろんな人がいるというのを改めて感じた出来事でした。

今まで、お腹の中にたまっていた出来事なので、吐き出してすっきりしました（笑）