『くまのコールテンくん』作:ドン=フリーマン/訳:松岡享子/偕成社
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デパートのおもちゃ売り場でだれかが連れて帰ってくれるのを待っている、くまのぬいぐるみコールテンくん。ある日、女の子がひとめで気に入って、うちに連れて帰りたいとママにせがみますが、ズボンのボタンが取れていると言われてしまいます。コールテンくんは、誰もいない夜のデパートを、とれたボタンを探しに回ります。
警備員のおじさんにみつかって、もとに戻されてしまいますが、翌日女の子は、自分の貯金をはたいてコールテンくんをうちに連れて帰り、ボタンも直してぎゅっと抱きしめてくれました。
とっても優しいお話で、読み聞かせの定番にしている人もいます。
『くまのビーディーくん』作:ドン=フリーマン/訳:松岡享子/偕成社
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ゼンマイじかけのくまのビーディーくんは、仲良しの男の子の留守中に「本物の熊はほらあなにいる」と知り、家を出てほらあなを目指します。これもくまの素朴な思いが微笑ましい一冊。
コールテンくんと作者同じだったのですね。いま並べてみて気が付きました。改めて見るとこちらはテディベアじゃありませんでした。でも両方とも、くまが「おもちゃ」というより「お友だち」の時期の子どものお話で、かけがえのない時間を共有する存在だと感じさせてくれます。
『オットー~戦火をくぐったテディベア』作:トミー・ウンゲラー/訳:鏡哲生/評論社
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ドイツの小さなぬいぐるみ工場で生まれた「ほんもののテディベア」であるオットーが、「自伝」として語る物語。ある日デビッドという男の子の贈り物になり、その子の親友オスカーと、いつも3人で遊んでいましたが、やがてユダヤ人迫害が始まります。ユダヤ人であるデビッド一家は収容所に送られる日、オットーをオスカーに託します。やがて戦争がはじまり、空襲の中でオスカーともはぐれてしまいました。
戦争が終わり、骨董品店のショーウィンドウに長い年月飾られたオットーに、思いもよらない幸せが訪れます。
これは学校司書の先生に教えてもらって借りたのですが、以前読んだことがあり忘れていました。息子は「オットー好きなんだよね~」と言って読んでいました。
空襲の描写は兵士の死体を容赦なく描き出し、オットーもあまり可愛らしい見た目ではなく、さすがトミー・ウンゲラーだなと。最後は家族を失って一人きりだった3人が再会し、なかなかに感動するお話です。本当にあった話のようで、そうであってもおかしくないようなリアルさがありますが、本には特にそのような記述はありませんでした。
でも、実話かどうかは関係ないですね。戦争で引き裂かれた友人や破壊された街があったことは真実であり、それを子どもたちに誤魔化すことなく伝えている、シビアな絵本だと思います。