キリスト教弾圧下の日本が舞台。師が棄教したとの噂を伝え聞いたポルトガル人の若き宣教師二人が、真相を確かめるべく日本へ向かう。厳しく棄教を迫られ、信者の拷問を見せつけられるなかでも沈黙し続ける神に、彼は―。
どこに行っても日本人英語ペラペラという突っ込み所はあるものの、大変な思い入れのある力作だと感じました。マーティン・スコセッシ監督が28年前に原作を読んで以来映画化を望んでいて、やっと実現したそうです。
映画として面白いかといったら、うーんと唸ってしまいますが、弾圧する日本人を一方的に残忍にばかり描くのではなく、バランスをとる作り方で誠実さを感じました。日本がキリスト教を認めないのは狭量だけれど、西洋人もまた考えを押しつけようとしていることを気づかせようとします。イッセー尾形や浅野忠信がいい仕事してました。ラストは原作(なにしろ忘れてる)とは微妙に違う印象でしたが、悪くはありません。これも日本人が作っているんじゃないからかなと思いました。
それにしても、人間ってここまで残酷になれる生き物だと思うと絶望感がすごいです。常に常に、ずっと、「宗教ってなんだろう」と疑問を持たざるを得ない。ただ信じているだけなのに拷問の上殺すのは明らかにやり過ぎだし、信者も殺されてまで教えを貫くのは頑迷にすら感じてしまう。
客観視するとどう考えたっておかしいことが、その時代の当事者にはどうすることもできない。そういうもどかしさをずっと抱えつつ観る話でした。
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