高学年でないと読めない、という本を1学期から読むのはどうかと思いつつ、図書館に行けてなかったので借りてあったこの2冊を。以前図書館の講習会で高学年用としてオススメされた本です。
2冊ともひとり親家庭のお話ですが、落ち込むようなものではなく、いろんな家族のかたち、またはカタチに捉われない人と人との絆ってあるよね、と語りかけてくるような本です。
パパのカノジョは 作:ジャニス・レヴィ / 絵:クリス・モンロー / 訳:もん出版社:岩崎書店 |
「パパのカノジョは」
「パパの新しい彼女はかわってる。」から始まり、カノジョの風貌や趣味にケチをつけつつ個性的な部分を紹介する前半があり、後半はカノジョが語り手の女の子をひとりの人間として尊重している様子と、女の子が次第に心を許していく雰囲気が語られます。
――あたしの機嫌が悪いとき、無理やり笑わそうとしたり、質問攻めにしたりしないで、ただしずかにしといてくれる。あれこれ命令しないし、くどくどお説教もしない。それに、いつまでも怒っていない。
説明的な文章はないのに、心の変化が分かりやすく伝わってくるところが上手い。子供たちは真面目な顔して聞いていました。
パパはジョニーっていうんだ 作:ボー・R・ホルムベルイ / 絵:エヴァ・エリクソン / 訳:ひしき あきらこ出版社:BL出版 |
「パパはジョニーっていうんだ」
これも、「離婚した」とは一言も書いていませんが、男の子がママとふたりで引っ越してきたこと、パパとは駅で待ち合わせて久しぶりに会う(でもママとパパは会わない)、という語りで分かります。
男同志、好きなものを食べて好きなアニメ映画を見て、一日楽しく過ごすなかで、男の子(保育園児)はお店の人など誰かに会うたび、「ぼくのパパ。パパはジョニーっていうんだ!」と元気に紹介します。
このはしゃいだ紹介の繰り返しによって、ふだんの、パパの不在による男の子の寂しさが伝わってきて、なんとも言えず切ないです。
また駅で別れるという場面で、こんどはパパが息子を電車内の人に大声で紹介します。さいごは男の子が電車を見送り、余韻を残してお別れ。
お涙頂戴というほどの事件は盛らず、わりと淡々としたなかに情愛を醸し出します。こういう感じ、5年生は分かってくれるのかなと不安に思いつつ読みました。いま分からなくても、こういう絵本あったな、といつか思い返してくれたら嬉しいです。
大人の押し付けで、全然面白くなかったかもしれないし、伝わるように読めたかも、分かりませんが。