16歳の家出少年と、母を亡くしたばかりの少女ひなとの出逢いと運命を描いた物語。ひなは局地的に天候を晴れにすることができ、少年はその能力を生かして一緒に商売を始める。しかし、‘’天候を司る巫女”には避けがたい運命が訪れることがわかり…。
* * * (以下ネタバレありです)
「天気は人の感情と繋がっている」という言葉があるのですが、気持ちだけじゃなくて経済や健康とも密接に関係していて。天気を自由に操れる能力があるとすれば凄まじい価値があるし、同時にそれはそれでやはり「業が深い能力」ということになるのだろう。というのが一番印象に残った感覚です。
世界の運命を背負うと自己犠牲で終わりがちなところを、あえてそれを拒否する、否定する話なのだなと。それは良いのですが、実際東京の街がほとんど水没するという未曽有の自然災害(というか環境変化?)に見舞われているわけで、経済も都市機能もマヒしてたぶん健康被害も起こるはず。相当深刻な状況かと思われるところ、その状況は2年くらいで通過していて人々はそれを受け入れ、(水上バス的なものあったりして)ちょっとのどか、くらいの生活になっているのが不思議でした。
そのせいか、終わり方がわりとあっさりしているような、ふわっとした感じで終わったなあという印象でした。「若者特有の痛さを了解してくれ」みたいなものを感じ、主人公たちに完全に共感するには、私は歳を取りすぎているのかもしれん、と思ったり。
* * *
映像美や音楽が素晴らしく、良かったは良かったけれど感動するというよりはこういうのだと確認するために観たという感覚でした。
どうしても『君の名は』と比べてしまうのと、諸々のサービスや感情過多が物語への没入感を削いでしまう面がありました。身近な存在として共感を呼びたかったのか分かりませんが、お菓子やラーメンのパッケージは極リアルであからさまな広告と感じてしまったし。
ただ、天候が人間に与える影響の大きさには妙に納得するものがありました。ふたりの出会い自体はささやかな出来事だけど、天候を壮大に描いていて大作感がみなぎっていましたね。
余談ですが、前日に『千と千尋の神隠し』を録画視聴していました。両方に感じたことですけど、自分独自の妄想を映像魔術で引き込む才能は凄いなあと。
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