ハナウマ・ブログ

'00年代「ハワイ、ガイドブックに載らない情報」で一世を風靡した?花馬米(はなうま・べい)のブログです。

酒が飲める市役所?のその後

2021年08月05日 | ぶらり

本稿は筆者が過去に投稿した内容の続報である。あの時はコロナ禍が収まるかにも見えた2020年秋で、レポート内容はいわば「楽しめる横浜市役所の紹介」だった。じつは今回2021年8月、どうしても避けられない用事があって横浜市役所に出かけたため、そのついでに最近の様子を見てきた。

みなとみらい線

もう効果が薄れてきているような緊急事態宣言のなか、今回は横浜駅から「みなとみらい線(正式には『みなとみらい21線』)」に乗って馬車道(ばしゃみち)駅で降り、市役所へアプローチすることにした。
体温に迫るような気温の中、マスクをきっちりつけて歩くのは楽ではない。少しでも外気温と直射日光を避けたいから、全区間で地下を走る「みなとみらい線」は助かる。
また馬車道駅はその地下構内から横浜市役所のビル内空間に直結しているため、涼しく移動することが可能だ。

まずは自宅から横浜駅まで移動する。
横浜駅はJRのほか、東急、京急、相鉄(そうてつ)、横浜市交通局(地下鉄)、そしてこの「みなとみらい線」を運行する横浜高速鉄道の合計6社局の電車が乗り入れる巨大ターミナルである。
さらにJR線としてはその運転系統上、つまり利用者目線で見た場合、①東海道本線、②横須賀線、③京浜東北・根岸線、④横浜線、⑤湘南新宿ライン、⑥上野東京ラインが利用できる駅ということになる。これらを勘定に入れると合計11路線が乗り入れる駅ということになる。

横浜駅から元町・中華街ゆきに乗る。
といっても始発電車に乗るイメージではない。みなとみらい線の元町・中華街へ向かう電車は、ほぼすべてが東急東横線を南下してきた電車である。そのため実態としては、横浜駅を途中駅としてそのままみなとみらい線に乗り入れていく。
第三セクターである横浜高速鉄道は、実際のところ東急の乗務員が運行しており、駅職員もその多くが東急からの出向者なのだそうだ。

そんなわけで東急とのつながりが深い「三セク鉄道」のみなとみらい線だが、横浜から北上して渋谷で終点となる東急線も、その先で東京メトロ副都心線につながり、さらにその先は東武鉄道、西武鉄道ともつながっている。つまり鉄道5社が相互乗り入れする非常にめすらしい運転系統の一部なのである。
土休日ダイヤであれば、神奈川県横浜市の「元町・中華街」駅から、渋谷・新宿・池袋を抜けて埼玉県の奥座敷、秩父山地に囲まれた「西武秩父」駅までを乗り換えなしで移動できる全席指定の列車もある(この列車は東武を通らず4社線一貫運転)。

馬車道駅

馬車道駅で電車を降りホームから改札階へ上がると、大きなドーム天井の空間に出る。駅構内は赤レンガ倉庫や錆びたレールをモチーフにしたと思われる、往時の「ステイション」の雰囲気を漂わせている。
馬車道駅は広々とした地下空間が特徴だ。なんとなく渋谷駅のヒカリエ改札の空間を連想させるが、今は人がグッと少ないこともあって清々しい空気感すら感じられる。

案内表示を見ながら横浜市役所へ向かう。
同じ地下空間でありながら明確に管理主体が変わったと思われるところに、「横浜市役所・横浜市会議事堂」の表示がある。
切り出した石積みのような化粧板の壁を視界に感じながら進むと、急に天井の高い空間に出る。はるかに高いところから丸い光が射している。ここで直角に曲がってエスカレーターを上がる。
巨大な地下の石室空間から、光の地上へ昇っていくようである。

エスカレーターに乗っていったん視界が狭くなったかと思うと、急に明るい空間に出る。そこはすでに市役所ビルの空間であり、地上1階から3階までのガラス張りの吹き抜け空間である。「エスカレーターのテーマ音楽」が聞こえてきそうだ。

市役所3階にて

市役所での用事の時間までちょっとある。朝はろくに食べずに出てきたため、3階の小さなオープンカフェに立ち寄ろう。コッペパンに切れ目を入れ具を挟んだサンドウィッチに、カップスープと飲み物がセットになっている。
フリードリンクの飲み物はアイスコーヒーにしたが、コロナ禍の対策なのか「おかわり」はセルフサービスではなく、そのたびに店員に申し出る。フタ付き透明プラカップには家庭で作ったようなキューブアイスがぎっしり入っているため、十字に切られたフタの中央からストローを挿すのにひと苦労する。見ると後から来た別の客も「ストロー挿し」に苦戦している。

この喫茶軽食コーナーは、なんとなくだが「商売っ気」が感じられない。1~2階の店舗運営主体とは異なるのだろう。ときおり訪れる身分証をぶら下げた客と店員も顔見知りのようで、市役所職員の福利厚生施設的な空気が漂っている。とはいえ簡単な仕事を片付けようとするのが主目的なら却って集中できるかもしれない。

約束の時間が近づいたので、指定された部署へ移動し30分ほどで用事を終える。
きょうはもう帰るだけの一日なので、涼しく閑散とした市役所ビル内を歩いてみる。

同じ3階にある「市民ラウンジ」に行って外の景色を眺める。2021年4月22日に運行を開始したばかりのロープウェイが、横浜を象徴する風景に加わっている。
時々館内放送が流れ、店舗スペース以外での飲食は控えるようにアナウンスしている。

市役所1~2階にて

人の少ない静かな横浜市役所ビルは悪いことばかりでもない。
展示ブースなどでは他人に気兼ねすることなく、じっくりと理解を深める時間を持つことが出来る。自分の存在理由を見失ったような各種コーナーや店舗のスタッフも、いつもより親身な姿勢で接してくれる。

2020年春に新しく出来た横浜市役所のビルは、地下駐車場から3階までは市役所に用事がなくても入れるフロアであり、天井も高く空間もゆったりしている。横浜市の議会である「横浜市会」も同じビル内に議場がある。そして何より酒を提供する飲食店も同じビル内に複数あるという、全国的にもめずらしい市役所だ(基本情報は筆者過去記事を参照)。

いくつかの飲食店のほか各種店舗がならぶ1~2階の商業施設は京急(京浜急行電鉄)が運営しており、LUXS FRONT(ラクシス・フロント)と名付けられている。
筆者が個人的にもっとも気になっているのは1階にある「かねせい」である。市役所ビル内で日本酒と刺身などが楽しめるという、状況設定的にも話のネタ的にも楽しいところだ。

飲食店が固まっている1階の北西エリアに向かう(2階も同じ北西エリア)。
もちろん昨年秋のような賑わいはない。店員たちも所在なげにしているか、仕方なく掃除や什器の手入れでもしているといった姿が目立つ。
店頭で弁当を販売している店員の、求めるような視線が少々痛い。

ドイツ料理とクラフトビールが楽しめるバール風の店は、自粛要請によってそのコンセプトが真っ向から否定された形となったためか、照明が消えた店舗空間に段ボール箱がいくつも積み上げられている。
営業再開の暁(あかつき)には、必ずここに来て飲み食いしようと誓う。

問題の「かねせい」は、セミオープンキッチンの前に貼り出したメニューの上から、アルコールは一切提供できない旨の大きな貼り紙が、斜めにして重ね貼りされている。酒のない「かねせい」はその存在意義すらかすんでしまう。
酒提供再開の暁には、必ずここに来て飲み食いしようと誓う。...ん?

比較的客単価が高そうな店が並ぶ2階ものぞいてみたが、やはり「昔の面影さらになし」というありさまだ。昨秋の週末などは通路をまっすぐ歩くことも容易でなかったのだが。

1階まで降りて外の「水辺デッキ」に出てみると、人出の少なさを利用してかどうかわからないが、デッキ部の工事が行われている。コロナ禍にくわえて異常な猛暑での屋外作業。お疲れさんです。

コロナ禍での外出(さいごに)

コロナ禍においては不要不急の外出は控えようということになっている。そしてやむを得ず外出するなら直行直帰でうろちょろするな、都県境を超えるな、などと言ったことがスローガンのように唱えられる。

確かにそれは誤りではない。しかし大切なのはその根拠となっている科学的な理由である。それはつまるところ次の2点だ。

  1. 自分以外のすべての「人」との「物理的距離」、およびその場の空間条件
  2. 手や顔、および手に触れる「もの」の衛生管理

マスク、換気、衝立(ついたて)などはあくまでも手段であり、その手段をとること自体が直接的に感染を防ぐものではない。だからたとえ手段はきちんと「採用」していても、そのことの意味がわかっていなければいい結果にはつながらないだろう。「ちゃんとマスクしてるじゃん」といっても、不織布製でなかったり、すき間があいていたり、ましてや鼻を出していればほとんど意味はない。科学的に正しい知識を持たない人が、勝手な個人的イメージで生活していることは非常に残念だ。
そもそも睡眠・栄養・休養といった生活の基本が乱れていれば、自ら免疫力を低下させているわけだし、使い捨てマスクを何度も使用していたり、布マスクを洗わずに使っていたりするとすれば、もう単なる間抜けである。

ただ、じつは筆者は「ひとり小旅(こたび)」を実行し始めている。もちろん100%の安全なんてありえないけれども、禁固刑のような生活をしているのも別の意味で健康的ではない。
今後新たな投稿で、筆者流の「ひとり小旅」を紹介していきたいと思っているが、あまりにも状況が悪化してきたら難しいかもしれない。もちろん、そうならないよう願っている(しかし本稿執筆中に東京の新規感染者数が5,000人を超えたという速報が報じられた)。

おそらく多くの日本人の脳裏から消え去った五輪マスコットが、システマチックな白い壁面の前にポツンと置かれ、図らずも悲しい現状を象徴している。

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