『バカも休み休み言え!』と言われて、『何分位休めばいいんでしょうか?』と訊いた奴がいた。
今も元気にしているに違いない。
こんにちは、やや半次郎です。
本当は全部半次郎なのですが、何となく今日は“稍”で行きたい気分なので、やや半次郎です。
今日はいつもと違った“やや半次郎”の世界をお楽しみ下さい。
〈ここから本題〉
子どもの頃に見た夕焼けは、とても綺麗だった。
ハッキリと記憶に残っている。
綺麗だった。
心を奪われるくらい綺麗だった。
綺麗でないものと比較した時の綺麗さは、否応なしに綺麗だったのだ。
丁度、あの娘の瞳のように。
あれから何年経ったのだろう?
その問題を解決するためには、市役所しかあるまい。
市民の暮らしは、市役所によって管理されているからだ。
早速、市役所の戸籍係に問い合わせてみた。
だが、紋切り型の台詞を並べるだで、やや半次郎の疑問は何一つ解決しないのだった。
職務に忠実なのはいいが、やや半次郎にとっては意味がない。
“意味なし芳一”と言われる所以だ。
“種なし芳一”ではマズい、違う意味で。
芳一さんの名誉が掛かっている。
あれから、一体、何年…?
そうだ、この町の長老のところに行けば、何か掴めるかも知れない。
やや半次郎は急いだ!
急がないより急いだ方が、何となく男らしく思えたから、急いだ。
やや半次郎は急いだ。
急いで長老の住処に駆けて行った。
地図によるとこの辺りだ。
確かにポツンと一軒の家が建っている。「長老らしいや」とつぶやき表札に目をやると、そこには『山本』と書いてあった。
「おやっ?」思わず口を吐いて出た。
「長老じゃない!」
やや半次郎は、苗字が“長老”なのだと思っていた。
いや苗字が“長”で名前が“老”かも知れないとは頭の片隅にあったが、そこまで深くは考えない主義なのだ。
そういう考え方で生きていることを否定されたことは、ただの一度もない。
肯定されたことも然り。
しまったぁ、遅かりし由良之介。
かおるちゃん、遅くなってゴメンネ。
かおるちゃん…。
君の好きな花を探していたんだよ。
苗字ではなく、名前が“長老”だったとは…。
“人生”と掛けて、“マドロス”と解く、その心は、“後悔(航海)ばかり也”と来たもんだ。
「歌丸さんは上手いね、俺もやってみよう。」
「上手いの頼むよ~。」
「“人生”と掛けて、“掛けません”と解く、その心は“掛けてないから解けません”て、どうだ!」
「お前さん、バカが固まっちゃったねえ。」
…ちょっとお二人さん、勝手に入って来ちゃダメだよ。
「…てやんでぃ、勝手に入って来たのはお前ぇじゃねぇか!」
「そうともさ、ここは私たちの家だよッ!」
「えっ、ではあなたが山本さんで?」
「なんだい、そりゃ? 山本は隣だよ。俺は熊五郎。苗字はない。」
「失礼致しました。」
どうやら隣の家に入ってしまったようだ。
一軒家なのに!
お隣が山本さんか?
『山本』と書かれた表札のその下に、消えかかった小さな字で、確かに『長老』と書かれているのをやや半次郎は見逃さなかった。
小学生の落書きのような字だった。
やや半次郎は、『トシを取ると子どもに還る』という物理学の法則を思い出していた。
確か、ラボアジエだったよな。
…アボラジエでは変だもの。
「うむ、山本長老かぁ…。」
丘の上から見下ろすと、辺り一面に菜の花の黄色が鮮やかに広がっている。
長閑な佇まいは、いつになく長閑さを増していた。
のどか。
漢字で書くと“長閑”。
自分で変換しておいて読めなかった。(号泣)
この光景も昔と同じだ。
あれは一体…?
ここまで来たが、何もいいことはなかった。
何も~いい~こと~が~、なかったァこォのォ街~で~、だった。
徒労だった。
やや半次郎は、長く緩やかに続く坂道を、ゆっくりと下って行くのだった。
やや半次郎の影が、目の前に長く伸びた。
蜩の哀しげな鳴き声が、静寂の中でコダマする。
昨夜から降り続いた雪は、今し方止んだ。
From 半次郎
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